【完結】(R18)先生、今日のレシピはなんですか?

紫紺

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第15話

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 約束通り、僕は運転させてもらった。その時は今の窮地を忘れようと努力したが、そうもいかなかった。でも、やっぱりこの車は凄い! いつか乗りたい!
 だけど今は、この危機を乗り切らないと……。

「どうでしたぁ?」
「はい……とっても良かったです」
「ん? 元気ないですねぇ。心配しなくても、取って食いやしませんよ。ちゃんと先生の車のあるところまでお送りしますから」

 既に運転席には沢城さんが座っている。僕はその言葉に安堵しながらも、少しだけ拍子抜けな気分になってることに狼狽えた。

 帰り道、何故か沢城さんは黙ったままだった。時折、思い出したように料理の話をしたけれど長続きせず。僕も自分から発することができなくて、しんとした空気が車内に重く垂れこめていた。

 公民館の駐車場に着いたころには、もう辺りはすっかり陽が落ちていた。何とか閉館までには間に合った。夜にも公民館では教室があるんだ。

「今日はありがとうございました」

 僕がお辞儀して車を降りようとしたとき、沢城さんが身を乗り出した。

「ひゃっ」

 小さな悲鳴を上げる。ドアを開けようとした僕の腕が掴まれると同時にシートが倒れた。

「驚きました?」
「さ、沢城さん、何にもしないって……」
「やだなあ、先生。それは、するってことですよぉ」

 僕の上に覆いかぶさるように沢城さんは体を預けてくる。前髪がふわりと額に降りていく。切れ長の双眸がきらりと光った。

「あっ……」

 顎のくぼみに親指を当てると、僕の口が簡単に開く。そこに沢城さんの薄めの唇が絡みついてきた。そのまま柔らかな舌が僕の舌を探し出す。

「心配しないで、先生……。私は、美原さんみたいに……はふっ……顔にも態度にもだしません……」
「あふっ……んんっ」

 言葉を繋ぎながらも、沢城さんはキスを続ける。

「だから……はあっ、たまにつまみ食いさせて……ふうっ……くださいね」

 熱い息が車の窓を曇らせる。僕はたっぷりと? つまみ食いされてしまった。



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