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Ⅰ
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ボクが住んでいるダンジョンと呼ばれる場所は、昔は暗くてジメジメしていて敵だらけな場所だったけど、"かわいいもの"のお陰で明るく整備され、敵も少ない住みやすい場所になった。
そんな場所でも仲間同士でコミュニティーがあり、ボクが好きなものを好きだと言わないのは、ある意味では生き残る術だった。
ーーーボクが好きな"かわいいもの"は仲間達からとても嫌われている。
たまたま側に居ただけで蹴られたり、刃物で斬られたりなどするときがあるからだ。邪魔扱いされるとボクの仲間はとても怒っている。
確かにそういった非道な一面はあるけれど、ステキな一面も沢山あるのになあ。
"かわいいもの"を見に行くボクは仲間達に変なヤツと思われてるが、自分でも変だよなあと思ってた。
だから、"かわいいもの"が好きだという考えは頭をチラついてもその考えをワザとぼんやりさせて認識したくないときがあった。
ボクたちと"かわいいもの"が仲良くする未来なんてなさそうだから、好きだと認める仲間達から敵に思われるんじゃないかって本気で思うときもあった。
時折、溢れそうになる好きが怖かった。
そういう時は酷く意固地な気持ちになった。もし仲間にそのことを言ってその想いを認められても否定されても勘違い扱いされたとしても受け止められないぐらい、心がギュウギュウになるのだ。
自分じゃなく仲間の誰かなら、本当に自分以外の想いなら否定しないのに、自分が一番その想いを否定して苦しんで悲しんで、恋しがってた。
会えない日々が寂しくて、痕跡を見つけただけで心を鷲掴みにされて、会えた日には嬉しくてたまらなくて、会えた翌日は会えないことに余計に苦しんで。
そんなことを繰り返すうちに心がボロボロになって、それでも身勝手な想いを捨てきれなくて。
"かわいいもの"が好きになればなるほど、どうしようもなく自分が嫌いになっていく。
ーーーそういった日々を過ごしていたある日、自分よりも上位の存在が目の前に現れた。
「おお~、お前がモノ好きなスライムか」
ボクが知っている"かわいいもの"と似た姿をしているが、明らかに違う生物。
サラリと流れる銀髪と金眼が輝かんばかりなのに、愉悦を含んだ口元と冷え切った眼差しがそれらの印象を覆す。
ソイツは僕を鷲掴みにし、いつの間にか出した袋の中に突っ込んだ。
袋の中で必死に抜け出そうともがくが、どうやっても抜け出せない。
そうしている間にも何処かへと向かっているのか揺れを感じ、ソイツの鼻歌やケタケタと笑う声が聞こえた。
「ふふっ、ペットが手に入った~♪な~にして遊ぼっかなあ~♪」
殺されるのかもしれないと恐怖を感じて更に暴れると、袋ごと壁か何かに叩きつけられた。
「ペットは最初の躾がカンジンなんだよね?良い子にできる?」
何度も叩きつけられるが、叩きつけられた反動で跳ね返りソイツの手に戻った。
「いい子だね、自分から戻ってくるなんて♪ペットはやっぱりこうじゃないとね♪」
断じて自分では戻っていないが、何かに納得したソイツはご機嫌そうに僕が入った袋を振り回しながらまた歩き出した。
***
現在進行形でボクは酷い目にあっている。
袋からやっと取り出されたかと思うと、知らない場所のフカフカとしたものの上に放り投げられてソイツの下半身から生えている赤黒い棒を身体に突き入れられた。
「っっはぁ、ぐにゃぐにゃしてるなっ」
荒い息を吐きながら、何度も棒を抜き差しされるが何がしたいのか分からなくて困惑した。
「んっっ」
少し鼻のかかった高い声が聞こえた後、棒から白い液体が出てきてボクの体の一部がその色に染まったのを見てソイツに爆笑された。
「っははは、うそ、染まっちゃった。思ったより面白いね、オマエ」
ソイツは笑いすぎて浮かんだ涙を手で拭った後、ボクの身体の色が全て白くなるまでその行為は続けられた。
身体全体を揺らされるし、ボクのキレイな水色ボディを白くするなんて、コイツはスライムのことをよく分かっていないーーーボクのこのボディの色は、仲間内でも褒められるステキな色なのだ。
ソイツは気がすんだらボクを置いて何処かへといってしまったので、その間に身体の中に入っていた白い液体を身体の外へと排出した。
それにしても、今乗っているこのフカフカしたものはなんなのだろうか。
跳ねても跳ねても柔らかい。まあ、ボクたち程ではないけれど。
何だか気に入って跳ね続けていると、戻ってきたソイツが「ベットが気に入ったの?」と不思議そうに見た後、ボクが出した白い液体を見て、ボクを見る目をスッと細めた。
「こんな所に吐き出すなんて、メッ、だよ?トイレトレーニング?しなきゃね」と壁に何度も叩きつけられた。
「躾って大変だなあ♪痛い?」
嬉しそうにそう聞かれたが、スライムに痛みを感じる機能はない。
「ん~ペットが言葉も話せない下等生物だと意志の疎通が大変だね?こういうのもペットの醍醐味なのかなあ」
ふむふむとまた一人で納得しているソイツをなんとなく見ていると、やっぱり外見はボクの好きな"かわいいもの"に似ていた。
ボクが見ていることに気づいたソイツが口端をあげてボクを覗き込んだ。
「キミの噂を聞いて、悪魔のこのボクがキミの好きな"ニンゲン"の姿になってから迎えに行ってあげたんだよ?嬉しかった?」
見た目はとてもかわいいが、滲み出る気配が怖いって思ってることがバレたら殺されるのだろうか。
「さっきのも歓迎の気持ちなんだよ?"ニンゲン"はスライムをオナホ扱いすることもあるって聞いたから♪」
ボクが見ていた"かわいいもの"をコイツは"ニンゲン"と呼び続けてるみたいだし、あの生物は"ニンゲン"って呼ばれてるのか。
また一つ、新しいことを知れて何だか嬉しかった。
それにしても、コイツが言うことが本当なら"ニンゲン"の歓迎の表し方は独特だ。
今度、"ニンゲン"にあったらさっきみたいなことをボクからやってあげたら喜んでくれるのかな?
もしかしたら仲良くなれるかもしれないと嬉しくなってベットの上でまた飛び跳ねた。
__________________________
読者の皆様、数ある作品からこの作品をお読み下さりありがとうございます。
実は、このスライムはダンジョンに来る"ニンゲン"が話している内容を聞き齧った知識がベースの思考です。
なので、"かわいいもの"への好きという思考には、こんな下地がありました。
《"ニンゲン"が話していた恋愛話
→話を聞いていると好きがよく出てくる
→スライムは"かわいいもの"が好き
→今の話は"かわいいもの"を表す言葉だ!これから使おう!》
ぐらいです。シリアスな皮を被ったスライムが爆誕してしまいました。
うちのスライムは基本的に脳天気です笑
そんな場所でも仲間同士でコミュニティーがあり、ボクが好きなものを好きだと言わないのは、ある意味では生き残る術だった。
ーーーボクが好きな"かわいいもの"は仲間達からとても嫌われている。
たまたま側に居ただけで蹴られたり、刃物で斬られたりなどするときがあるからだ。邪魔扱いされるとボクの仲間はとても怒っている。
確かにそういった非道な一面はあるけれど、ステキな一面も沢山あるのになあ。
"かわいいもの"を見に行くボクは仲間達に変なヤツと思われてるが、自分でも変だよなあと思ってた。
だから、"かわいいもの"が好きだという考えは頭をチラついてもその考えをワザとぼんやりさせて認識したくないときがあった。
ボクたちと"かわいいもの"が仲良くする未来なんてなさそうだから、好きだと認める仲間達から敵に思われるんじゃないかって本気で思うときもあった。
時折、溢れそうになる好きが怖かった。
そういう時は酷く意固地な気持ちになった。もし仲間にそのことを言ってその想いを認められても否定されても勘違い扱いされたとしても受け止められないぐらい、心がギュウギュウになるのだ。
自分じゃなく仲間の誰かなら、本当に自分以外の想いなら否定しないのに、自分が一番その想いを否定して苦しんで悲しんで、恋しがってた。
会えない日々が寂しくて、痕跡を見つけただけで心を鷲掴みにされて、会えた日には嬉しくてたまらなくて、会えた翌日は会えないことに余計に苦しんで。
そんなことを繰り返すうちに心がボロボロになって、それでも身勝手な想いを捨てきれなくて。
"かわいいもの"が好きになればなるほど、どうしようもなく自分が嫌いになっていく。
ーーーそういった日々を過ごしていたある日、自分よりも上位の存在が目の前に現れた。
「おお~、お前がモノ好きなスライムか」
ボクが知っている"かわいいもの"と似た姿をしているが、明らかに違う生物。
サラリと流れる銀髪と金眼が輝かんばかりなのに、愉悦を含んだ口元と冷え切った眼差しがそれらの印象を覆す。
ソイツは僕を鷲掴みにし、いつの間にか出した袋の中に突っ込んだ。
袋の中で必死に抜け出そうともがくが、どうやっても抜け出せない。
そうしている間にも何処かへと向かっているのか揺れを感じ、ソイツの鼻歌やケタケタと笑う声が聞こえた。
「ふふっ、ペットが手に入った~♪な~にして遊ぼっかなあ~♪」
殺されるのかもしれないと恐怖を感じて更に暴れると、袋ごと壁か何かに叩きつけられた。
「ペットは最初の躾がカンジンなんだよね?良い子にできる?」
何度も叩きつけられるが、叩きつけられた反動で跳ね返りソイツの手に戻った。
「いい子だね、自分から戻ってくるなんて♪ペットはやっぱりこうじゃないとね♪」
断じて自分では戻っていないが、何かに納得したソイツはご機嫌そうに僕が入った袋を振り回しながらまた歩き出した。
***
現在進行形でボクは酷い目にあっている。
袋からやっと取り出されたかと思うと、知らない場所のフカフカとしたものの上に放り投げられてソイツの下半身から生えている赤黒い棒を身体に突き入れられた。
「っっはぁ、ぐにゃぐにゃしてるなっ」
荒い息を吐きながら、何度も棒を抜き差しされるが何がしたいのか分からなくて困惑した。
「んっっ」
少し鼻のかかった高い声が聞こえた後、棒から白い液体が出てきてボクの体の一部がその色に染まったのを見てソイツに爆笑された。
「っははは、うそ、染まっちゃった。思ったより面白いね、オマエ」
ソイツは笑いすぎて浮かんだ涙を手で拭った後、ボクの身体の色が全て白くなるまでその行為は続けられた。
身体全体を揺らされるし、ボクのキレイな水色ボディを白くするなんて、コイツはスライムのことをよく分かっていないーーーボクのこのボディの色は、仲間内でも褒められるステキな色なのだ。
ソイツは気がすんだらボクを置いて何処かへといってしまったので、その間に身体の中に入っていた白い液体を身体の外へと排出した。
それにしても、今乗っているこのフカフカしたものはなんなのだろうか。
跳ねても跳ねても柔らかい。まあ、ボクたち程ではないけれど。
何だか気に入って跳ね続けていると、戻ってきたソイツが「ベットが気に入ったの?」と不思議そうに見た後、ボクが出した白い液体を見て、ボクを見る目をスッと細めた。
「こんな所に吐き出すなんて、メッ、だよ?トイレトレーニング?しなきゃね」と壁に何度も叩きつけられた。
「躾って大変だなあ♪痛い?」
嬉しそうにそう聞かれたが、スライムに痛みを感じる機能はない。
「ん~ペットが言葉も話せない下等生物だと意志の疎通が大変だね?こういうのもペットの醍醐味なのかなあ」
ふむふむとまた一人で納得しているソイツをなんとなく見ていると、やっぱり外見はボクの好きな"かわいいもの"に似ていた。
ボクが見ていることに気づいたソイツが口端をあげてボクを覗き込んだ。
「キミの噂を聞いて、悪魔のこのボクがキミの好きな"ニンゲン"の姿になってから迎えに行ってあげたんだよ?嬉しかった?」
見た目はとてもかわいいが、滲み出る気配が怖いって思ってることがバレたら殺されるのだろうか。
「さっきのも歓迎の気持ちなんだよ?"ニンゲン"はスライムをオナホ扱いすることもあるって聞いたから♪」
ボクが見ていた"かわいいもの"をコイツは"ニンゲン"と呼び続けてるみたいだし、あの生物は"ニンゲン"って呼ばれてるのか。
また一つ、新しいことを知れて何だか嬉しかった。
それにしても、コイツが言うことが本当なら"ニンゲン"の歓迎の表し方は独特だ。
今度、"ニンゲン"にあったらさっきみたいなことをボクからやってあげたら喜んでくれるのかな?
もしかしたら仲良くなれるかもしれないと嬉しくなってベットの上でまた飛び跳ねた。
__________________________
読者の皆様、数ある作品からこの作品をお読み下さりありがとうございます。
実は、このスライムはダンジョンに来る"ニンゲン"が話している内容を聞き齧った知識がベースの思考です。
なので、"かわいいもの"への好きという思考には、こんな下地がありました。
《"ニンゲン"が話していた恋愛話
→話を聞いていると好きがよく出てくる
→スライムは"かわいいもの"が好き
→今の話は"かわいいもの"を表す言葉だ!これから使おう!》
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うちのスライムは基本的に脳天気です笑
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