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第7話
その日。アベリアの第二皇子ユシスと、公爵令嬢ルルは、隣国の使者、国内の貴族が見守る中で婚約を宣言した。
「……お初にお目にかかります。ユシスの婚約者──……ユクシオン公爵が娘。ルル・ユクシオンと申します。以後、お見知りおきを」
余裕いっぱい、満面の笑みを浮かべるルル。
対するアラナは顔を引きつらせながらも「ええ、お見知りおきを」と優雅に頭を下げた。
「ユシスからお聞きしました。アラナ姫は大層、この国がお好きなのだと。何でも『第二王子の妻』がどんなことを担うことになるのかなんてことを私のユシスにお聞きになったとか。自国のために他国の国政についても考えてみるだなんてさすが、聡明と名高きアラナ姫でいらっしゃいますわ」
ルルは瞳の中で炎を燃やしながら、表面上「ほほほ」と柔らかく笑んで見せた。
「それほどでも……」
アラナは暗い表情のままで、ルルに対抗しようとした。しかしアラナが何か言う前にルルが言葉を重ねる。
「そんなにもこの国のご興味がおありなら、今後は私が案内させていただきますわ」
「いえ……私はユシス殿下に」
顔を青くするアラナ姫に追い打ちをかけるように、ユシスがルルの肩を抱いた。
「ルルが案内してくれるというなら、心強い。アラナ姫の案内は頼んだよ、ルル」
「ええ、もちろん!」
満面の笑みでほほ笑むルルに、ユシスは苦笑を零しながら、その頬をそっと撫で、耳元で囁く。
「あまり、無茶なことはしてはいけませんよ」
「あら、無茶なんてしないわよ」
「そうですか?」
2人は目の前に立つアラナ姫には目もくれずに、互いの瞳を覗き、笑い合った。
翌日。
隣国に去ったアラナ姫の寝室を整えようと部屋へ入ったメイドは目を見張った。
部屋中が羽だらけだったのである。その羽は外から入り込んだ鳥の落としもの‥‥‥ではもちろんなく、アラナ姫が悔しさを紛らわすために破いた枕と布団の残骸から出たものだった。
それを聞いたルルは「清々したわ!」と高らかに笑い、ユシスはそんなルルを見つめながら「楽しそうでなによりだ」と柔和な笑みを浮かべた。
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