【完結】とあるポンコツ女神サマの恋愛術!

コル

文字の大きさ
16 / 41
4章 とある女神サマ、失敗する

その時を待つ(2)

しおりを挟む
 とはいえ、メイティーの言う事にも一理はあるところはあるんだよな。
 前の理科の授業の時、あの時は三馬鹿の邪魔が入ったが、もし邪魔が入らずあのまま神野さんの隣にいられたとして俺は行動が出来ただろうか。
 いや、出来なかったに違いない……あまりしゃべれずに授業が終わったと思う。
 時とタイミングも大事だけど、俺自身がその時に行動を移す様にならないと駄目だよな。

「あっやっぱり。春彦の声がするな~と思ったら居たわ」

 え?

『あら?』

「……香夏子!?」

 体育館の小窓から、香夏子が顔を出して俺を見ていた。
 メイティーの話を聞いていて全く気が付かなかった。

「いっいつからそこに? つか、なんでそんな所にお前が居るんだよ!?」

「なんでって、次の授業は体育だからその準備の為よ」

 ああ、なるほど。
 俺のいる位置は体育館の中にある倉庫前だったのか。
 体育館裏に人が居ないと完全に油断していた。
 そうだよな、外に居なくても中にいる可能性はあるに決まっているじゃないか。

「そういうあんたこそ、こんな所で何しているのよ?」

「えっ? そのは、その……」

 まずい。
 こんな人気のないところで、俺一人いるって状況は非常にまずい。

「ああっ!! まさか、あんた、タバコか何かまずい事でもしていたんじゃないでしょうね!? 最近、休み時間になるとどこかに行っていると思ったけど……」

 だよな!
 やっぱり、そう思っちゃうよな!

『えっ、貴方そんな事をしていたの!? 駄目じゃない、タバコを吸ってもいいのは20歳以上からよ!』

 いや、お前はいつも俺を見ているだろうが。
 なんでそんな考えになっちゃうんだよ。

「違う! 誤解するな! 俺はなにもしていない! ほら、タバコの臭いもしないし、俺の周りにもなに落ちていないだろ!?」

『むむむ……そういえばそうね』

 頼むからお前は黙っていてくれ。

「スンスン……確かに……じゃあ、こんな所で何をしていたのよ?」

「うっ……」

 確かにとは言っているが、香夏子の目は相変わらず怪しんだままだ。
 女神サマと話してましたー。
 なんて、正直に話したところで信じてもらえないだろうし、余計怪しまれるだけだよな。
 何かないか……何か……。

 ――ガサガサ

「ん?」

 茂みから何やら音が……。

『わ~猫だ~! おいで~おいで~……あれ? 何なのよ~この子ったら、アタシの方を見向きもしな……あっそうか、アタシの姿が見えないから当たり前か』

 へぇー動物にもメイティーの姿は見えないんだ。
 いや、今そんな事はどうでも……ハッ! そうだ、これはグッドタイミング!
 こいつを使えばうまく誤魔化せるぞ。

「猫だよ、猫! ほら、あそこにいるだろ?」

「猫?」

「にゃ~ん」

「あっ本当だ~かわいい~!」

「最近、見つけたんだよ! で、どうにか仲良くなれないかとちょくちょくここに顔を出していたんだよ。おーい、猫ちゃーん! こっちにおいでー!」

 これなら、ここに居ても不思議じゃないだろう。

「……プイッ」

 猫にそっぽを向かれて、どこか行ってしまった。
 とっさの事とは言え、そんな事をされるとなんか傷つくな。

「ありゃどこか行っちゃった。もう~駄目じゃない、もっと優しく呼ばないと」

 うるせぇよ。
 とっさだったから、そこまで考えられなかったんだよ。

『そうそう、だから奥手になっちゃうのよ』

 うるせぇよ。
 それとこれとは話が違うわい。

「それよりもさ、早く着替えないと体育に間に合わないわよ?」

「あっ! そうだ、こんな事をしている場合じゃない!」

 急いで、教室に戻って着替えないと。
 体育の下谷先生は怒ると怖いんだよな。

「自分からここに来ていて、何言っているんだか……」

「香夏子ちゃん、窓なんか開けてどうかしたの?」

「いやね、春彦がいたの」

「へ? 種島くんが? なんで?」

「猫がいたから、仲良くなりたかったんだってさ」

「へぇ~種島くんって猫が好きなんだ……そっか~……」

「……ん? むしろ苦手だったような……まっいっか」



「くそっ! これで怒られたらお前のせいだからな!」

 急げ急げ。
 着替えをメイティーに見られているが、今は気にしている場合じゃない。

『なんでアタシのせいなのよ~』

 こいつの愚痴も無視無視。
 ……よし、着替え完了。

「それじゃあ、俺は体育に行くから! あと弁当2個持って来ているから、1個好きな時に食っていてもいいぞ!」

 間に合えー!

『せわしないわね~……今小腹が空いているし、少し食べちゃおっと』


「――っ!」

 体育館に滑りこんだが、どうだ。
 下谷先生は……無いっぽいが。

「ハルルンよかったねぇ、まだ下谷先生は来てないよぉ」

「そうなんだ……ふぅ……」

 何とか説教を回避できたみたいだ。
 あー良かった。

「まだというか三馬鹿がまたやらかして説教しないといけないから、先にやっててって言われたの。今日の体育は体育館を半分わって、男子はフットサル、女子はバスケだってさ」

 ああ、それで香夏子が先に来て準備していたのか。
 ……じゃあ別に急がなくてもよかったのでは?
 おのれ香夏子の奴、わざと焦らす事を言いやがったな。



「パスパス!!」

「いけ~! 香夏子ちゃん!!」

「いけえぇ~!」

 俺のプレイを神野さんに見て貰いたかったけど、運動神経抜群である香夏子のプレイに完全に持っていかれている。
 まぁ俺のプレイなんて凡人……下手をすればそれ以下だから、どの道見てはもらえないか。
 香夏子みたいに運動神経抜群で動けたらなー。

「種島、パス!」

「え?」

 しまった!
 余所見をしていたから、足元にボールが転がって来たのに反応できない。
 このままじゃ、ボールを踏んづけてこけ……。

「――はぶっ!!」

 ……ってしまった。

「種島!? おい、大丈夫か!」

「つぅ~……」

 右膝が燃える様に熱くて痛い。
 滑る様にこけたから、体育館の床の摩擦で火傷の様な擦り傷が出来てしまった。
 中々血が止まらんぞ。

「うわ……これはまた痛そうだ……」
「何々?」
「どうしたの?」
「誰か、ハンカチかティッシュ持っていないか?」

 男子が集まり、女子も何事かとこっちを見ている。
 ただでさえ、ボールを踏んづけて転んだってだけで恥ずかしいのに注目されるのはもっと恥ずかしい。

「だっ大丈夫、こんなの押さえておけばすぐ止まるって」

「何を言っているんだ、流石にそれは保健室に行った方がいいって。えーと、保健委員は……」

「あっ私! 私が保健委員だよ」

 神野さんが、俺の傍に駆け寄ってきた。
 これって、あれか? よく漫画とかにある怪我をしてしまって、ヒロインと保健室で2人きりになり、ドキドキの展開――。

『何々? どうしたの? 何があったの? ねぇねぇ!』

「……」

 ――にはさせて貰えないらしい。
 どうしてこんな時にすっ飛んで来るんだよ、この女神サマは!?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない

朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。 止まっていた時が。 再び、動き出す―――。 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦* 衣川遥稀(いがわ はるき) 好きな人に素直になることができない 松尾聖志(まつお さとし) イケメンで人気者 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』

鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。 だからこそ転生後に誓った―― 「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。 気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。 「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」 ――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。 なぜか気づけば、 ・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変 ・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功 ・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす ・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末 「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」 自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、 “やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。 一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、 実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。 「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」 働かないつもりだった貴族夫人が、 自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。 これは、 何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...