あなたを想う

いいむい

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高校生活

第18話

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 静が泊まりに来たからといって、学校での関係が変わる訳でもなく日々は淡々と過ぎていった。

 もうすぐ期末試験のため、みんな勉強に忙しそうだ。進学を控えている人達は、いっときだって気が抜けないだろう。

 静も勉強と生徒会が忙しいのか、全くかまってくれない。

 別にお付き合いをしている訳ではないので、かまわれないのは仕方のない事だと分かっていても、さすがに少し淋しくなる。

 だからと言う訳ではないが、今私の膝の上には、静にはかなわないが、私的にはドタイプで、人目を引く程の顔面をお持ちの、他のクラスの紫月凛《しづきりん》が座っている。

 私の顔や首筋、耳を、あいかわらずのいやらしい手つきでさわっている。
 今は自習の時間なので、他のクラスの生徒がいても、誰も気にしない。
 静も、生徒会関係で呼ばれたみたいだし、丁度いいヒマつぶしにもなってくれているので、ありがたい。

「夜来さん、目の下のクマ酷くない?やっぱり眠れない?」

 凛は、私がいつも寝不足なのを知っていて、いつも気にかけてくれる。

「うん。すぐ目が覚める。でも、もう慣れてるから平気だし、今から凛を抱きしめて寝る」

「アハハ、いいよ。頭撫でてるから、少しでも眠れたらラッキーだね」

 凛の声と、頭を撫でられているのが気持ちよくて、段々意識が曖昧になっていく中、この手が静の手ならいいのにと思っている自分は、やっぱり酷い人間だと思いながら眠りに落ちた…


 周囲が騒がしくて目を開ける。いつの間にか自習の時間は終わっていて、休み時間になっていた。
 凛はいつの間にか自分のクラスに戻ったみたいだ。少し眠ったおかげで、スッキリしたのでお礼を言おうと凛のクラスへ行くと、すぐに私に気付いた凛が、抱きついてきた。

「さっきはありがとう。おかげで頭スッキリだよ」

「じゃあ、お礼に勉強教えて欲しいな…今夜」

 上目遣いで誘われたら、断る理由はないが、一応聞いてみる。

「試験勉強と体の勉強、どちらがお望みですか?」
 凛の耳元に顔を近づけて、囁いた。

「もちろん、体の勉強」
 即答された。





 翌日、私の首には見事に赤い印がいくつも目立つ場所に付いていた。
 こんなに付けられたのは、久しぶりだなぁと思いながら教室に入り、席に着いた。

 たいして面白くもない授業が終わり、次の時間はまた自習になっていた。

 静は…またいない。
 目の保養がいないとつまらん。ふてくされ、机に突っ伏して目を閉じていると、耳元で

「夜来さん…昨日すっごく気持ちよかった…」
 甘い吐息混じりで聞こえてきた。

「あっ、凛。今のすっごいエロっ。最高だった」
 感想を述べると凛はニコニコしながら私の膝の上に乗り、また首やら顔やらをさわっている。以前なら、凛に触れられると気持ちよくて嬉しかったのに、やっぱり静が触れてくれた時とは違うなぁ。あんまりドキドキしなくなっちゃったな。やっぱり静に夢中になっているからかなぁ。

 考える事に夢中になりすぎて、自分が呼ばれている事に気が付かなかった。

「夜来さん。放課後、生徒会室まで来てください」

 声の主を見る。眉間に深いシワを寄せ、不機嫌な顔。切れ長の目は、どこまでも冷たい漆黒の瞳をしていた。
 私の返事を待たず、静は自分の席に戻ってしまった。


 私がずっと静を見ているのが気に入らないのか、膝の上に乗っていた凛が、私の首に腕をまわし、首に顔を近づけたかと思うと、おもいっきり噛みついてきた。

 思わず声が出そうになり、口を手で押さえる。ギリギリと歯に力を入れ噛まれる。
 私は凛の背中をバシバシ叩き、噛むのをやめるように促した。

「何してんの?さすがにやり過ぎでしょ」

 少し不機嫌な声で文句を言った。

「夜来さん、生徒会長の事見過ぎ。ムカつく」

 私はため息をついた。

「あのさぁ、前も言ったけど、お互い遊びの関係って事で納得したんじゃないの?他の子達だって遊びなんだからさぁ、一人だけ特別とかマジ無理だから」

 少し声が大きくなってしまったが、別に誰に聞かれようが関係ない。

「それに、もう誰ともヤル気ないし、もちろん凛ともこれで……」
 言い終わらないうちに、思いっきり頬を叩かれた。
 凛は『最っっ低』と、目に涙を浮かべながら教室から出て行った…。


 口の中に血の味が広がる。唇に指を当てる。ヌルッとした感触があり、指を見ると赤く染まっていた。口内と唇を切ったようだ。
 ハァーと大きくため息をつき、めんどくさ…
 小さく呟いた。


 来週から期末試験が始まる関係で、今日は半日で終わるが、静に呼ばれている。
 でも、さっきの出来事のせいで、全てがめんどくさ…という状態になってしまい、教室を出ようとしていた静を呼びとめ、用事ができたから、日を改めてほしいと一方的に伝え、静の顔も見ずに教室を後にした。



 マンションに着き、エントランスを抜けエレベーターに乗る。9階を押し、流れる数字を見る。廊下を突き当たりまで歩き、カギを開け中へ入る。

 制服を脱ぎ、Tシャツと薄手のスウェットに着替え、そのままベッドへ倒れ込む。
 眠ってやろうと目を閉じるが、全く睡魔は襲ってこない。

 ハァーめんどくさ。遊びまくっていれば、いつかはこうなると分かっていたが、まさか静もいる教室でなるなんて…ムカつく…誰に言うわけでも、もちろん凛に言うわけでもなく呟く。

 でも…ちょうど良かったのかもしれない。遊んでいたほとんどの子達は受験生だし、あまり夜遊びに付き合わせるのも悪いしね。自分に言い聞かせ、納得させる。

 凛には感謝しないと…かな。と、凛で思い出した。噛まれたんだと、鏡の前に行き、首を見る。昨夜付けられた赤い印はまだ濃い色を残しながら、あちこちに散っている。噛まれた所は少し腫れている。唇も切れている跡がハッキリ見える。

 噛まれたの久しぶりだなぁ…そういえば、静に噛み跡さわられたっけ。
 
逢いたいな。

 やっぱり生徒会室に行けば良かったな。
 少し後悔しながらキッチンへ行き、冷蔵庫を開ける。あいかわらず、卵とベーコンしか入っていない。

「お昼は抜くか…あー静の手料理が食べたい」
 声を出しながら、炭酸水をグラスに注ぎ一口飲んでからリビングへ行く。

 本棚から小説を取り、ソファへ沈み込む。
 パラパラとページをめくり、読み始める。






 インターホンの音で目を開ける。いつの間にかウトウトしていたようだ。
 もう一度インターホンが鳴り、仕方なく出ると、エントランスに静の姿が写っていた。私は急いでロックを開け、軽く身だしなみを整えて、ドアを開け、エレベーターまで走った。

 ちょうどエレベーターが止まり、静が姿を現した。

「生徒会長、来てくれたんだ。逢いたかったから凄く嬉しい」

 少し泣きそうな顔で言ってしまった。
 部屋まで歩きながら、
「制服じゃないけど、どうしたんですか?こっちの方に用でもあったんですか?」

 聞きながら部屋の鍵を開け、静を部屋の中へ入れる。


「おじゃまします」
 少し低い声が心地いい。

「いらっしゃい」
 笑顔で言った。













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