アイテムボックスだけで異世界生活

shinko

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その2

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「魔人軍か……よし、行くか」

「じゃあ、俺はすぐに行くぜ」

 ギルド長の話を聞いた冒険者達がすぐに受付ブースに集まった。

 さらにギルド員の女の子達が外に行き、参加者を集めるように大声でアピールする。

 そのせいもあって続々と多くの冒険者が集まってきた。


「エル、どうする?」

 ウエスタンが聞いてくる。

「しょうがないな、参戦するか」

「流石エルさんですね、でっも今回はPTとしての参加ですか。それとも……」

 アルフィーが確認する。

「うーん、それだよな……まあ、冒険者PTとしての参加にするか。軍も率いてないし、西の辺境伯には面識もないしな」

「よし、じゃあ、俺達スターズも参加するか」

 ウエスタンもヤル気になったようだ。

「そうだな。じゃあガイバン、初仕事だ。悪いがこれからエアシルの町へ行ってうちの家宰、クライフにこの事を伝えてくれ」

 そう説明しながらエアシルの町の広告紙の裏に、ガイバンを伝令人として採用した旨を書いた。路銀として金貨一枚も渡しておく。

「おおっ! いよいよ初仕事でやんすな。分かったでやんす。で、戻りはどうするでやんすか」

 ガイバンも目を輝かせて立ち上がる。

「そうだな……俺達はセイランの町に行くからそこに戻ってきてくれ。いなかったら冒険者ギルドに伝言しておく。勿論無理はするなよ、特に急ぎでも何でもないからな」

「了解でやんす。ではエルヴァン殿。行って参るでやんす」

 飲みかけのエールを勢いよく飲み干すと、手を振ってガイバンは走り出した。

「なぁエル、大丈夫か。あれ」


 ウエスタンが心配そうな顔をする。

「まあ、いいんじゃないか。面白いし」

「そうね。変わったキャラでいいわよね。正直そうだし」

「ええ。悪い人には見えませんでしたね」


「そうですの。主様が選んだ人に間違いはないんですの」

「エルヴァン様は何でも即決なんですね。ウルの時もそうでしたし」

 話しながらウルフィーが俯いて赤くなった。

 たまらなく可愛いので後ろから抱きしめると甘く切ない香りがする。

 ウルフィーの匂いは危険だ。魅力的すぎてクラクラする。


 真っ白な艶やかな長い髪を持ち上げてポニーテールのようにして髪の毛で自分の顔を叩く。ああ、なんといういい香りだ。

「またエルがおかしくなってるわよ」

 まるでマタタビの臭いを嗅いだネコのようになっている姿を見てシルフィーが呆れる。

「主様はウルの香りが好きなんですのね。そう言えば……昔もあんな事して遊んでた気がするんですの」

 オルフィーが懐かしそうな遠い目をした。

「ふふふ、よくやりますよね。シルフィーさん」

「そうね、よくやるわねぇ。匂いフェチなのかもしれないわね。そうだ、そう言えば……馬小屋の匂いも臭いって言いながら嗅いでたわね」


「エル……それは変態だぞ」

「そーなのシルフィーちゃん? それはちょっと流石にきもいなー……」

 ウエスタンとオスマンが変態を見るような目つきで一歩引いた。

「いや、それは違うだろ。シルフィーが本当に臭かっただけだろ」


 普段は流す俺でもそこはキチンと抗議したい。


「うっ、そうね……言うんじゃなかったわ」

 皆で笑ってテーブルの食事を平らげた後、一、冒険者PTとして一緒に受付の列に並んだ。


 まずはウエスタン達スターズだ。

 気が付くとツルペタ受付嬢のエランメルさんの前に並んでいた。


 しまった! ……ウエスの野郎。

 金髪のふわふわした長い髪に白い肌、小さな体に小さな胸。間違いない美少女だ。うん、だが興味が無い。

 ウエスタンは分かりやすく、嬉しそうにデレデレしている。

「スターズさん。あっCランクプロですね。ボス戦の経験も豊富なんですね……素晴らしいです。今回の魔人軍討伐戦ですか。ありがとうございます。依頼表はこちらですがすぐにセイランの町にいかれますか。それとも明日出る軍の同行でしょうか」

 エランメルさんが説明する。

 なるほど、軍と移動する手もあるのか。まあ、どっちでもいいな。

「エル、どうする。先に行ってもいいけど……」

 ウエスタンが後ろを向いた。

「そうだな。先に行こうか」

「分かった。じゃあ、先に出ます」

「では、セイランの冒険者ギルドでまた受付をしてください。移動の間も少ないですが給金は発生しますので」

「分かりました」

 依頼書を受け取りスターズが移動した。


 続いて俺達の冒険者カードを出す。

「ええっ! Sクラスのトライアングルさんですか!? ……全然強そうに見えな、は! ゴホンゴホンっしっ失礼しました!」

「おい、トライアングルだって!」

「ま、マジか!」

「おい、どこだよ!?」

「あれだよ」

「えっ!? 全然強そうに見えな・いてっ! 何するんだよ」

「馬鹿! 殺されるぞお前。ドラゴンスレイヤーなんだぞ!」

「ああ、そ、そうか。いや、すまん」

 ギルド内が騒然となったが、チラリと見ると、皆がペコペコ頭を下げた。


 噂が先行して恐れられているようだ。

 手をあげて気にしてないよとゼスチャーしたがザワザワしてしまった。

「あっすいませんでした。いつのまにかクインテッド五人組になってるんですね」

 エランメルさんが申し訳なさそうに頭をさげた。

「ええ、嫁が増えましてね。参加しても大丈夫でしょうか」

「はい! 勿論です。ただ、Sランク様に合うだけの依頼料では無いのですがよろしいでしょうか」

 冒険者PT依頼の基本料はEランクで一日百ドロル、Dランクで三百ドロル、Cランクで千ドロル、が相場となっている。

 一応Bランクは三千ドロル。Aランクは一万ドロルとそれなりの目安はあるのだが、基本は話し合いで決めるそうだ。

 Sランクになると、もう国家規模の指名依頼になる。冒険者ギルドの範疇を超えているのだ。


 だが、別にSランクがDランクの仕事をしても問題はない。

 ただし金額もDランク相当だが。


 今回はCランク位までの依頼らしく、上のランクでも一律五百ドロルらしい。


 確かに安いな。


 まあ、魔人軍相手の緊急依頼で、数が必要になのでそこはしょうがないだろう。

「ええ、問題ありません」

「ありがとうございます! Sランクのトライアングルさんがいれば軍の士気が上がるでしょう。本当に助かります。では軍と同行でよろしいでしょうか」

「いや、俺達は先に行きますよ。セイランの町に」

「はい、わかりました。ではお願いします」

 依頼表を貰ってギルドを出た。


 ウエスタン達はきら星に乗って来ているので、預けてある宿屋まで皆で歩いて移動した。

 馬小屋にいるきら星に触って何気なく回収してみた。

 おっ出来た。

「あっ消えた!」

 すぐにジャン、と出して戻した。

 きら星も普通にしていて気が付いてもないようだ。

「おっ凄いなエル、生きてても普通に回収できるんだな……そうだ、俺を回収してみてくれよ」

 ウエスタンが恐ろしい事を言う。

「おい、いいのか。もしかしたら、なんかなるかもしれないぞ?」

「きら星も大丈夫なんだ。大丈夫だよ、サクッとやってくれ」

 いいのかな、流石に少し躊躇する。

「やってみてーエルちゃん」

 オスマンも簡単に言うが大丈夫だろうか。

「まぁ最悪アルがいるしな……じゃあ、いくぞウエス?」

「ああ」

 ジャンと音がしてウエスタンが消えた。
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