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七瀬
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幼馴染の好きだった人の話です。
その人はK君と言います。
彼との関係は友達止まりで、私の片思いですが思いを寄せていました。
彼と出会ったのは小学校低学年の頃のことで、私の両親は共働きでした。
仕事をしていたこともあり、家に帰ってくるのが遅かったので、自宅のカギを持たされていました。
私はそのカギを落して仕舞って、帰り道を戻り学校を探したりしましたが見つからず、カギを無くしたことを両親に言ったら怒られると思っていた私は誰にも言えず困って泣いていました。
そんな時にK君がたまたま通りかかり、私に声を掛けてきました。
私の家の隣がK君の家で面識はありましたが、話すのはそれが初めてでした。
事情を聞くと彼はカギを一緒に探してくれて、無事にカギは彼が見つけてくれたおかげで、私は本当に助かりました。
それから彼とは良く話をするようになり、お互いひとりっ子と言う事もあったかもしれませんが、家にいても遊び相手がいないので、暇な時はお互いの家を行ったり来たりしてました。
私はその頃から彼の事が好きでしたが、彼は妹みたいな感じで見ていたのかも知れません。
私はK君には自分の気持ちを伝えることが出来ず、大学3年生まで幼馴染の女友達として彼との関係が続いていました。
そんなある日、電話で話をしていた時に、K君の口から彼女が出来たと言う話を聞きました。
私は言葉では祝福をしていましたが、内心は物凄くショックで食べ物が喉を通りませんでした。
それでも私はK君がどんな人と付き合っているのか気になりまして、彼に色々聞いてみました。
K君の彼女の名前は七瀬と言う人で、七瀬さんは彼が言うには同年の同じ大学の同級生、彼は彼女を可愛いとベタ褒めでした。
嫉妬心にかられた私は、写真を見たいと御願いしたところ、彼は写真を撮っていないと言う事で、大学で会ったら時に撮って送ると約束してその日は電話を切りました。
しかし、K君から約束の七瀬さんの写真が送られてくることはありませんでした。
電話で写真の話をしてから1週間ぐらい経ちましたが、彼から写真が送られてくることがなく、私はどうしても七瀬さんの姿をこの目で見たいと思っていたので、彼が家に帰ってくるのを家の窓から確認して偶然を装い、K君を家の前で捕まえることにしました。
私はK君を捕まえると、彼は立ち話もなんだからと言う事で彼の家にあがり、K君のお母さんも居ましたので七瀬さんについて一緒にどういう人なのか聞きました。
「七瀬さんは、黒髪で色白のホッソリした大和撫子のような子で、本当に可愛い子なんだよ。」
私は腸が煮えくり返っていたのですが、グッと我慢して彼の惚気話を聞き、七瀬さんの姿を一目でも見ようとしてました。
「だから、七瀬さんの写真を見せてよ。」
「七瀬は写真が嫌いなんだ。だから写真は撮れてないんだ。」
私は納得いきませんでしたが、K君のお母さんは彼女がいるだけで嬉しかったらしく終始ご機嫌でした。
私はこれ以上関わるとどうにかなりそうなので、K君の事は忘れようと思いまして、彼とは連絡を取らないようにしていましたが、それから1カ月後、彼のお母さんが家に尋ねて来てK君の事で相談されました。
「息子の様子がおかしいの。」
k君のお母さんが言うには、K君から七瀬さんとデートで出かけると言う話を聞いたけど、彼は七瀬さんと会わずに公園のベンチで独りでいるところを見たと言う話でした。
私もそれだけでしたら、ただ、待ち合わせ場所で待っているだけだろうと思っていましたが、少し沈黙の後、何とも言えない不安そうな顔でK君のお母さんは更に話を続けました。
「ずっと、独りでその日は公園に居たみたいで...。」
K君をお母さんも私と同じように待ち合わせ場所で待っているだけだとそう思って、買い物に向かう途中だったので声を掛けずにそのままその場を後にしたんですが、買い物から帰る途中で公園でさっきと同じような恰好でベンチに座っているK君を見て気になったので声を掛けようと近づいた。
K君のお母さんは彼から1~2m離れたところまで近づいて気がついたんですが、彼は何処か視線が浮いていて何か呟いて、不気味で怖かったそうです。
彼はすぐにお母さんに気づいて、お母さんは心配だったのでその後は一緒に帰ったそうですが、いつも通りの様子に変わりなかったと言う話でした。
彼にデートの話を問いただしたら、お母さんと会う前に解散したんでデートの余韻に浸っていたと、そう聞いたんですがお母さんは納得がいかず、私に彼と七瀬さんの関係を調べて欲しいと言う御願いでした。
私はK君のお母さんから七瀬さんとのデートする日を教えてもらい、彼の後を着けることにしました。
K君は私に気付かないまま公園にやってくるとベンチに座り、誰かを待っているようでした。
その状態で1時間ぐらい経ったのですが、ベンチから動くこともなく、誰も来ませんでした。
K君のお母さんに状況を説明するためにもスマホで動画を撮りながら、ズーム機能を使って見てみると彼の口が喋ってるように動いたのを見た私は体から変な汗を吹き出しました。
誰と喋っているのかわかりませんが、時折、薄ら笑みを浮かべたりしているのを見て、私は異常な状態の彼をほっておくことが出来ず、すぐに声を掛けようと彼に駆け寄りました。
彼はもう意識があるのかないのかわかりませんが、目の前に私がいるのに見えてないようで、名前を呼んでも反応がなく、聞こえないぐらいの声の大きさで何か呟いていました。
私は手首を掴みベンチから立たせるように引っ張ると、急に寝ているところを起こされたように目を白黒させていました。
「あれ、ここ何処だ?七瀬は?Aは何でここに?」
私は彼に何をしていたか問いました。
「K君、ここで何しているの?七瀬さんとデートじゃないの?」
彼も何が何だかわかっていない感じで混乱しているようでした。
「七瀬は...七瀬と一緒にご飯を食べてたはずじゃ...。」
私は彼に先ほどスマホで撮った動画を見せながら、彼の異常な状態を説明したのですが、愕然として受け入れていないようだった。
彼の足元に引っ張って立ち上がらせた時に落ちたらしく、私はそれを拾って彼に渡した。
それは御守りと指輪だった。
元々は御守りの中に指輪が入っていたらしく、御守りの紐が解けていてそこから指輪が落ちたようだった。
もう私にはどうすればいいのかわからないので、彼を半ば強引に手を引っ張って家まで帰り、K君のお母さんに全ての事情を説明して、後日、病院に連れていくことになりました。
その後、病院に行く前に彼は行方不明になってしまいました。
部屋に置手紙を残していて、そこにはかろうじて読めるほどの乱れた文字で“七瀬に会いに行ってくる”と一言書いてありました。
K君は未だに見つかっていません。
その人はK君と言います。
彼との関係は友達止まりで、私の片思いですが思いを寄せていました。
彼と出会ったのは小学校低学年の頃のことで、私の両親は共働きでした。
仕事をしていたこともあり、家に帰ってくるのが遅かったので、自宅のカギを持たされていました。
私はそのカギを落して仕舞って、帰り道を戻り学校を探したりしましたが見つからず、カギを無くしたことを両親に言ったら怒られると思っていた私は誰にも言えず困って泣いていました。
そんな時にK君がたまたま通りかかり、私に声を掛けてきました。
私の家の隣がK君の家で面識はありましたが、話すのはそれが初めてでした。
事情を聞くと彼はカギを一緒に探してくれて、無事にカギは彼が見つけてくれたおかげで、私は本当に助かりました。
それから彼とは良く話をするようになり、お互いひとりっ子と言う事もあったかもしれませんが、家にいても遊び相手がいないので、暇な時はお互いの家を行ったり来たりしてました。
私はその頃から彼の事が好きでしたが、彼は妹みたいな感じで見ていたのかも知れません。
私はK君には自分の気持ちを伝えることが出来ず、大学3年生まで幼馴染の女友達として彼との関係が続いていました。
そんなある日、電話で話をしていた時に、K君の口から彼女が出来たと言う話を聞きました。
私は言葉では祝福をしていましたが、内心は物凄くショックで食べ物が喉を通りませんでした。
それでも私はK君がどんな人と付き合っているのか気になりまして、彼に色々聞いてみました。
K君の彼女の名前は七瀬と言う人で、七瀬さんは彼が言うには同年の同じ大学の同級生、彼は彼女を可愛いとベタ褒めでした。
嫉妬心にかられた私は、写真を見たいと御願いしたところ、彼は写真を撮っていないと言う事で、大学で会ったら時に撮って送ると約束してその日は電話を切りました。
しかし、K君から約束の七瀬さんの写真が送られてくることはありませんでした。
電話で写真の話をしてから1週間ぐらい経ちましたが、彼から写真が送られてくることがなく、私はどうしても七瀬さんの姿をこの目で見たいと思っていたので、彼が家に帰ってくるのを家の窓から確認して偶然を装い、K君を家の前で捕まえることにしました。
私はK君を捕まえると、彼は立ち話もなんだからと言う事で彼の家にあがり、K君のお母さんも居ましたので七瀬さんについて一緒にどういう人なのか聞きました。
「七瀬さんは、黒髪で色白のホッソリした大和撫子のような子で、本当に可愛い子なんだよ。」
私は腸が煮えくり返っていたのですが、グッと我慢して彼の惚気話を聞き、七瀬さんの姿を一目でも見ようとしてました。
「だから、七瀬さんの写真を見せてよ。」
「七瀬は写真が嫌いなんだ。だから写真は撮れてないんだ。」
私は納得いきませんでしたが、K君のお母さんは彼女がいるだけで嬉しかったらしく終始ご機嫌でした。
私はこれ以上関わるとどうにかなりそうなので、K君の事は忘れようと思いまして、彼とは連絡を取らないようにしていましたが、それから1カ月後、彼のお母さんが家に尋ねて来てK君の事で相談されました。
「息子の様子がおかしいの。」
k君のお母さんが言うには、K君から七瀬さんとデートで出かけると言う話を聞いたけど、彼は七瀬さんと会わずに公園のベンチで独りでいるところを見たと言う話でした。
私もそれだけでしたら、ただ、待ち合わせ場所で待っているだけだろうと思っていましたが、少し沈黙の後、何とも言えない不安そうな顔でK君のお母さんは更に話を続けました。
「ずっと、独りでその日は公園に居たみたいで...。」
K君をお母さんも私と同じように待ち合わせ場所で待っているだけだとそう思って、買い物に向かう途中だったので声を掛けずにそのままその場を後にしたんですが、買い物から帰る途中で公園でさっきと同じような恰好でベンチに座っているK君を見て気になったので声を掛けようと近づいた。
K君のお母さんは彼から1~2m離れたところまで近づいて気がついたんですが、彼は何処か視線が浮いていて何か呟いて、不気味で怖かったそうです。
彼はすぐにお母さんに気づいて、お母さんは心配だったのでその後は一緒に帰ったそうですが、いつも通りの様子に変わりなかったと言う話でした。
彼にデートの話を問いただしたら、お母さんと会う前に解散したんでデートの余韻に浸っていたと、そう聞いたんですがお母さんは納得がいかず、私に彼と七瀬さんの関係を調べて欲しいと言う御願いでした。
私はK君のお母さんから七瀬さんとのデートする日を教えてもらい、彼の後を着けることにしました。
K君は私に気付かないまま公園にやってくるとベンチに座り、誰かを待っているようでした。
その状態で1時間ぐらい経ったのですが、ベンチから動くこともなく、誰も来ませんでした。
K君のお母さんに状況を説明するためにもスマホで動画を撮りながら、ズーム機能を使って見てみると彼の口が喋ってるように動いたのを見た私は体から変な汗を吹き出しました。
誰と喋っているのかわかりませんが、時折、薄ら笑みを浮かべたりしているのを見て、私は異常な状態の彼をほっておくことが出来ず、すぐに声を掛けようと彼に駆け寄りました。
彼はもう意識があるのかないのかわかりませんが、目の前に私がいるのに見えてないようで、名前を呼んでも反応がなく、聞こえないぐらいの声の大きさで何か呟いていました。
私は手首を掴みベンチから立たせるように引っ張ると、急に寝ているところを起こされたように目を白黒させていました。
「あれ、ここ何処だ?七瀬は?Aは何でここに?」
私は彼に何をしていたか問いました。
「K君、ここで何しているの?七瀬さんとデートじゃないの?」
彼も何が何だかわかっていない感じで混乱しているようでした。
「七瀬は...七瀬と一緒にご飯を食べてたはずじゃ...。」
私は彼に先ほどスマホで撮った動画を見せながら、彼の異常な状態を説明したのですが、愕然として受け入れていないようだった。
彼の足元に引っ張って立ち上がらせた時に落ちたらしく、私はそれを拾って彼に渡した。
それは御守りと指輪だった。
元々は御守りの中に指輪が入っていたらしく、御守りの紐が解けていてそこから指輪が落ちたようだった。
もう私にはどうすればいいのかわからないので、彼を半ば強引に手を引っ張って家まで帰り、K君のお母さんに全ての事情を説明して、後日、病院に連れていくことになりました。
その後、病院に行く前に彼は行方不明になってしまいました。
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K君は未だに見つかっていません。
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