神子のピコタン

びっとのびっと

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パピコの物語 会議終了

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「パピコはさ、暴力ふるう人は嫌なんじゃないのか?」
おじさんに尋ねられて、パピコは考える。

顔を切られ、左手首を失った時のことをパピコは覚えていない。きっとその時に両親も殺されたのだろう。気づくと数人のケガ人と一緒に教会にいた。盗賊に襲われたのだと。
孤児院でも、おじさんたちに引き取られても、蔑まれいじめられていた。言葉だけじゃない、子供も知らない大人も暴力をふるってくる。


「痛いし、恐いから嫌い。暴力をふるう人間はバカだと思ってる。暴力はなにも解決しないって・・・でも反対に、ものすごい強い人が現れて、憎いあいつらをボコボコに倒してくれればいいのに、って時々思ったりもする・・・。」

忌避と憧れ。

ピコタンが不思議そうに聞いている。


パピコだから、ダビを好きになったのか。


「とりあえず見守るか。」
「だな。」

ポコッスのひと言で、会議は終了した。



翌朝、ダビがやってきた。
「昨日はすまなかった。もう来なくていい。」と、ぽそっと言った。

「あら、そう?まあ、お婆さんにはムカついたから、しばらく嫌がらせで行かないわ!そうそう!これからパピコが宿場町に玉子を届けにいくから、途中まで馬車に乗せてくれない?」と、おばさんが畳みかけるように言った。

ピキッと固まるダビを無視して、ほらほら早く!とパピコに声をかける。

ダビがおろおろしてる間に、二人で出かけることになってしまった。


「見守るんじゃなかったの?」
「こんぐらい、いーんじゃない?」

ふーん、と言ってポコッスとピコタンは皿を洗いはじめた。


「・・・」
「ダビさん、あの、ありがとう。」
そう言ってパピコは微笑んだ。

「・・・帰りはどうするんだ。」
あの事を思い出して、険しい顔をする。
「今日は村の保管小屋でみんなでジャム作りをするの。そこにお母さんも来るから。」

待ち合わせて一緒に帰るということか。それならいい。ダビはホッとした。
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