神子のピコタン

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ネハの物語 お母さん

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お母さんが泣いている。


「トムは私のこと、好きじゃなかったのよね?」

「いや~」

「はっきり言ってくれればいいじゃない。」

「好きなときもあったよ?」

「うわ~っん!」

「好きだよ!好き!」

「じゃあ、なんでいなくなったの?」

「いや、それはさ、」

「私が悪いのよね?」

「いや、その、」


ループ5週目くらいで飽きてきた・・・。

ずっと「私のこと好き?」って聞いてくる女かあ。


お母さんはお付きの侍女みたいな人と護衛を従えて、しゃなりしゃなりと現れた。


すぐに私を見つけて「ネハちゃん?」と呼んで、「大きくなって~」と涙ながらに抱きしめてくれて。私が「こんにちは」って言うと「かわいいわ~、礼儀正しいわ~。」ってニコニコ褒めてくれて。
あれ、良い人じゃん・・・って。

私のためにキーライムパイを注文してくれて「お土産にピーカンパイも買ってあげるわね。」と笑顔が素敵で。


もうすぐ食べ終わるんだけど、これ、なんの会だろう?
私はずっとモゴモゴしてて、お父さんは親指ぐるぐるがスピードアップしてる。
しょうがないなあ。


「お父さんはお母さんが好きだったけど、私に街の生活を教えるために、仕方なく別れたんだって言ってました。」
ってことにする。

「えっ」

「えっ」

突然しゃべりだした私に、二人は止まった。


「お母さんお嬢様だし、お父さん貧乏人だし、一緒に生活とかムリって。」
ってことだよね?


「…」

「…」

「お母さん、貧乏ムリでしょ?たぶん。」

「…」

「お父さん、ヒモ生活がツライって。」

「…」

「私、この街にお友だちもたくさんいるから、ここにずっといたい。でもこうやって、たまにお母さんと会って美味しいもの食べたいなあ~。」


たぶん、合ってるよね?
よりは戻したくないんだよね?お父さん。


「まあ!お友だちがたくさんいるの?ネハちゃんは人気者なのね~。」


おおっ、話そらせた!
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