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流星群 4
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「手がもう限界だよ!」
「あともうちょっとだ!」
強風に抵抗して必死で耐えていた手を放しそうになった時、突然虹色の強い光が目の前を走って思わず目を閉じた―――――
体がゆったりと浮かんでいるのを感じる。まるで放り投げられた気分だ。目をそっと開くとどこかで見た事のある景色が広がっていた。とてつもなくでっかくて丸い玉がそこらじゅうにある。確か本に載っていた、ここは…… 宇宙!?
「待って、酸素!!!」
思わずプラルリーから手を放して口を両手で抑えた。
「君は今、息をしなくても平気でいられるはずだよ」
「え」
確かに僕、息をしてない。
「どうして平気なの?」
「僕らと同じ体質になってるからさ。一時的にだけどね」
「エースリーっていったい何者?」
「難しい質問だな」
「人間じゃあないよね、こんな事ができるんだもん。まさか宇宙人?」
「ある意味宇宙人かも」
「はっきり言わないなあ」
「まずはリムーナ管理センターに行く」
エースリーはそう言ってあの縦笛で短いメロディーを吹いた。プラルリーは笛の先に吸い込まれて消えた。
「その笛、さっきからすごいね」
「まあね」
エースリー着ていたポンチョを外して僕らの上に放り投げた。ポンチョはふわふわと漂っている。そしてはっきりとした声でこう唱えた。
「スーアルグム!」
唱えた途端、ポンチョはまるで大きな口を開けるみたいに広がって僕らを一瞬で丸飲みに
した。真っ白な地面に向かって体が急降下していく、地面にぶつかる!と思った瞬間、体は大きく弾んで転がった。地面はマシュマロみたいに柔らかかった。辺りは真っ白な壁に囲まれていて、ドアがひとつある。エースリーは立ちあがり、ひらひらと落ちてきたポンチョを捉まえて身にまとった。
「そこがリムーナの入口だよ」
「リムーナって?」
「僕らの集合場所さ。ついてきて」
「うん…」
近付くとドアは自動で開いた。今度は青い空間で中央に大きな噴水がある。この部屋あれに似てる、水族館だ。噴水は全体が白く光っていて、時々色のついた光がふわっと見える。周りには透明の巨大なカプセルみたいなものがずらりと並んでいる。
「これに乗る」
「入れるの?」
「エレベーターだよ」
「機械みたいなのはないけど?」
「ちゃんと動くよ」
カプセルはドアがついている、そして銀色の台に乗った。
「あっ、誰か入って来た!」
僕らと同じ年くらいの男の子だ。エースリーと同じように長くて白いポンチョを身にまとっている。僕らに気付いて、やあ、と声をかけてきた。その子は腰にさげている巾着を外して中身を噴水の水溜まりにザラザラと入れた。それはさっき噴水で光っていた色に似ているものだった。
「君を迎えに行く前に僕もあれをやってた」
「ふーん…」
よくわからないまま、カプセルのドアが閉じて地面に吸い込まれていった。床をすり抜けるとまた青い空間が広がっていた。ガラスの柱があちこちにある、さっきあの子が入れていたものが柱の中をゆっくりと落ちていく。
「あれって宝石?光ってる」
「そうだな、地球で言う宝石とはちょっと違うけど」
「きれいだね。こんなの初めて見た」
「いろんな色があるだろ、全部意味があるんだ。決してどれひとつ同じものはない」
そう言ったエースリーの目は優しく、誇らしげに見えた。宝石が落ちていくたくさんの柱の間をカプセルは静かに降りていく。僕は不思議な景色に見とれていた、さっきまで不安だった気持ちが段々といやされていく……
「あともうちょっとだ!」
強風に抵抗して必死で耐えていた手を放しそうになった時、突然虹色の強い光が目の前を走って思わず目を閉じた―――――
体がゆったりと浮かんでいるのを感じる。まるで放り投げられた気分だ。目をそっと開くとどこかで見た事のある景色が広がっていた。とてつもなくでっかくて丸い玉がそこらじゅうにある。確か本に載っていた、ここは…… 宇宙!?
「待って、酸素!!!」
思わずプラルリーから手を放して口を両手で抑えた。
「君は今、息をしなくても平気でいられるはずだよ」
「え」
確かに僕、息をしてない。
「どうして平気なの?」
「僕らと同じ体質になってるからさ。一時的にだけどね」
「エースリーっていったい何者?」
「難しい質問だな」
「人間じゃあないよね、こんな事ができるんだもん。まさか宇宙人?」
「ある意味宇宙人かも」
「はっきり言わないなあ」
「まずはリムーナ管理センターに行く」
エースリーはそう言ってあの縦笛で短いメロディーを吹いた。プラルリーは笛の先に吸い込まれて消えた。
「その笛、さっきからすごいね」
「まあね」
エースリー着ていたポンチョを外して僕らの上に放り投げた。ポンチョはふわふわと漂っている。そしてはっきりとした声でこう唱えた。
「スーアルグム!」
唱えた途端、ポンチョはまるで大きな口を開けるみたいに広がって僕らを一瞬で丸飲みに
した。真っ白な地面に向かって体が急降下していく、地面にぶつかる!と思った瞬間、体は大きく弾んで転がった。地面はマシュマロみたいに柔らかかった。辺りは真っ白な壁に囲まれていて、ドアがひとつある。エースリーは立ちあがり、ひらひらと落ちてきたポンチョを捉まえて身にまとった。
「そこがリムーナの入口だよ」
「リムーナって?」
「僕らの集合場所さ。ついてきて」
「うん…」
近付くとドアは自動で開いた。今度は青い空間で中央に大きな噴水がある。この部屋あれに似てる、水族館だ。噴水は全体が白く光っていて、時々色のついた光がふわっと見える。周りには透明の巨大なカプセルみたいなものがずらりと並んでいる。
「これに乗る」
「入れるの?」
「エレベーターだよ」
「機械みたいなのはないけど?」
「ちゃんと動くよ」
カプセルはドアがついている、そして銀色の台に乗った。
「あっ、誰か入って来た!」
僕らと同じ年くらいの男の子だ。エースリーと同じように長くて白いポンチョを身にまとっている。僕らに気付いて、やあ、と声をかけてきた。その子は腰にさげている巾着を外して中身を噴水の水溜まりにザラザラと入れた。それはさっき噴水で光っていた色に似ているものだった。
「君を迎えに行く前に僕もあれをやってた」
「ふーん…」
よくわからないまま、カプセルのドアが閉じて地面に吸い込まれていった。床をすり抜けるとまた青い空間が広がっていた。ガラスの柱があちこちにある、さっきあの子が入れていたものが柱の中をゆっくりと落ちていく。
「あれって宝石?光ってる」
「そうだな、地球で言う宝石とはちょっと違うけど」
「きれいだね。こんなの初めて見た」
「いろんな色があるだろ、全部意味があるんだ。決してどれひとつ同じものはない」
そう言ったエースリーの目は優しく、誇らしげに見えた。宝石が落ちていくたくさんの柱の間をカプセルは静かに降りていく。僕は不思議な景色に見とれていた、さっきまで不安だった気持ちが段々といやされていく……
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さっそくメッセージをいただきありがとうございます!読んでいただけることを楽しみに更新します(^^)