小話まとめ(日常)

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頭髪検査後の会話にて

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「あたしにはさ、どうしようもないじゃん」

 学校からの帰り道、不貞腐れたようにミチは道端の小石を蹴った。

 今日あった頭髪検査でひっかかったらしい。
 明るめの茶髪の毛先を、右手の人差し指で絡めながら回している。

「生まれつきなの、これ。黒染めとかあり得ない~~」

「そりゃ有り得んわ」

 私は同意しつつ、今日の頭髪検査を思い出していた。髪の色見本と見比べてまですると思わなかったから正直引いた。

「何なの?小さい頃の写真でも見せたらいいの?」

「理不尽な世の中~」

「そうだよ~理不尽すぎる~ぁああ~もう~」

「もうさ、カラオケ行く?」

「めっちゃ急じゃん。あり~」

 カラオケでバカ食いしたり、飲み放題のジュースをミックスして激マズジュースを編み出したり、大騒ぎしながら2時間ぐらい歌った。

 カラオケからの帰り道、ミチはルンルン気分なようでスキップしている。

「は~~めっちゃ歌ったわ。喉カスカス」

 ミチは少し掠れた声で笑った。楽しかったようで何よりである。

「童謡まで歌うとは思わんかった」

 その時のミチを思い出して笑ってしまった。

「あめあめ、ふれふれ~♪」

「やめやめ、外外」

 また歌い出すミチを笑いながら止めた。

「明日にはさ、真っ黒な髪の私とご対面だよ~良きにはからえ~」

「ニューミチじゃん」

「そう、おニュー、新登場ミチ。よろしく」

「こちらこそよろしく」

 くだらない言葉遊びだけど、楽しくて仕方なかった。


 ***

 次の日、学校で会ったミチは髪を黒く染めていた。

「就活生がムリヤリ染めました感ない?」

「そう言われると、めっちゃある」

「だよね~」

「でも、めっちゃ似合ってんじゃん」

「真っ黒も似合うあたし、やばいね」

「左様で」

「え、いきなり、心の距離が遠のいた気がするんだけど??」

「左様で」

「左様で、じゃないよ~~やだあ~~」

 ミチに横からギューギュー抱きしめられた。

「痛い痛い」

「物理的に距離を詰めるしかないのだ」

「めっちゃ真顔じゃん」

「そうでごじゃんしょ~」

「キャラがブレブレや」

「情緒がね、真っ黒になっちゃったの~」

「髪の毛の色と連動している情緒」

 お互いに何を言ってるのか分からないし、明日には忘れてるような会話。それがどうしようもなく幸せな気持ちに感じるのは何故なのか。

 ふと、たまに不思議に思うのだ。
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