エルフの少女と妖精の少女 ~女神に修行を言い渡されドタバタスローライフ始めます~

須々木あおい

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4話 エルエル、勇者に出会う!

29 エルエル、山につく!

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≪ライフマウンテン・入口≫

 目的地に馬車が近付く度に暑くなってくる。

 フォークテイルタウンから南東にある火山『ライフマウンテン』。
 鉱石を採掘する街の人々やこの山の集落に住む人が一部を採掘場として利用している場所だ。
 街の近くとは雰囲気がかなり違い土くれが多く地面も土やゴツゴツした岩ばかりで奥に大きい火山が見える。そんな荒れた道を馬車は進み、やがてふもとの馬車乗り場に止まる。

 大きい山にあっけを取られていた私は馬車が止まってもしばらく火山を見上げていた。

「採掘場って火山かよ……危ないなぁ噴火したらどうするんですか……」

 これから馬車の中にある鍛冶屋のおじさんが用意してくれたツルハシを持ってこの山を進みルピーのために鉄鉱石が取れる場所まで行かなくては。

 勇者達もゴソゴソと降りる準備をしている。……あれ?そういえばアルルは?
 馬車の隅に目をやると息を乱しながら顔を真っ赤にして倒れているアルルがいた。

「ゼーゼー……」

「どうしたんですかアルル」

「アンタ……早く助けなさいよおおおおおおお!!!!」

 どうやらティオとか言う女に色々いじくられすぎて疲れてる様だ。

「いや楽しそうだったし……」

「楽しくないわああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

「あーもう分かりました分かりました!!ごめんごめん!とにかく、早く行きますよ」

 ポカポカ頭を叩いて来るアルルをなだめて、私達も降りる準備をしようとした。
 まず、鍛冶屋おじさんから貸してもらった馬車の中に置いてあるツルハシが置いてあったはずだ。
 自分用にひとつ持って行こうと馬車が移動している時に見かけたツルハシの場所に手を伸ばす。

 すかっ。

「あれ?」

 さっきまでツルハシがあった場所に手を伸ばすが手ごたえがない。
 振り返りさっきまでツルハシがまとめて置いてあった場所を見ると何もなくなっている。
 それと同時に勇者達3人もどこかへ消えている。どこへ行ったんだろう?
 ……と思った瞬間、馬車の外から声が聞こえてくる。

「きゃはは~♡ それじゃあねノロマ共~♡」
「アルルー!まったねー!」
「我、開眼せし……!」

「「えっ!?」」

 馬車から身を乗り出して外の様子を見ると勇者達はとっくに馬車から降りて山の方へ走って行く姿が見えた。
 3人共、肩にツルハシを何本も担いでいる。……なんであんなに持って行く必要があるんだ?

「あ………ああああああああっ!!!!
 ""私達のツルハシがひとつも残ってない""わよ!!!!」

「なああっ!!?」

「あ、あいつらに採掘用のツルハシ全部持って行って行かれちゃったのよ!!!!」

「なにいいいいっ!?!?!」

 しまった。出遅れてしまった。奴らが何本もツルハシを持って行ったのは妨害行動だったのか。
 ツルハシを全て持って行く事によって私達に鉄鉱石を掘らせない作戦か。

「く、クソおおおお!!!!!!な、何か他に掘れる道具は……!!!」

 他にも鍛冶屋おじさんが用意してくれた細かい道具は残されていたが大きい道具は土を掘れそうな"大き目のスコップ"だけだった。

「「………」」

とりあえず私達はスコップをかついで他の道具をポケットに詰め込んで馬車から降りた。

「く、くっそ~……!!!と、とりあえずスコップで鉄鉱石が掘れないか試すわよ!!!!」
「さ、さっきも思ってたけどやっぱりアイツら絶対許さんぞ~~~……!」

私達はブーブー奴らへの不満を漏らしながら山の方へ走った。
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