アイテムボックスだけで異世界生活

shinko

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その2

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 サウス男爵の館から出た後は、サランの町の冒険者ギルドへ立ち寄った。 

 冒険者カードを書き換えるためだ。

 話が通っていたのか、中に入ったとたんに盛大に歓迎され拍手で迎えられた。

「我が町を救ってくださった英雄に感謝いたします」

 ギルド長とギルド員、冒険者が口々に礼を言ってくれる。

 あまりに皆の目がきらきらしているので、嬉しいが恥ずかしい。

「まぁまぁ、皆さんその辺で……」

 なぜかウエスタンが返事をする。

「まーまー」

 オスマンも満足げに手を振っている。

「ウエスは本当、そういうの好きねぇ」

 シルフィーが呆れる。

「ふふふ、本当ですね」

「ああ、こいつらはぶれないな」

 受付に行って冒険者カードを出し、新しく渡されたカードを確認する。

 名前 エルヴァン・エアシル
 年齢 15歳
 冒険者ランク S 

 パーティー名 トライアングル・リーダー
 タイプ トリオ
 パーティーランク S ★★★青青青

 おおっ、ついにSランクだ。

 ボス討伐が、三ツ星の青に変わった。

 大水蛇王は三ツ星赤だからA-、今回のサイクロピスキングはA+か。

 Sクラス討伐だと四つ星になるらしい。

 ちなみにウエスタンは。

 名前 ウエスタン
 年齢 15歳
 冒険者ランク C

 パーティー名 スターズ・リーダー
 タイプ ペア
 パーティーランク C 
 ★★★青青青(参加)

「おっウエス、15歳になってるじゃないか」

「ああ、俺もオスマンも15歳だぜ。でもなんで参加なんだよ、俺達もSクラス英雄にしてくれよ」

 あきらめきれずに文句を言うウエスタン。気持ちはわからんでもない。

「じゃあスターズだけで、サイクロピス倒してみろよ」

「うっ、それを言われるとなあ……」

 頭をかくウエスタン。

「そうよ、ウエスの大盾で、サイクロピスを止めてみなさいよ」

「勘弁してくれ、あんなの踏みつぶされて終わりだ。盾とかそういう問題じゃない」

 ウエスタンも分かってはいるのだ。あくまで城壁に守られた上で、バリスタとミスリルの大槍があれば退治できるだけなのだ。

「だろ、だからだよ。まあ、実力で頑張り給え。Cランクプロでも十分すごいじゃないか」

「まあそうなんだけどな。でもSランク英雄を見ちゃうと霞んで見えるぜ……エル、Sランクカード見せてくれよ」

「ほら」

「うわっ眩しい!」

 皆で笑って移動した。

 ブルックときら星に乗り、ヘルンの町へ向かう。

 陽気ないい天気だった。サイクロピスが退治されたことも伝わっているのだろう、荷物を抱えた町の人がゾロゾロ戻ってきているようだ。

 「……勲章なんて凄い事ですよ、とても信じられません。それに……ついにSランク英雄冒険者ですよ。エルさん、私幸せです!」

 アルフィーがなぜか急に抱きついてきた。今まで抑えていたのが我慢できなくなったのかわからないが、よっぽど嬉しいのだろう。デレデレして頬をスリスリしてくる。

 珍しいな……頼むから前を向いてくれ。

「そうよ! Sランク英雄よ! 本当に信じられないわ。ついこないだまでFランク新人のホームレスだったのよ! こうなったら、ついでに男爵になって伯爵にしてもらいましょう」

 シルフィーまで興奮しておかしな事を言い出す。

「おかしいだろ、なんで伯爵なんだよ」

「だって褒美くれるんでしょ。男爵なんだから、なんやかんやで伯爵じゃないの」

「なんだよ、なんやかんやって……いや、あるかも知れないぞ」

 ある訳ねーだろ。

「でしょ、伯爵になると連れてくる従士が増えるから、面倒だって事じゃないの」

「そうかなあ、勲章って言ってたじゃないか。伯爵は勲章じゃないだろ」

「そうよねぇ、じゃあ何かしらね。考えてもしょうがないわ、行けばわかるわよ」

「シルが言ったんじゃないか。まあそうだな、行けば分かるさ」

「ふふふ、楽しみですね」

「ああ、アル。いい加減前を向いてくれ」

「えーいいじゃないですか。ブルックは賢いから大丈夫ですよ。ねっブルック」

 ブルッ。

 まるで話を聞いていたかのように、ちゃんと返事をする。確かに賢いな。


 まあ、いいか……それにしても人前で甘えてくるなんてよっぽど嬉しいんだな。

 いつもは前を向いているアルフィーが、完全に後ろ向きに座っているのだ。

 正面から抱っこしておっぱいを揉むのも、たまにはいいもんだな。


 当然旅人から見られているが、全く気にしないほどその日のアルフィーは甘えていた。

 もちろんその様子はすごく可愛いくて、俺も嬉しく幸せな気持ちになる。(バカップルのようだ)
 
「王都かぁ、一度行ってみたかったんだよ。ちょうど良かったな、オスマン」

「うん、すんごい楽しみー」

 ウエス達もワクワクしているようだ。俺達も初めて王都に行く時はそうだったから気持ちは分かる。

 
 ヘルンの町までそんなに遠くないのでゆっくり進んだ。

 昼休憩をして夕方には無事ヘルンの町へ到着した。


 ヘルンの町はそこそこの大きさのこじんまりとした田舎町だ。

 入場税を払い、冒険者カードを見せる。

「おおっ、Sランク英雄様! この度の討伐ありがとうございました!」

「おおっ、あの英雄様だー!」

「わーようこそ。英雄様ー!」

 一斉に町の人達が寄ってくる。もう話が伝わっているらしい。

 皆が寄ってきて揉みくちゃになっていた。

 
 ウエスタン達が……。


 俺達は布の服Fランク標準なので混雑をスルーして町に入った。

 ウエスタン達はミスリル装備、俺達は布の服なので彼らの方が英雄に見えるのだ。

「危ない所だったな……」

「ええ、さすが私達の盾ね。立派だわ」

「いい仕事してますね」

 皆が半笑いで感心する。

「これは褒美を取らさないとな」

「そうね、初めて役にたったんじゃない」

「それは言い過ぎですよシルフィーさん、たまには役立ちます」

 三人で笑って今夜の宿屋を探した。
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