【完結】とあるポンコツ女神サマの恋愛術!

コル

文字の大きさ
26 / 41
6章 とある女神サマ、夏休みを堪能(下旬)

波乱の夏祭り(1)

しおりを挟む
 今日はみんなで夏祭りに行く日。
 ……なのだが、俺にとってはすごい緊張する日になってしまった。
 なんたって先に神野さんと待ち合わせをしているからな。
 神野さんとは何回も会っているが、2人っきりは初めてだ。

「この服装で大丈夫かな……ダサイと思われないだろうか?」

『なに今さらそんな事を言っているのよ。普段と変わらないじゃない』

 今日はまた違うんだよ、みんなと2人っきりではな。
 まぁメイティーにはこの事を話していないから、そう言うのも仕方ないが。

『あ~やっぱり駄目みたいね……しょうがない、今日は諦めるしかないか』

 メイティーが肩を落としている。
 どうも夏祭りで、またしてもナンパ計画を立てていたらしい。
 しかし、肝心のマーチョとマッソー兄弟は用事で来れず。
 他の知り合いにも声を掛けたそうだが……あの感じだと、全員駄目だったみたいだな。
 にしても、またナンパ作戦だったりバーベキューの時は肉に流れたりと最近雑になって来ているのは気のせいだろうか。

「おっと、もう17時か。そろそろ、出かけるぞ」

 神野さんとの約束の時間は17時半だから、待ち合わせの場所を考えるとそろそろ出かけないと。

『あれ? もう出かけるの? 皆との集合時間まではまだまだじゃない』

 みんなとの集合時間は神社前に18時だものな。
 確かにそう考えると早いわな。

「ちょいと訳ありなんだ」

『訳あり? ……もしかして、アタシに黙っていた事があったんじゃないでしょうね!?』

 正解、だがもう遅いんだよな。



 集合場所のタコ公園に到着っと。
 えーと、神野さんは……よし、まだ来ていないみたいだな。
 待たせるのは悪いから早めに家を出て正解だった。

『? 公園? 一体どういう事なのよ』

 そこに関したら、俺も疑問に思った。
 お互いの家から祭り会場まで考えると、タコ公園の位置って微妙に遠回りになってしまうからな。
 まぁ神野さんの指定だから文句はないけどね。
 待っている間に、ジュースでも……。

「種島くん!」

「あ、神野さん」

 アサガオ柄の浴衣を着た神野さんが、小走りでこっちに来た。
 うおおおおおおおおおお……制服や普段着と違って、浴衣姿もまたグッと来るものがあるな。

「はぁ~はぁ~……ごめんね、待たせちゃって」

「全然気にしないで! 俺も今来たところだし!」

 髪もいつもと違って後ろに束ねているから、また印象も変わるなー。
 可憐で美しい……それしか言葉が思いつかないよ。

『ちょっと、何よこれ! もしかして、アタシに黙っていた事はこれなの!?』

 同じ顔でも、後ろでギャーギャーと喚いている奴とは大違いだ。

『ちゃんと言いなさいよ! この時の為に最高の作戦を考えたのに!』

 だから言わなかったんです!!
 最高どころか最低になるのは目に見えていたからな!

「だったら良かった。わ~周辺は変わったけど、公園の中は全然変わっていないんだね」

 ん? 神野さんからここへ集合と言ってきたのに、それだと久々に来たような言い方だな。
 どういう事なんだろう?

「私ね、昔ここで遊んでいたの」

「え、そうだったんだ」

 やべぇ全然記憶にない。
 小学生時代とはいえ、神野さんがここで遊んでいたら気付きそうなんだが……。

「うん。でも、私が小学生の時にお父さんの転勤で引っ越したの。1年前にこっちへ戻って来て、蓮華高校に進学したの」

 なるほど、そうだったのか。
 通りで記憶にないわけだ。

「俺も小学生の頃、この公園で遊んでいたよ。いやー神野さんと一緒に遊べなかったのは残念だったな」

 引っ越しもそうだが、恐らく遊ぶ時間帯も違ったんだろう。
 うーん……本当に残念だ。

「……そう……だね」

 神野さんが顔を曇らせている。
 俺と同様に遊べなかったのが残念だったのかな?

「……」

「……」

 まずい、なんか変な空気になってしまった。

『……何この重い空気は……ちょっと、どうにかしなさいよ!』

 どうにかって。
 こんな空気を変えるのも、恋愛の女神サマの仕事じゃないんですかね!?

「あー……そ、そうそう! 小学校の頃と言えばここでえいくんって子とよく遊んだけど引っ越したんだよね。神野さんと同じだねー」

「……」

 ……だああああああああああ! 神野さんと同じだねって、何を言っているんだ俺は!
 ここはえいくんとの思い出が強いからえいくんの話をしたけど、余計な事まで言っちゃった。
 やってしまった、これじゃ余計に……。

「……そのえいくんって、どんな子だったの?」

 おっと、予想外の展開。
 神野さんがえいくんに食いつてくれたぞ。

「活発で優しくて面白い子だったよ、遊んでいてすごく楽しかったなー。あっそうそう、面白いといえばそこに生えている草は食べられる奴だって言って食べちゃってね。その時は、ものすごく苦そうな顔をしてトイレにかけこんで行っちゃったよ」

「……っ!」

 ん? なんか神野さんの顔が赤くなっているぞ。
 まさか、この暑さで!

「神野さん、顔が赤いけど大丈夫!? 何か冷たい飲み物を……」

「え? あっ! だっ大丈夫だから! 気にしないで!」

 気になるんですけど。
 本当に大丈夫かな。

(……そっか、そんな事……………………)

「?」

 神野さんが小声でボソボソって言っていたけど、最後辺りがよく聞こえなかったな。

「今なんて言ったの? 最後までよく聞こえなかったんだけど」

「……ううん、何でもないよ」

「……そう?」

 今日の神野さんは、やっぱり何かおかしい気がする。
 けど、それをつつくのもあれだよな。

「あっ、そろそろ待ち合わせ場所に行かないと遅れちゃうわ!」

「え? あっ!」

 時計を見たら、もう40分じゃないか
 思い出話をしていたら、つい時間を忘れてしまっていた。
 これは急がないと18時に間に合わないぞ。

「種島くん、早く早く!」

「あ、待って!」

 小走りで先を行く神野さんの後ろ姿を見て思う。
 さっきの神野さんのつぶやきは、聞き逃していけなかった。
 何故だか、そんな気がする……。


『そんな事まで覚えていてくれたんだ……あの娘ってばそう言っていたけど、どういう意味だろ? う~ん…………考えてもよくわからないし、まぁいっか。アタシも後を追いかけないと!』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない

朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。 止まっていた時が。 再び、動き出す―――。 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦* 衣川遥稀(いがわ はるき) 好きな人に素直になることができない 松尾聖志(まつお さとし) イケメンで人気者 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』

鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。 だからこそ転生後に誓った―― 「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。 気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。 「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」 ――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。 なぜか気づけば、 ・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変 ・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功 ・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす ・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末 「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」 自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、 “やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。 一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、 実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。 「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」 働かないつもりだった貴族夫人が、 自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。 これは、 何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

処理中です...