アイテムボックスだけで異世界生活

shinko

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外章

第百四十一話.アルフィーとシルフィーと白子の旅 9

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 街道を馬に乗り移動する。

 警戒はしていたが新たな追っ手もなく、無事次の宿場町にたどり着いた。

 何だかんだと色々あって疲労もあるので贅沢に高級宿に入室する。


 大体一人あたり小金二枚位のしっかりとした宿に泊まるようにしている。

 その分食事も美味しいし、何より客層もいい。

 貸し切りの個別風呂があるので安心なのだ。


 本日の宿が決まったので、近くのよろず屋に寄ってこの付近の地図を探した。

 帝都までの地図しかなかったからだ。


 この国のすべてが描かれた新しい地図を見て驚愕した。

 実は思ったよりこの島はずっと長いのだ。


 もっと北の海沿いを西に向かわないと西の端まで行けないのだ。

 このまま帝都中央まで進むと遠回りになってしまう。

 そうすればまた北上する必要があった。

 今はまだ帝都に向かう途中なのだ。


「意外と広いんですね、この国は……でも分かって良かったです。回り道する所でしたね」

「そうね、本当に細長いのね。まあいいわ、じゃあ帝都には向かわずにこっちの海沿いの街道を行けばいい訳ね」

 新しい地図を手に入れて、宿に戻った。

 ゆっくりとお風呂で疲れを取り、その日はすぐに就寝した。


――その日の深夜。


 宿で寝ていると、夜中に恐ろしい声が聞こえた気がした。

 疲れていたはずなのに気になると目が冴えてしまう。


 ……嫌な夜ね。


 お化けでもいるのかしら。

 辺りはまだ深夜のため真っ暗だ。


 怖いが気配探知で周辺を探ってみる。

 特に殺気などは感じない。


 廊下を挟んだ向こうの部屋では、男女が天国へ昇りあっている気配はするのだが……。

 こんな夜中に激しくするなんて……。



 羨ましいわ。


 しばらくしてないので私もさみしい。

 エルの事を思い出して悶々と体があったまってきた。

 その時。
 

『我を元の場所に戻せ、主人の元に戻すのだ』

 不思議な声が完全に聞こえた。


 はっと上体を起こすと、アルフィーも目を覚ましたようだ。

 アルフィーにも声が聞こえたのだろう。


「アルフィーさん……もしかして、妖刀円月がしゃべってるんじゃない?」

 次元袋の中から不思議な気を感じるのだ。


「ええ、そうかもしれません。念のため白子を出しましょう」

 アルフィーが小太刀に気を当てて白子を呼び出すと、ボワンッと白子が現れた。


『どうした……ほう、この中の刀が泣いておるのだな』

 流石聖獣、白子はすぐにわかったようだ。


 危ないものではないらしく、白子の指示により妖刀を次元袋から外に取り出した。

 悲しくて泣いているらしい。


「どうしましょう、白子さん。戻してあげた方がいいんですか? でもシイナさんは死んじゃったし……」

『そうだな、戻してやったらどうだ。この刀の主人はシイナではない。元々の持ち主から盗まれた物だろう。刀よ主人は誰なのだ?』

 白子の問いに妖刀が答える。


『おお、聖獣殿がいるとはありがたい。我は円月、主人はミヤと言う娘だ』

『ミヤか。名前だけではどうもならん。そなたはどうして欲しいのだ』

『我の屋代がイズマにあるのだ。そこに戻してもらえればお礼はする』

『ほう、お礼とはなんだ。悪いが我も、我が主も暇ではないのだ。異国にてこれより西に向かう旅の途中なのだ。そのイズマを探してやる義理はない』

 見た目は小さく可愛い白子だが、話す口調は偉そうだ。


『そのとおりじゃ。わがままを言っているのはわかっている。だがこれも何かの縁。イズマは帝都より西の町じゃ。ついでにそこに戻してくれぬか』

『ついでならいいが、お礼とはなんだ? 正直たいした力がある刀とは思えん。お主、古いが死にかけではないか』

『……さすが聖獣殿。神の刀と言われたこの円月も屋代を離れ数十年、信仰も無くして消滅寸前なのじゃ。屋代に戻り、また力を戻した暁には、何かしらの加護を与えると約束しよう』

 妖刀と言われていたのに、元は神の刀らしい。妖怪に使われているうちに妖刀と言われただけだろうか。


「そうなのですね、円月さん。弱っているのなら、もしかして光の回復呪文で癒せるかもしれません」

「そうよ! アルフィーさんの状態回復ならいけるんじゃない。どう、一応寝たし、Cランクの呪文ならいけるでしょう」

 本当に神の刀なら光の力で回復しそうだ。


『そんな事ができるのか? 巫女以外でそんな事が出来るとは思えぬが……』

 疑う円月に対してアルフィーが自信たっぷりに微笑むと、次元袋からステッキを取り出して浴衣を脱いだ。


 素晴らしいおっぱいが現れた。


「では、行きます。天使の翼エンジェルウイング! 特別状態エクストラ回復リジェネ!」

 光り輝いたアルフィーから癒しの光が放たれた。刀が光を受けて鈍く輝く。

『おおおお! 素晴らしい力だ。なんとっ……三割程は回復したようだ。娘よ! いや、新しい我が主人と呼んだ方が良いだろうか』

 感動した円月が調子のいい事を言う。

 結局癒してくれれば何でもいいんかい!


 まあ、でもそうでしょうね。

 消滅しちゃうところだったもんね。

「ええ、一日一回ならかけてあげますよ。今ので三割なら、後三日で全快になりますね」

 アルフィーが優しく微笑んだ。


『ありがとう、我が主人よ。これよりこの円月、あなたの力になりましょう』

『勝手な奴だな。では今後は主人アルフィーのいる場所がお主の場所で良いのか。イズマとやらは良いのだな』

『そうですね。現状を見てみたい気はするのですが、いつまでも過去にこだわっていてはいけません。これも運命、アルフィー様にお仕えいたします』


 なんじゃそりゃ!

 
 話がまとまったところで、まだ夜中なのでほっとして二度寝した。 
 

 翌日、美味しい朝食を食べた後。

 アルフィーが魔法で破れた服を治してから出発した。


 ついでに道具屋に寄り、円月を収納できる適当な革の鞘を買う。


 ちゃちゃに乗ってさらに西へ向かう街道を進んで行く。

 アルフィーの腰には神刀円月と白獅子の小太刀が差さっていた。
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