アイテムボックスだけで異世界生活

shinko

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外章

第百三十八話.アルフィーとシルフィーと白子の旅 6

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 数日後。

 宿場町を渡り歩き、海沿いの景色と海の幸を堪能しながら旅を楽しんでいた。獅子丸とも何度か連絡をとりエルヴァンからも西の端の町まで移動するように指示があった。

 向こうも今、海を隔てた西にある大陸に居て、こちらに向かって近づくように馬車で移動しているようだ。

 飛行船は奪われたらしいがオフロンとも合流出来たので、大きな町に移動して飛行船を新たに作るらしい。

 しばらくは時間がかかるのだろう。


 街道を順調に西に向かって移動して帝の治める町、帝都の目前までやって来た。

「食料(お餅とミソスープの素)も一杯買ったけど全然いらなかったわね」

 本当に宿場町が多いのだ。

 こんなにあるのかと、地図を見て疑っていたのだが、アホみたいにいくらでもあるのだ。

 街道沿いには、宿場町以外にも団子屋、甘味屋、お旅茶屋、峠の宿屋などの店も多いため、下手したら手ぶらでも旅ができそうだ。

 宿場町には温泉が出る所も多くあり、お風呂もほとんどある。


 まあ、高級な所にばかり泊っているのもあるのだが。

 店が多いので、お金さえあれば自由自在なのだ。

「ええ、何て言うんでしょうか。うちで言う旅と少し感覚が違いますね。本当に人が多いんですね」


 これだけの店があってやっていけるのだ。客も多くなければやっていけない。それだけ需要があるのだろう。

 宿場町の近くになると魔物除けの外灯のような物が周辺に設置してあり、魔物も寄ってこないのだ。領主が設置しているのだろうか。

 街道も人がほぼ目線にいるので盗賊もでない(本当に出ない訳ではない)安全に旅ができるようだ。


 そう思っていたら。


 宿場町の入口前でかなりの行列が出来ていた。皆がズラッと並んでいるのだ。

 どうしたのだろう。

「何を並んでるんですか」

 ちゃちゃから降りて、前の旅人に聞いてみた。女の二人連れだ。

「関所があるんですよ。ここからは帝様の領地なんです。まさか知らないんですか。通行手形がないと捕まりますよ」

 なかば呆れた感じで教えてくれた。


 身分証明書か。

 それならトコ姫に書いてもらった物がある。

「これがあれば大丈夫よね」

 トコ姫の治療師認定の身分証を出して見せた。

「へー……すごいわね。ちょっと見せてちょうだい」

 女がおおげさに感心したので少し優越感を感じる。


「実は私達も治療師なのよ。ほら」

 なんと、同じような身分証を持っていた。

 ミドリ一族 なんちゃらかんちゃら(よくわからない)

 シイを治療師として認定する。

 アヤを治療師として認定する。

 みたいな事が書いてある気がする。

 確かに同じような紙だった。

「あら! 奇遇ねぇ、でもこれがあればいいんでしょ?」

「ええ、大丈夫よ。あっあなた達、馬があるじゃないの。馬はほら、あそこで先に受付しないとまた並ぶハメになるわよ」

 女が指を差して教えてくれた。

 馬は受付が別らしい。


「そうなの、ありがとう」

「ありがとうございました」

 二人にお礼を言って列を離れて移動した。

 そこには馬を連れた人が数人並んでいた。皆他の旅人とは違い立派な恰好をしている。

 馬を持っている人は裕福な人が多いのだろう。


 並んで順番を待ち、自分達の番が来た。

 係のおじさん二人が不思議そうな顔をする。

「おめえ達何しに来たんだ?」

「えっ? 馬を持ってる人はここで受付するんじゃないの」

「いや。ここは領主の家来用の受付だぞ。おめえさん達は違うのか? 一般人は向こうの列だ」

「えっ? 馬は関係ないの」

「馬が手形持ってる訳ないだろ。可愛いお嬢さんがた、あっちへ並ぶんだな」

「ははは。だろうと思ったよ」


 門番のおじさん二人が笑った。

「いや。拙者もおかしいとは思ったのだ」

 後ろに並んでいる人達もにこやかにうなずいた。

 確かに皆立派な着物を着た人ばっかりだ。

 おかしいな。

「この身分証なんですけど」

「どれどれ、うん? 治療師か。ミドリ一族の……うん? おい。これ、家紋がおかしくないか」

「えっ? あっこれ……偽物だぞ。おい、お嬢さん。ちょっと来てもらおうか」

 急に門番の態度が変わり、腕をつかまれた。


「ちょっと何すんのよ。ちゃんと、グレイ一族のトコ姫の認定をもらってるのよ。確認してよ」

「ええ、ちょっと、怒りますよ」

 アルフィーも怒り出す。

「グレイ一族だ!? 見てみろ、ミドリ一族と書いてあるだろ。全然違うじゃないか」

 門番が身分証を見せる。

 あっ!? これさっきの姉さんのやつだ。

 入れ替わってしまったのだ。


「あっこれじゃないわ。そうか! さっき見せっこした時に間違えたんだわ」

「……もしかして、やられたかもしれませんね。シルフィーさん」

「えっ!? わざとって事? ……そうか。そう言えば不自然ね」

「とにかく言い訳はいいからこっちに来て貰うぞ」

 門番が一斉に集まってきて囲まれてしまった。

 どうしよう。飛ぶか? 話せばわかってくれるのか。


 迷っているうちに手を縛られて、何か魔道具のようなものをハメられてしまった。急に魔力が感じられなくなった。

 魔石と魔道具のような物が付いている手錠だ。

 ……これはまずい。

 魔力封じかもしれない。

「魔力封じよ!」

 アルフィーに叫ぶと、一瞬の隙をついてアルフィーが小太刀に気を当てて、白子を呼び出した。

 ボワンッ。と白子が現れる。

『どうした、敵か』

「これを持って隠れて!」

 アルフィーが投げた小太刀に飛びついて口に咥えると、白子はジャンプして屋根の上に消えた。

「あっこら! 抵抗するな」

 門番がアルフィーを押さえる。

 そして手に錠をかけられた。 


 ため息をつくアルフィー。

「信じてもらうしかないですね」

 アルフィーも諦めたようだ。

「そうね」

 大人しく門番に連れられて、中へ入っていった。
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