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小5の時、人を呪ったら効いた
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なにか言い争いをしていた末の結果だったと思う。
ある日、とある男子に股ぐらをおもっくそに蹴りあげられた。
ご存知だろうか、女でも金テキを食らうとガチで動けなくなる。
空き教室に男女4人。
お互いに一人ずつ、側に友達が控えていたが、この事態にどうすれば良いのか双方狼狽えていた。
一方私はあまりの痛みに動けなくなって、うずくまって、涙を堪えていた。
その男子はただ見下ろしていた。
その表情は確認できなかったけれど、吐かれた言葉の音の調子から、うすら笑っている感じがとれた。
その時私は決意した。
こいつ、ぜったい許さねえ。
のろってやる。
そう、小学校5年生にして、私は中二病を患っていた。
自他共に認める、まぁまぁの不思議ちゃんであった。
そこからは早かった。次の休み時間に、私は早速、自作の呪いを考案する。
紫の折り紙を用意する。
赤ペンで、文字を書く。
【相手の名前】を固く呪います。
1 3 4 666 9 13
小学生の知っている限りの、不吉な数字を並べて。
それを鶴に折って『形』とし、それを、憎い相手の顔を思い浮かべながらぐちゃぐちゃにする。
鶴さん、あなたがボロボロにされるのは、アイツのせい。アイツのせいだよ。アイツがあんなことしたから、あなたはこんな風にされるんだよ。
破って、破って、純粋な復讐心でボロボロにして、最後にトイレに流した。
ぐちゃぐちゃになって、ほとんどただの紙に戻ってしまった鶴形は、水に溶けずに排水溝へと吸い込まれていった。
これは、この呪いは「私は悪くないのに乱暴をしてきた男子」にしか使わない。しかも「使うのは、一年に一回だけ」。
そう、制限をつけた。
今思えば『HUNT○R×H○NTER』のクラ○カの師匠さんが「制約と誓約!」……とか言ってるのが頭に浮かぶ。
当時は読んでなかったし、そこまで本誌もそこまで行っていなかった時代だろう。私、昭和生まれだから。
でもそういう縛りがあった方が、効き目があるんじゃないかと思った。ごく自然にそんな決まりを作って、鶴形を見送った。
そのあと、一週間ぐらい経った頃だろうか。
奴が教室に、いない。
あれ、今日アイツいないや、ラッキー! ぐらいに思っていたら、朝の会で先生が予想外のことを言った。
「えー、***くんが、実は昨日、骨折してしまったのでー……暫く入院です。後で、お見舞いの折鶴と色紙をみんなでつくりましょう」
もしかして効いたんだ!?
私は歓喜した。
まぁ……偶然だろうけど。
冷静にそう思いつつも、私は暫く、嫌な顔を見なくて済んで最高の日が続いた。
奴は、ほどなくして、ギプスを腕にして復帰した。
しかしその数ヵ月後、6年生になる前。ヤツは親の仕事の都合で引っ越した。
目の前から完全にいなくなって、私は効果を確信した。
小6に、なった。
今度は別の男子に、首根っこを後ろからギリギリと、片手で絞められた。
教室で、教卓の前で、クラスメイトの面前で。
ツボに入ったのかなんなのか、初めてすぎるその攻撃はめちゃくちゃに痛くて、叫んだ。
いじめられっこ? いいえ、ただの不思議ちゃんです。
そして私は、決意する。
こいつ、ぜっっったいに、呪ってやる。
かくして二度目の自作呪いを実行した私。
効果はやはり一週間後ぐらいで、出た。
「えー、***くんが暫く入院します。盲腸らしい。手術をするので、応援の折鶴を皆で折りましょう」
ああ、そうか、折鶴。
なんとなくゾワッとしながら、それでも私の心の内は復習心が晴らされてスッキリしていた。
ありがとう、鶴さん。本当にありがとう、罰を与えてくれて。ボロボロにした鶴に感謝して祈りを捧げながら、見舞いの鶴を折った。
盲腸から無事回復した男子とは、高校3年になってから、別の学校だったがなんか仲良くなった。ミスドで勉強を教えてもらうような仲になった。
私はポロリと、小6の時にアンタを呪ったんだ、そのあとすぐにお前は盲腸になった、と告げた。
「ハァッ!? あの時俺、中学受験の真っ只中やったんやぞ! おかげで第一志望逃してんやからな!!? 何てことしてくれてん」
怒りながらも、私の不思議ちゃん発言を信じて、でも笑ってくれたソイツには、幸せになってほしいと思う。
中学生になった。
けれど中学生になると、さすがに男子から理不尽な痛みを与えられることは、なくなった。
ただ1人、口臭のクッサイ【情報技術】科目の男性教諭から理不尽な怒られ方をされて、呪った。
が、なにも起きなかった。
まぁ身体も発達してきたし、私の"そういう力"も薄まってきたのかもな……
相変わらず、私は中二病を拗らせていた。
まさに中2だったし仕方がなかろう。
数年後、【情報のパソコンの授業中】に、エロサイトを視ていたその先生が──
──操作を誤って生徒のPCモニターに【エロ動画 生ライブオンエア中】して飛ばされただか免職されただか、っていうのは、ただの自業自得だと思う。
高校生になった。
ものっすごく鬱陶しい、英語の女性教諭がいた。
何かしらのことで叱られて、久し振りにぐつぐつと煮えたぎる復讐心のままに、鶴を折ってぐちゃぐちゃにして、トイレに流した。
一週間経っても、やはり何も起きない。
当然か──今回は、乱暴もされていなければ、男子でもない。叱られたのにも、理由があるっちゃある。
そんなことを考えながら、電車に乗るために定期を探して、鞄に手を突っ込む。
「痛ッ!?」
鋭い痛みを感じて手を引き抜く。
見れば指から血が滲んでいて、あっという間にだくだくと流れ始めた。
「なんで……!?」
鞄の中をみると、カミソリが「やぁ!」と顔を出していた。
くっそ、コレかよ。
これが、呪い返しか……!
JKになっても私の中二病は、健在だった。
深く切ってしまって、圧迫しても血が止まらない。つり革に掴まりながら手を上にあげていても、つぅ、と垂れてくる血。次第に痺れる指先。
もうダメだな。年齢も年齢だし、決まり破ったら返ってくるわ……いや、カミソリちゃんと仕舞ってなかった自業自得だけど。
電車に揺られながらそんなことを思って。学校に着くころには、なんとか血は止まった。登校時間ギリギリだったので保健室には行かず、教室で友達に絆創膏をもらって、指に貼る。左手だったのが幸いか。
奇しくもその日は、件の鬱陶しい女性教諭の英語の授業がある日だった。
憎い先生が、教室に入ってきた。
──額に、大きなガーゼをくっつけて。
「ええーっ、先生どうしたんですかソレ、頭ぁ!」
クラスメイトが尋ねる。
「コレねー? 今朝、お風呂場で滑って切っちゃってぇ~。いつもそんなこと絶対ないのに。もう、血がいっぱい出て朝から大変だったんだからぁ~ピエン」
なるほど、痛み分けか……
私はニヤリと笑みを浮かべた。
紹介した呪法は、小学生時代に、評判を聞きつけて乞うて来た友達にバラ撒きまくったので、今さら何のと怖くはない。
が、友達からその後「効いた」という話は聞かなかったので、何も起こらなかったのだろう。
だが、呪法にかかわらず、自作でもなんでも、気持ちが強ければ何かしらの何かは、起こりうるのかもしれない。
──思うに、【因果応報】である。
ある日、とある男子に股ぐらをおもっくそに蹴りあげられた。
ご存知だろうか、女でも金テキを食らうとガチで動けなくなる。
空き教室に男女4人。
お互いに一人ずつ、側に友達が控えていたが、この事態にどうすれば良いのか双方狼狽えていた。
一方私はあまりの痛みに動けなくなって、うずくまって、涙を堪えていた。
その男子はただ見下ろしていた。
その表情は確認できなかったけれど、吐かれた言葉の音の調子から、うすら笑っている感じがとれた。
その時私は決意した。
こいつ、ぜったい許さねえ。
のろってやる。
そう、小学校5年生にして、私は中二病を患っていた。
自他共に認める、まぁまぁの不思議ちゃんであった。
そこからは早かった。次の休み時間に、私は早速、自作の呪いを考案する。
紫の折り紙を用意する。
赤ペンで、文字を書く。
【相手の名前】を固く呪います。
1 3 4 666 9 13
小学生の知っている限りの、不吉な数字を並べて。
それを鶴に折って『形』とし、それを、憎い相手の顔を思い浮かべながらぐちゃぐちゃにする。
鶴さん、あなたがボロボロにされるのは、アイツのせい。アイツのせいだよ。アイツがあんなことしたから、あなたはこんな風にされるんだよ。
破って、破って、純粋な復讐心でボロボロにして、最後にトイレに流した。
ぐちゃぐちゃになって、ほとんどただの紙に戻ってしまった鶴形は、水に溶けずに排水溝へと吸い込まれていった。
これは、この呪いは「私は悪くないのに乱暴をしてきた男子」にしか使わない。しかも「使うのは、一年に一回だけ」。
そう、制限をつけた。
今思えば『HUNT○R×H○NTER』のクラ○カの師匠さんが「制約と誓約!」……とか言ってるのが頭に浮かぶ。
当時は読んでなかったし、そこまで本誌もそこまで行っていなかった時代だろう。私、昭和生まれだから。
でもそういう縛りがあった方が、効き目があるんじゃないかと思った。ごく自然にそんな決まりを作って、鶴形を見送った。
そのあと、一週間ぐらい経った頃だろうか。
奴が教室に、いない。
あれ、今日アイツいないや、ラッキー! ぐらいに思っていたら、朝の会で先生が予想外のことを言った。
「えー、***くんが、実は昨日、骨折してしまったのでー……暫く入院です。後で、お見舞いの折鶴と色紙をみんなでつくりましょう」
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私は歓喜した。
まぁ……偶然だろうけど。
冷静にそう思いつつも、私は暫く、嫌な顔を見なくて済んで最高の日が続いた。
奴は、ほどなくして、ギプスを腕にして復帰した。
しかしその数ヵ月後、6年生になる前。ヤツは親の仕事の都合で引っ越した。
目の前から完全にいなくなって、私は効果を確信した。
小6に、なった。
今度は別の男子に、首根っこを後ろからギリギリと、片手で絞められた。
教室で、教卓の前で、クラスメイトの面前で。
ツボに入ったのかなんなのか、初めてすぎるその攻撃はめちゃくちゃに痛くて、叫んだ。
いじめられっこ? いいえ、ただの不思議ちゃんです。
そして私は、決意する。
こいつ、ぜっっったいに、呪ってやる。
かくして二度目の自作呪いを実行した私。
効果はやはり一週間後ぐらいで、出た。
「えー、***くんが暫く入院します。盲腸らしい。手術をするので、応援の折鶴を皆で折りましょう」
ああ、そうか、折鶴。
なんとなくゾワッとしながら、それでも私の心の内は復習心が晴らされてスッキリしていた。
ありがとう、鶴さん。本当にありがとう、罰を与えてくれて。ボロボロにした鶴に感謝して祈りを捧げながら、見舞いの鶴を折った。
盲腸から無事回復した男子とは、高校3年になってから、別の学校だったがなんか仲良くなった。ミスドで勉強を教えてもらうような仲になった。
私はポロリと、小6の時にアンタを呪ったんだ、そのあとすぐにお前は盲腸になった、と告げた。
「ハァッ!? あの時俺、中学受験の真っ只中やったんやぞ! おかげで第一志望逃してんやからな!!? 何てことしてくれてん」
怒りながらも、私の不思議ちゃん発言を信じて、でも笑ってくれたソイツには、幸せになってほしいと思う。
中学生になった。
けれど中学生になると、さすがに男子から理不尽な痛みを与えられることは、なくなった。
ただ1人、口臭のクッサイ【情報技術】科目の男性教諭から理不尽な怒られ方をされて、呪った。
が、なにも起きなかった。
まぁ身体も発達してきたし、私の"そういう力"も薄まってきたのかもな……
相変わらず、私は中二病を拗らせていた。
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「痛ッ!?」
鋭い痛みを感じて手を引き抜く。
見れば指から血が滲んでいて、あっという間にだくだくと流れ始めた。
「なんで……!?」
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くっそ、コレかよ。
これが、呪い返しか……!
JKになっても私の中二病は、健在だった。
深く切ってしまって、圧迫しても血が止まらない。つり革に掴まりながら手を上にあげていても、つぅ、と垂れてくる血。次第に痺れる指先。
もうダメだな。年齢も年齢だし、決まり破ったら返ってくるわ……いや、カミソリちゃんと仕舞ってなかった自業自得だけど。
電車に揺られながらそんなことを思って。学校に着くころには、なんとか血は止まった。登校時間ギリギリだったので保健室には行かず、教室で友達に絆創膏をもらって、指に貼る。左手だったのが幸いか。
奇しくもその日は、件の鬱陶しい女性教諭の英語の授業がある日だった。
憎い先生が、教室に入ってきた。
──額に、大きなガーゼをくっつけて。
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クラスメイトが尋ねる。
「コレねー? 今朝、お風呂場で滑って切っちゃってぇ~。いつもそんなこと絶対ないのに。もう、血がいっぱい出て朝から大変だったんだからぁ~ピエン」
なるほど、痛み分けか……
私はニヤリと笑みを浮かべた。
紹介した呪法は、小学生時代に、評判を聞きつけて乞うて来た友達にバラ撒きまくったので、今さら何のと怖くはない。
が、友達からその後「効いた」という話は聞かなかったので、何も起こらなかったのだろう。
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