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第5章 悲しき懺悔
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しおりを挟む僕は彼の肩を抱き、左手を頬に当てる。ジョシュアは懺悔したいのだろうか。今までの罪をここで洗いざらい吐き捨て、僕に許しを乞うのだろうか。もしそうなら、そんな必要はない。そう彼に伝えたい。
ジョシュアは見た目が災いして、弱い者いじめの標的になった。だが、その見た目ゆえに彼を守る強いものが現れる。彼の孤児院生活は、常に強者の下で顔色を窺う保護対象者だった。
「いつか、こんなことが嫌になった。10歳になるころだったかなあ。俺は孤児院を脱け出した。俺と同じように、保護される側の奴と一緒に逃げたんだよ」
逃げたはいいが、その日の内に彼らは困窮する。腹が減って住むところもないわけだから、自ずとやることは限られてくる。
店先に置かれたものを盗んだり、人を騙したり、そうして日々の食い扶持を手にいれていたらしい。
「たまに親切な人がいてね。家に入れてくれたりした。でも逆に襲ってくる大人もいて。いい勉強になったよ」
ジョシュアは僕の肩に頭を乗せてそんな風に嘯く。面白おかしく語ろうとするけれど、それは却って息苦しく、辛く聞こえた。
何度も警察に捕まって、施設に入れられ、また脱走。そんな風に日々は過ぎていった。だから、その合間に訪れた教会での暮らしはジョシュアにとって悪くないはずだった。
「それがね。そうでもなかった」
浮浪児たちが寄せ集められた教会には、司祭のような聖職者はもちろん、賄いをする下働き、信者達が出入りしている。その誰もが神に選ばれた崇高な人間ばかりではなかった。
子供たちに悪さをする大人もいて、見た目の綺麗なジョシュアはその毒牙にかかりそうになった。
「1年が限界だった。最初の孤児院から俺と一緒に逃げた奴も可愛い赤毛の子でね。あいつの方が背も低くいて女の子みたいだったんだ。そいつは、ロンっていうんだけど、居たたまれなくなって先に逃げた。次に獲物にされた俺も奴の後を追うように脱走したんだ」
ジョシュアは僕のところにはまだ行けなかった。僕はまだ学生だった。彼は僕が医者になり、診療所を営む日をずっと指折り数えて待っていたんだろう。ウィンブルドンに行く日を。
「あれ、でもすぐには来なかったんだな。僕がここの診療所を継いでからもう2年経ってるよ」
「行こうとしたんだ」
僕の左手に手を伸ばし、ジョシュアは指を絡ませる。僕の心を絡み取ろうとするように細い指が手の中で蠢いている。
「でも、そんなの簡単に行くかよ。俺はまだ15かそこらだったし、金もない。それに、放っておけない仲間もいたから」
再びダウンタウンの裏街道に棲みつく浮浪者となったジョシュア。ずっと一緒にいた赤毛の少年と、いつの間にか彼の周りに集まる少年たちとともにその日暮らしをしていたという。
「それに、俺達がガキとして扱われていた時代は終わったんだ」
街でうろつく少年たちは、裏世界を牛耳る連中、所謂ギャングだ、に選別されていった。彼らの手下や兵隊、使い捨てできる武器として。そして小綺麗なものは男娼として。
「俺もロンも、夜の通りに立つようになった」
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