エルフの少女と妖精の少女 ~女神に修行を言い渡されドタバタスローライフ始めます~

須々木あおい

文字の大きさ
44 / 80
5話 エルエル、釣り対決をする!

43 エルエル、釣りをする!

しおりを挟む


 先程ボロニア達と一緒に居た岩場からはまた少し離れた別の岩場へ私とアルルは歩いた。

 その岩場近くには高い岩の崖がありそれを下から見上げるとフォークテイルタウン北(草原)から地面が続いてきた崖なのが分かる。そこの崖の下に広がる海に面した岩場で釣りをしようと移動してきたのだ。

「おー海の中をよく見ると本当にモンスターが泳いでいるわねー」
「ひゃーこわーい」

 私とアルルは岩場から足元の先の海を覗くと深い場所には大きい魚影がたくさん泳いでいるのが見えた。

「ククク……これから釣られるとも思わずのんきに泳ぎやがって」
「よーし!!こいつら全員釣り上げるわよー!!」

「「おーーー!!」」

 私とアルルは手作り釣り竿をカッと太陽が照る天に掲げ、そのまま振りかぶり海に向かって思いっ切り振り下ろす。
 ポチャンと糸の先の針がついている(仕掛け)部分がたくさんいる魚影の上に落ちるのを確認する。ひとまず釣り竿を投げるのは成功だ。

「釣ったら焼いて食べましょうね~」
「塩ふるとまた美味しいのよね~」
「干物にするのも美味しそうですね~」
「お腹いっぱい食べられるわ~」

「「うへへへへ~」」

 私とアルルはよだれを垂らして談笑する。想像したらお腹空いて来たな~。なんて思いながらウキウキで釣竿が反応するのを待った。


そして、1時間が過ぎた―――――――


「「全然釣れねえええええええええええええ!!!!!!!」」


 が、モンスターは全く釣り竿にかからず私達は岩場にうなだれた。

「なんで釣れないんですかああああ!?!?! 森ならいっぱい釣れてたのに!!!?」
「森に流れてる川と海じゃ潮の流れが違うって事なのかしら……」
「そ、そんなバカな!!この手作り釣竿は海には通用しないんですか……くっ……!!」

 私は世界(海)に己の技術が通じない悲しき現実を知った。

「それに魚と言ってもモンスターだからねぇ……また普通の魚とは釣り方が違うのかしら?」
「うーん……やっぱり良いエサとかつけないと駄目なんじゃないですか?」
「良いエサって言ってもそんなの持ってないわよ」
「そうですよねー………あ、そうだ!」
「え?」

 私は良い事を思いつき竿の先の釣り糸をアルルの身体に巻く。

「何すんのよ」

 私が持った釣り竿の先にアルルを括りつけると釣り糸にぶら下がっている大きいエサみたいになる。

「これぞ!!意志を持って海中で魚を自動で捕まえてくれるエサ『むっつりスケベルアー"アルルちゃん"』です!!!」
「おーなるほどなるほど。私がエサになるわけねー!
 ……ってゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」
「おげえええええええええええええええええええええ!?!!」

 私は釣り糸にグルグル巻きになっているアルルにお腹に思いっ切りドロップキックを喰らわせられ岩場に倒れのたうち回った。

「おげええええええええええ!!!!!何すんじゃてんめえええええ!!」
「誰がむっつりスケベのエサじゃクソボケエルフがああああああ!!!!!!!!」
「うるせえええええ!!!お前1匹も釣れてない無能妖精なんだから直接エサになって1匹ぐらい取って来てくださいよおおおおおおおおおおっ!!!!!」
「アンタも釣れてないだろ無能エルフがああああああああああああ!!!!!」
「なんだとやんのかてんめええええええええええええ!!!!」
「こっちの台詞じゃあああああ!!!!」


「やったーーー♡ また釣れたわーーー♡!!」
「エミー様すごーい!」
「流石エミー殿でござるー!」


「「むっ!?!」」

 私達が言い争っていると向こうの方からエミー達の楽しそうな声が聞こえて来る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

姉が美人だから?

碧井 汐桜香
ファンタジー
姉は美しく優秀で王太子妃に内定した。 そんなシーファの元に、第二王子からの婚約の申し込みが届いて?

処理中です...