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酒呑み夜鷹(五十八話)
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さあ、どんどこと夜鷹めぐりしまっせ、女んはらわた知らねばだて。そんで、苦海の救い手になんのや。知ってこそだてのう。土佐兄が、そんうちに帰ってくれば、また女衒修行が始まる。女の売り買いの場に連れて行かれて、一から教わるんや。いずれは、オラ一人でやるん。女の骨の髄まで知らねばなんね。またまた先は、夜鷹衆を集めて、ええ置屋を作るんや。夜鷹ん中には、本当は昼に飛びてえんが、うじゃうじゃいるすけのう。さて、四ツ谷や、今夜はどげかいな……
オラ「あいや、カカさん酒臭いのう、ぷんぷんすっぞ」
女 「そんやで、昼も晩も酒、そんで客と寝酒朝酒よ」
オラ「うん、カカさんの体は酒で出来よるんやな。オラも酒好きだども、女との一戦の前は飲まねんだ。そんじゃねえと、入道が小僧みてえになっからな」
女 「男はどっちを取るかじゃのう、そんとこは女はええな。ええどころか、酒ん夢心地でええとこに、男ん稲妻喰らってみい、たまんねえわい」
オラ「女はええのう。酒ん極楽と男ん極楽と、いっぺんに味わうんやな。オラ今度生まれる時は、女がええかもや。底なし極楽味ってみてて」
女 「そやの、男は銭出して極楽やけんど、こん商売は銭もろうて極楽めぐりや。男好きん女にとっては、ほんに毎日が観音日和やでな。あんた、アテん小屋で、派手な稲妻喰らわしてくれっかえ」
オラ「そんじゃ、オラが酒飲むんは朝方ってこつやな、わかったいな」
女 「アテは先に、また飲むすけ、人形いじるみてえに、おもちゃにしてのう。そんで火照ってきたら、ゴロゴロじらしてから、アテに雷落としてな。あんたの稲妻といっしょに、アテも果てるわ」
オラ「小屋行こうて、オラ朝まで酒はええて、雷様がうずき出したわい……」
カカさんの、酒ん肴にされてしまいもうした。
女は得よのう、酒に酔い男に酔い、呑んでは抱かれ、抱かれては呑む。
その点、男は呑んでは立たずや、とほっ。
オラ「あいや、カカさん酒臭いのう、ぷんぷんすっぞ」
女 「そんやで、昼も晩も酒、そんで客と寝酒朝酒よ」
オラ「うん、カカさんの体は酒で出来よるんやな。オラも酒好きだども、女との一戦の前は飲まねんだ。そんじゃねえと、入道が小僧みてえになっからな」
女 「男はどっちを取るかじゃのう、そんとこは女はええな。ええどころか、酒ん夢心地でええとこに、男ん稲妻喰らってみい、たまんねえわい」
オラ「女はええのう。酒ん極楽と男ん極楽と、いっぺんに味わうんやな。オラ今度生まれる時は、女がええかもや。底なし極楽味ってみてて」
女 「そやの、男は銭出して極楽やけんど、こん商売は銭もろうて極楽めぐりや。男好きん女にとっては、ほんに毎日が観音日和やでな。あんた、アテん小屋で、派手な稲妻喰らわしてくれっかえ」
オラ「そんじゃ、オラが酒飲むんは朝方ってこつやな、わかったいな」
女 「アテは先に、また飲むすけ、人形いじるみてえに、おもちゃにしてのう。そんで火照ってきたら、ゴロゴロじらしてから、アテに雷落としてな。あんたの稲妻といっしょに、アテも果てるわ」
オラ「小屋行こうて、オラ朝まで酒はええて、雷様がうずき出したわい……」
カカさんの、酒ん肴にされてしまいもうした。
女は得よのう、酒に酔い男に酔い、呑んでは抱かれ、抱かれては呑む。
その点、男は呑んでは立たずや、とほっ。
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