うちの田舎で神様と崇められる湖の精霊に恋をした

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 ミシェが現実を受け止めきれなくても、すぐに孤児院生活に慣れることでいっぱいになった。

 ミシェの反応が薄い1ヶ月の間は年長組が交代で面倒を見てくれていたらしく、すっかり孤児院で嫌われていたから余計に大変であった。


 年長組を新入りの癖に独占していた生意気な奴、がミシェの今の評価だ。


 年長組がその後も何かとミシェを気にかけるので、嫌われているというよりも最早憎しみのようなものを感じる時があった。
 幼い子供達の中には、満たされない何かを渇望した目をして年長組や孤児院の大人達に付き纏う子も多かったからだ。一度、付き纏う理由を聞いたが、「お前はさぞ親に愛されたんだろうな!」と怒らせてしまってから聞けなくなった。
 ミシェも親から愛された記憶がない孤児であるのに、ミシェには分からない感情であった。

 ミシェにとっての愛は神様そのものであった。
 3歳の頃にお会いしてからずっとミシェにとっての心の支え。神様のことを考えると、ミシェは嫌なことがあっても幸せな気持ちになれた。
 村の子供達と喧嘩して一方的に子供達の親に怒られた時や、村でお金が盗まれた時に真っ先に疑われた時など、困難で辛くて苦しい時、いつも真っ先に思い出すのは神様のことであった。
 神様はミシェの味方をしてくれないかもしれないけど他の村人の味方もしないだろうと思うと、それだけでよかったのだ。
 ミシェのことも平等に扱ってくれる存在がいることが、ミシェにとっての救いであった。
 ここまで考えて少し理解した気がした。ミシェにとっての神様が幼い子供達にはいないのかもしれない。それはとても辛くて残酷なことだと思った。

 それからミシェは幼い子供達が自身に対して辛く当たってきても、優しく対応するようになった。
 最初は相手も酷く戸惑って暴言を吐かれることもあったが、時間はかかったが最終的には懐かれるようになった。
 ミシェは神様のお陰で孤児院で過ごしやすくなったと心の中で感謝した。
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