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第2章 Fun Lives at the Magic School
#8 もの知りテン(+1)才ミシェルちゃん
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先生が授業内容の発表をした瞬間に、クラス中が歓声をあげた。しかし、エレンとミシェル、あの2人だけは違った。またか、というようなつまらなそうな顔をしていた。
「ねぇ、でもさ、なんでアレ……」「言っちゃダメ。秘密でしょ。」
エレンがミシェルに何か話しかけていたが、とても小さな声だったので、隣にいる私でも聞き取ることができなかった。しかし、ミシェルがそれは秘密のことだと言っていたのはよく聞こえた。一体、あの2人が言っている秘密とは何だろうか……?
「はい、では始めましょう!もとは"神の如き者"という意味で名付けられた、2年前にこの世界を救った英雄の名前をフルネームで何と言いますか?」
先生がみんなに問いかけた。
「フルネーム……」「教科書に載ってたっけ……?」
教室内がざわめいた。しかし、やはりあの2人は違う。みんなが教科書をパラパラとめくって探している中、エレンとミシェルただ2人だけが一目散に手を挙げた。
「では、ミシェル・アーケンゼルさん。」
ミシェルは緊張などせず、堂々と立ち上がって答えた。
「はい。レグナークラ・レシムです。レグナークラは"レグナ"の愛称でおなじみですが、実は、レグナークラというのは名字で、レシムが下の名前です。」
ミシェルの発言の仕方からは、知っていて当然という雰囲気が漂った。 エレンは無言でそっぽを向いていた。
「それでは、2年前に封印された、しかもつい最近復活した魔王のフルネームは?」
ミシェルが手を挙げようとした。
…………そのとき!エレンのレリーフが眩しいほどに強く光り、それと同時にエレンは何かの呪いにかかったように気を失い、椅子から転げ落ちた。今までざわざわしていた教室が一気に静まり返った。ミシェルは自分が手を挙げようとしていたこともすっかり忘れ、今にも泣き出しそうな顔をしてエレンを見ていた。そこへ、急いで先生が駆けつけた。
「はぁ……。すっかり忘れていました。あの時のことを思い出してしまったのですね……。わたくしが保健室へ運びます。」
「待って、わたしがエレちゃんをおんぶしてく!」
ミシェルはとっさに言った。そしてミシェルはエレンをおんぶし、エルミー先生と一緒に保健室まで向かった。エレンが心配なので、私も付いていくことにした。
「…………エレちゃん……エレちゃぁぁぁぁん!!!」
ミシェルは泣き叫んだ。
「ミシェルさん、そんなに泣かなくても大丈夫ですよ。少し休めば、すぐ良くなります。」
「エレちゃん……。」
私たち4人は、物音一つ感じられないほど静かで、ただろうそくの炎が揺れているくらいの薄暗い部屋の中で待っていた。なんか、幽霊屋敷のような保健室だ。
「なんか不気味な部屋だね……。」
私はミシェルに話しかけた。
「うん、あの子はね……こういう感じが落ち着くって言ってたの。昔は……違ったけどね……。全て、あの戦争のせい……ううん、何でもないわ!ねぇ、不思議よね……。あの森のことを思い出すわ……。」
ミシェルは、どこか悲しそうな顔をして言った。やっぱりエレンちゃんは、戦争を知っていて、そのことを黙っているんだ……。あの「秘密」は、エレンちゃんとミシェルちゃんが経験した、戦争について……?──そうに違いない。私はそう感じた。
あの森とは、おそらくエレンの家がある暗黒の森のことだろう……。
エレンはまだ気を失っていた。エレンの首には、あの、不思議なお守り、"レリーフ"が掛かっていた。
「これ……取った方がいいんじゃ……」「触っちゃダメっ!」
ミシェルは息を切らして、真面目な顔をして私の方を見て言った。
「──いい?エレちゃんにこのことは言わないで!それと、あのレリーフには絶対触れちゃダメよっ!」
しばらくして、エレンは目を覚ました。
「あれ?あたし、なんでこんなトコいるの?……分かんないや。ねぇかなこ、何があったの?」
「えっ……?私、知らないよ!ミシェルちゃんに聞いて。」
私はミシェルに言われたことを思い出して、とっさに答えた。
「かなちゃんがメモを取りだそうとした時、間違えて居眠りの魔法を唱えちゃって、それがあなたに当たったの。」
「ねぇ!ミシェルちゃん!言わないでって言ったでしょ!」
私は、ミシェルとの演技は完璧だと、心の中で自画自賛した。しかし、エレンは、初心者にそんな魔法が使えるのか、と不思議そうな顔をしていた。そしてエレンは服の中に隠し持っていた杖を取り出して私の方に向けた。……怖い。そして私にこう言った。
「じゃあー、やってみなよ!」
えっ……?
私は予想外のことを言われ、どきっとしたが、ミシェルは動じなかった。ミシェルは急いで私の手を強く握りしめた。一体何をするの???
「かなちゃん、教科書取りに行くよ!モーヴェレ・アッド・クラビートル・アリケ・ウルトリチェス!」
あっ!その手があったのか!私はミシェルと、教室へ瞬間移動した。
「やっぱり教科書見て呪文唱えてたのか……。」
エレンはすっかり騙されていた。
「ねぇ、でもさ、なんでアレ……」「言っちゃダメ。秘密でしょ。」
エレンがミシェルに何か話しかけていたが、とても小さな声だったので、隣にいる私でも聞き取ることができなかった。しかし、ミシェルがそれは秘密のことだと言っていたのはよく聞こえた。一体、あの2人が言っている秘密とは何だろうか……?
「はい、では始めましょう!もとは"神の如き者"という意味で名付けられた、2年前にこの世界を救った英雄の名前をフルネームで何と言いますか?」
先生がみんなに問いかけた。
「フルネーム……」「教科書に載ってたっけ……?」
教室内がざわめいた。しかし、やはりあの2人は違う。みんなが教科書をパラパラとめくって探している中、エレンとミシェルただ2人だけが一目散に手を挙げた。
「では、ミシェル・アーケンゼルさん。」
ミシェルは緊張などせず、堂々と立ち上がって答えた。
「はい。レグナークラ・レシムです。レグナークラは"レグナ"の愛称でおなじみですが、実は、レグナークラというのは名字で、レシムが下の名前です。」
ミシェルの発言の仕方からは、知っていて当然という雰囲気が漂った。 エレンは無言でそっぽを向いていた。
「それでは、2年前に封印された、しかもつい最近復活した魔王のフルネームは?」
ミシェルが手を挙げようとした。
…………そのとき!エレンのレリーフが眩しいほどに強く光り、それと同時にエレンは何かの呪いにかかったように気を失い、椅子から転げ落ちた。今までざわざわしていた教室が一気に静まり返った。ミシェルは自分が手を挙げようとしていたこともすっかり忘れ、今にも泣き出しそうな顔をしてエレンを見ていた。そこへ、急いで先生が駆けつけた。
「はぁ……。すっかり忘れていました。あの時のことを思い出してしまったのですね……。わたくしが保健室へ運びます。」
「待って、わたしがエレちゃんをおんぶしてく!」
ミシェルはとっさに言った。そしてミシェルはエレンをおんぶし、エルミー先生と一緒に保健室まで向かった。エレンが心配なので、私も付いていくことにした。
「…………エレちゃん……エレちゃぁぁぁぁん!!!」
ミシェルは泣き叫んだ。
「ミシェルさん、そんなに泣かなくても大丈夫ですよ。少し休めば、すぐ良くなります。」
「エレちゃん……。」
私たち4人は、物音一つ感じられないほど静かで、ただろうそくの炎が揺れているくらいの薄暗い部屋の中で待っていた。なんか、幽霊屋敷のような保健室だ。
「なんか不気味な部屋だね……。」
私はミシェルに話しかけた。
「うん、あの子はね……こういう感じが落ち着くって言ってたの。昔は……違ったけどね……。全て、あの戦争のせい……ううん、何でもないわ!ねぇ、不思議よね……。あの森のことを思い出すわ……。」
ミシェルは、どこか悲しそうな顔をして言った。やっぱりエレンちゃんは、戦争を知っていて、そのことを黙っているんだ……。あの「秘密」は、エレンちゃんとミシェルちゃんが経験した、戦争について……?──そうに違いない。私はそう感じた。
あの森とは、おそらくエレンの家がある暗黒の森のことだろう……。
エレンはまだ気を失っていた。エレンの首には、あの、不思議なお守り、"レリーフ"が掛かっていた。
「これ……取った方がいいんじゃ……」「触っちゃダメっ!」
ミシェルは息を切らして、真面目な顔をして私の方を見て言った。
「──いい?エレちゃんにこのことは言わないで!それと、あのレリーフには絶対触れちゃダメよっ!」
しばらくして、エレンは目を覚ました。
「あれ?あたし、なんでこんなトコいるの?……分かんないや。ねぇかなこ、何があったの?」
「えっ……?私、知らないよ!ミシェルちゃんに聞いて。」
私はミシェルに言われたことを思い出して、とっさに答えた。
「かなちゃんがメモを取りだそうとした時、間違えて居眠りの魔法を唱えちゃって、それがあなたに当たったの。」
「ねぇ!ミシェルちゃん!言わないでって言ったでしょ!」
私は、ミシェルとの演技は完璧だと、心の中で自画自賛した。しかし、エレンは、初心者にそんな魔法が使えるのか、と不思議そうな顔をしていた。そしてエレンは服の中に隠し持っていた杖を取り出して私の方に向けた。……怖い。そして私にこう言った。
「じゃあー、やってみなよ!」
えっ……?
私は予想外のことを言われ、どきっとしたが、ミシェルは動じなかった。ミシェルは急いで私の手を強く握りしめた。一体何をするの???
「かなちゃん、教科書取りに行くよ!モーヴェレ・アッド・クラビートル・アリケ・ウルトリチェス!」
あっ!その手があったのか!私はミシェルと、教室へ瞬間移動した。
「やっぱり教科書見て呪文唱えてたのか……。」
エレンはすっかり騙されていた。
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