17 / 23
第3章 無人島から脱出
17・舟
しおりを挟む
「それじゃあ、いかだの為に木材を集めやね」
おっと、ユキネさんはいかだを作ると思っている様だ。
いかだを作るんじゃない事を話しておかないと。
「作るのはいかだじゃないです」
「へ? でもウチ等が作れる様な船いうたら、いかだしかないやん」
まぁ確かにそう思うよな。
けど、いかだだと島の脱出は不向きなんだよな。
「えと、いかだは波に流されやすくて推進力のあまりありません。島の周辺の波は結構荒いので、いかだを使っての脱出は難しいんです」
「そうなん?」
「じゃあぁ、アンちゃんが言っていたぁわたし達でも作れる船ってなんなのぉ?」
当然、ベルルさんの様な疑問が全員の頭に過ぎっただろう。
あるんだよな、根気さえあれば出来る船が。
「丸木舟を作ろうと思います」
「まるき……ぶね……? お嬢様……そのような船、わたくしは聞いた事がありません」
ユキネさんもベルルさんもなにそれ? って感じで俺の方を見ていた。
そりゃあ聞いた事はないだろう。
俺もネットの記事で見て初めて存在を知って、興味本位で調べた程度だしな。
無論、現物なんて見た事が無い。
「1本の丸太の中をくり抜いて船にするの。それが丸木舟よ」
俺の調べた範囲だと石器時代頃から使われた船で、大型の船が作られ始めても使われ続けられていたらしい。
特に驚いたのは、縄文時代の人は丸木舟で普通に日本海を超えて行き来していたそうだ。
流石に昔の様に長い航海は無理だが、遠くで見える距離くらいならば丸木舟でも行けるだろう。
「丸太の中をくり抜いてって……え? それだけ?」
んー物によっては加工した物もあったそうだけど……。
「はい、それだけです」
「ちょっ! そんな船で大丈夫なんか!?」
不安になる気持ちもよくわかる。
絶対に安全とは言えないが、事実使われていた物には間違いない。
「絶対に大丈夫とは言い切れませんが……ただ、大昔の人はその船を使っていましたのは事実なので実績はあります。私達みたいな素人が組み立てた船より頑丈で安全性は高いと思いますよ」
まぁその大昔っていうのは転生前の世界の話で、こっちの世界で使われていたかは知らんけどな。
「そうなんですか……先人はすごいですね」
本当にな。
石器しかり、灰汁の洗濯しかり、成分がどうのこうのとわからないのに使い道を見つけ出すというのは本当にすごいと思う。
そういう事を考えると、ある意味昔の方が技術力が上だったのではと思うよ。
「どういった船にするかはわかったわぁ~けどぉ、その船にする木はどうするのぉ?」
実はそこがなんだよな。
本来は俺一人でのつもりで作るつもりだったから、その辺りに生えている手ごろな木を使うとしか考えていなかった……。
「え~と……それは……」
俺、ケイト、ユキネさん、ベルルさんの4人で乗るとなると2・2で分かれて2本の木を削ればいい。
だが……トモヒロも一緒となると話は別。
その辺の木だとトモヒロがでかすぎて、船が沈んでしまうのが目に見えている。
ならトモヒロだけいかだに乗せて引っ張るか?
いや、女性の力だけでトモヒロが乗っているいかだを引っ張るのは無理があるぞ。
それこそトモヒロの馬力がエンジンになるから一緒に乗りたいところだ。
「なにかいい方法がないか……」
俺は辺りを見わたして、いい方法が無いか考えた。
そして、山の方を見て閃いた。
「……あっ!」
うってつけの、いいの木があるじゃないか!
「あの木を削って丸木舟を作りましょう!」
俺は山の頂上に生えている大きな1本の木に指をさした。
※
「で……山に登らんと、ここで何すんの?」
頂上の木を伐る事になったが、俺達が向かった先は沢。
木を伐る為には道具が必要になる。
その道具を、この沢で手に入れるわけだ。
「木を伐る為に必要な石斧を作ろうと思います」
「ああ、それでここに来たわけか」
「確かに木を伐る為には斧が必要ですものね」
「そういう事」
俺は落ちていたL字型の木を手に取った。
「これならいいかも」
まずは握りやす方を選んで柄の部分にする。
そして、握らない部分に石器を置く為にナイフでみぞを掘っていく。
にしても、サバイバルでナイフが有るか無いかで相当変わるというのを無人島生活でよくわかった。
無人島で1つだけ持って行くなら何を持って行くという話で、人それぞれ色んな答えがある。
ただガチの場合はナイフと答える人が多いとどっかの記事で読んだことがある。
それが本当なのかどうかはわからないけど、少なくともナイフが無かったら今の生活が大変だった事には間違いないだろう。
「――フッ! うん……こんな感じかな? このみぞの上に石器を置いて蔓で固定すれば石斧の完成です」
「完成って……それ斧ちゃうやん。斧ってさ、こう刃と棒が平行しているもんや。アンちゃんが作ったのってクワやんか!」
俺も初めてこのタイプの斧を見た時そう思ったな。
「えと、ユキネさんの言っているのは縦斧って呼ばれていて、私達がよく使うタイプの物です。私が作ったクワのような形をしている物が横斧といいます」
縦斧の方が使い勝手がいいとは思うが、問題は製作時間なんだよな。
石を刃にする為の磨製石器作業。
その石がぴったりハマる様に、棒に穴を空ける加工作業。
1個作るだけで半日はかかるだろう。
あれだけ大きい木を伐るんだ、石器の消耗が激しいのは目に見えている。
その事を考えると、圧倒的に効率が悪い。
なら、どんどんと作れるこの横斧がうってつけなわけだ。
その事をみんなに説明して、まずはみんなで横斧の制作に取り掛かった。
「大量にこれを作るのねぇ……あれぇ? もしかしてぇこれからわたしが頑張らないといけないって事なんじゃあ……?」
はい、伐採作業になると人数問題でベルルさん1人で斧作りをしてもらわないといけないから確実にそうなります。
「……」
俺は何も言わず黙々と横斧作りを続けた。
おっと、ユキネさんはいかだを作ると思っている様だ。
いかだを作るんじゃない事を話しておかないと。
「作るのはいかだじゃないです」
「へ? でもウチ等が作れる様な船いうたら、いかだしかないやん」
まぁ確かにそう思うよな。
けど、いかだだと島の脱出は不向きなんだよな。
「えと、いかだは波に流されやすくて推進力のあまりありません。島の周辺の波は結構荒いので、いかだを使っての脱出は難しいんです」
「そうなん?」
「じゃあぁ、アンちゃんが言っていたぁわたし達でも作れる船ってなんなのぉ?」
当然、ベルルさんの様な疑問が全員の頭に過ぎっただろう。
あるんだよな、根気さえあれば出来る船が。
「丸木舟を作ろうと思います」
「まるき……ぶね……? お嬢様……そのような船、わたくしは聞いた事がありません」
ユキネさんもベルルさんもなにそれ? って感じで俺の方を見ていた。
そりゃあ聞いた事はないだろう。
俺もネットの記事で見て初めて存在を知って、興味本位で調べた程度だしな。
無論、現物なんて見た事が無い。
「1本の丸太の中をくり抜いて船にするの。それが丸木舟よ」
俺の調べた範囲だと石器時代頃から使われた船で、大型の船が作られ始めても使われ続けられていたらしい。
特に驚いたのは、縄文時代の人は丸木舟で普通に日本海を超えて行き来していたそうだ。
流石に昔の様に長い航海は無理だが、遠くで見える距離くらいならば丸木舟でも行けるだろう。
「丸太の中をくり抜いてって……え? それだけ?」
んー物によっては加工した物もあったそうだけど……。
「はい、それだけです」
「ちょっ! そんな船で大丈夫なんか!?」
不安になる気持ちもよくわかる。
絶対に安全とは言えないが、事実使われていた物には間違いない。
「絶対に大丈夫とは言い切れませんが……ただ、大昔の人はその船を使っていましたのは事実なので実績はあります。私達みたいな素人が組み立てた船より頑丈で安全性は高いと思いますよ」
まぁその大昔っていうのは転生前の世界の話で、こっちの世界で使われていたかは知らんけどな。
「そうなんですか……先人はすごいですね」
本当にな。
石器しかり、灰汁の洗濯しかり、成分がどうのこうのとわからないのに使い道を見つけ出すというのは本当にすごいと思う。
そういう事を考えると、ある意味昔の方が技術力が上だったのではと思うよ。
「どういった船にするかはわかったわぁ~けどぉ、その船にする木はどうするのぉ?」
実はそこがなんだよな。
本来は俺一人でのつもりで作るつもりだったから、その辺りに生えている手ごろな木を使うとしか考えていなかった……。
「え~と……それは……」
俺、ケイト、ユキネさん、ベルルさんの4人で乗るとなると2・2で分かれて2本の木を削ればいい。
だが……トモヒロも一緒となると話は別。
その辺の木だとトモヒロがでかすぎて、船が沈んでしまうのが目に見えている。
ならトモヒロだけいかだに乗せて引っ張るか?
いや、女性の力だけでトモヒロが乗っているいかだを引っ張るのは無理があるぞ。
それこそトモヒロの馬力がエンジンになるから一緒に乗りたいところだ。
「なにかいい方法がないか……」
俺は辺りを見わたして、いい方法が無いか考えた。
そして、山の方を見て閃いた。
「……あっ!」
うってつけの、いいの木があるじゃないか!
「あの木を削って丸木舟を作りましょう!」
俺は山の頂上に生えている大きな1本の木に指をさした。
※
「で……山に登らんと、ここで何すんの?」
頂上の木を伐る事になったが、俺達が向かった先は沢。
木を伐る為には道具が必要になる。
その道具を、この沢で手に入れるわけだ。
「木を伐る為に必要な石斧を作ろうと思います」
「ああ、それでここに来たわけか」
「確かに木を伐る為には斧が必要ですものね」
「そういう事」
俺は落ちていたL字型の木を手に取った。
「これならいいかも」
まずは握りやす方を選んで柄の部分にする。
そして、握らない部分に石器を置く為にナイフでみぞを掘っていく。
にしても、サバイバルでナイフが有るか無いかで相当変わるというのを無人島生活でよくわかった。
無人島で1つだけ持って行くなら何を持って行くという話で、人それぞれ色んな答えがある。
ただガチの場合はナイフと答える人が多いとどっかの記事で読んだことがある。
それが本当なのかどうかはわからないけど、少なくともナイフが無かったら今の生活が大変だった事には間違いないだろう。
「――フッ! うん……こんな感じかな? このみぞの上に石器を置いて蔓で固定すれば石斧の完成です」
「完成って……それ斧ちゃうやん。斧ってさ、こう刃と棒が平行しているもんや。アンちゃんが作ったのってクワやんか!」
俺も初めてこのタイプの斧を見た時そう思ったな。
「えと、ユキネさんの言っているのは縦斧って呼ばれていて、私達がよく使うタイプの物です。私が作ったクワのような形をしている物が横斧といいます」
縦斧の方が使い勝手がいいとは思うが、問題は製作時間なんだよな。
石を刃にする為の磨製石器作業。
その石がぴったりハマる様に、棒に穴を空ける加工作業。
1個作るだけで半日はかかるだろう。
あれだけ大きい木を伐るんだ、石器の消耗が激しいのは目に見えている。
その事を考えると、圧倒的に効率が悪い。
なら、どんどんと作れるこの横斧がうってつけなわけだ。
その事をみんなに説明して、まずはみんなで横斧の制作に取り掛かった。
「大量にこれを作るのねぇ……あれぇ? もしかしてぇこれからわたしが頑張らないといけないって事なんじゃあ……?」
はい、伐採作業になると人数問題でベルルさん1人で斧作りをしてもらわないといけないから確実にそうなります。
「……」
俺は何も言わず黙々と横斧作りを続けた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界での異生活
なにがし
ファンタジー
役職定年を迎えた男が事故に巻き込まれケガをする。病院に運ばれ治療をしていたはずなのに、なぜか異世界に。しかも、女性の衣服を身に着け、宿屋の一室に。最低な異世界転移を迎えた男が、異世界で生きるために頑張る物語です。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる