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番外編 聖女の場合1
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嘘でしょうっっっ!!??
思い切り大声で叫び出したかったが、声も出ないし身体も動かない。
だって、聖女候補としてやっと今日からゲームがスタートするんだよ!?こっちは十六年も待っていたんだからね!
神子が降りて来るなんて聞いてない!
ゲームにもないし、オープニングでは五百年はこの国に降りて来ていないから、聖女が大切だってあったじゃん! どうなってるのよおおおおおぉぉ!
そう。私は生まれた時から、前世の記憶がある。
そして、私がヒロインだ。
前世ではブラック企業に勤める37歳の S E だった。もちろん未婚、彼氏無し。休みも無ければ寝る時間も無し。仕事以外には何にも無い毎日だった。
毎日毎日、会社を恨み、上司に文句を言って、先輩と仕事を押しつけ合う日々に疲れていた。
思い出した様に電話をしてきては、結婚しろ、田舎に帰ってこい等と言ってくる家族には本当にうんざりしていた。
唯一私を癒してくれるのは、乙女ゲームだった。私の思うままに愛を囁いてくれ、私が彼らを選ぶのだ。時には逆ハーしてたくさんのイケメンを侍らす。最高の癒しだった。
最近のラノベでは、悪役令嬢転生して「ざまあ」するのが流行りらしいが、そんな努力して自力で何とかするなんて、正直めんどくさい。それならばヒロイン転生して、よっぽど変な事しない方が良くない?
悪役令嬢も転生者ならば、推しが被らなければ協力すれば何とかなりそうじゃない?
そんな私の今世はというと、髪はピンク、胸元でふんわりとカールしていて、瞳は金色に輝やいている。大きな瞳は零れそうだ。肌は白く、まだ幼いため頬がふっくらしているが、このままいけばかなりの美少女だろう。
「絶対、乙女ゲームのヒロインだわ!」
と、私はすぐに気づいた。
こんな髪の色、普通ある? 乙女ゲーム以外にないわ! ピンク色の髪のヒロインは何パターンかあったはずよ!
どのパターンの乙女ゲームであっても良いように、しっかりと準備しておかなくっちゃと、私はウキウキしながら時が来るのを待っていた。
そもそも貴族ではなく庶民の家庭だった事が、不満であった。けれど、美少女なので近所の男の子やおじさん達に優しくして貰っていたので、生活は楽ではなかったが、私自身は楽させて貰っていた。あ~美少女、最高だわ。まあ~前世同様、同性の友達は出来なかったけれどそれはいいや。
学校に入る年齢になる頃には、絶対わかるはずだもの。あと少しの辛抱よ! と自分自身に言い聞かせて待っていた。
庶民の学ぶところは、学校というよりも教会で小学校レベル以下の勉強だ。前世の知識のある私には余裕だった。それよりも、教会にいる間は家の仕事を手伝わなくて良かったので嬉しかった。
前世からの知識の分、教会では暇をもて余していたので、この世界がどの乙女ゲームか考えていた。ヒロインに固定名がついていない事も多いので、マリアという私の名前は当てにならない。この名前ヒロインっぽくて好きだけどね。
流行りのものだと……実は男爵とか子爵家の血を引いていて、教会で見つかり貴族の学校に編入パターン……とかかな? そして、庶民出の気さくなヒロインは王子様を落とすのよね。ライバル対策もしないとね。もちろんラノベで学んだように、自作自演して無理やり断罪まではしないようにしなくちゃ。逆にヒロインがダメになるのはそんなパターンだもんね。あ~楽しみ!
とか、そんな傾向と対策を考えたり、妄想をして楽しんでいた。
そんな妄想ばかりして家の仕事も録にしない私に、家族は呆れている様子だった。そのうちに玉の輿にのる私に感謝する事になるのだから我慢して欲しいわ。
そんな中、とうとう何の乙女ゲームか判明した!
教会で神力・魔力判定があったのだ。
庶民から魔力を持つ者が出る事はほとんど無いけれど、神力持ちはたまに出る。
だから、貴族の子供も庶民の子供も10歳前後で判定を受けるのだ。高位貴族にもなると、魔力が多くて命の危険とかあるらしいから、もっと小さいうちに判定を受けるらしいけど、庶民はこの時期まで待つしかない。
貴族の血が入っているかも! と、ドキドキしていた私は魔力無し判定にはがっかりしたけれど、神力はずば抜けていた!
ヒロインな事は解っていたけれど、聖女候補となるために教会に引き取られる事になるのは嫌だった。教会はつまらない。慎ましやかな生活なんてしたくない。夢みた贅沢も許されないし、毎日教会への奉仕作業も嫌だし、修行も嫌だ。
でも、最終的なヒロインになるのだから、ここは嫌だとも言えない。我慢のしどころだった。
聖女候補かぁ……ピンク髪のヒロイン聖女候補!!
初期の乙女ゲーム過ぎてすぐに出て来なかった! 本当に初期だから、断罪もないし、ヌルゲーだ! 楽で良いかも。でも、聖女になって奉仕に人生を捧げるなんて嫌だ! ここはライバルに頑張って貰おう。確かライバルは貴族出身の真面目なイザベラってキャラだったはず。真面目なライバルを抜かないようにすれば余裕ね。
ええと……確か……
メインヒーローは、俺様カリスマ王太子のウィリアム様よね。金の髪に碧い瞳の完璧王子様で素敵なのよね。流石メインヒーローだけあってスチルも綺麗でたくさんあったのよね~声も低くてカッコいいし、良いけど……実際に私が王妃とかちょっと気が重いかな~。所詮、今も昔も庶民だもんね。
ちょっと、デートしてスチルみるくらいにしておこっと。
後は、その弟の第二王子はリオン様ね。神子の血を継ぐ黒髪で、碧い瞳。魔力・神力共に高くて超強いのよね。ツンデレでなかなか好きだったなぁ~ブラコンなのが気になるけど、お兄ちゃん褒めて、試験内容で頼ったりすればすぐに攻略出来るんだよね。
うん! カッコいいし、落としやすいし、第二王子だから王妃教育とかも緩いか無くていいかも!
第二王子狙いでいこうかな。デレたリオン様に甘やかして貰って~王族だし、贅沢させてくれるかも知れないわ!すぐに落ちるから好感度調整もしやすいだろうし。顔も一番タイプかも。でも、実際はブラコン具合にもよるかな~
まっ! とりあえずリオン様ルート狙いで、最終的には会ってみた感じで決めよ~会ってみたらイメージと違うかもだしね。
思い切り大声で叫び出したかったが、声も出ないし身体も動かない。
だって、聖女候補としてやっと今日からゲームがスタートするんだよ!?こっちは十六年も待っていたんだからね!
神子が降りて来るなんて聞いてない!
ゲームにもないし、オープニングでは五百年はこの国に降りて来ていないから、聖女が大切だってあったじゃん! どうなってるのよおおおおおぉぉ!
そう。私は生まれた時から、前世の記憶がある。
そして、私がヒロインだ。
前世ではブラック企業に勤める37歳の S E だった。もちろん未婚、彼氏無し。休みも無ければ寝る時間も無し。仕事以外には何にも無い毎日だった。
毎日毎日、会社を恨み、上司に文句を言って、先輩と仕事を押しつけ合う日々に疲れていた。
思い出した様に電話をしてきては、結婚しろ、田舎に帰ってこい等と言ってくる家族には本当にうんざりしていた。
唯一私を癒してくれるのは、乙女ゲームだった。私の思うままに愛を囁いてくれ、私が彼らを選ぶのだ。時には逆ハーしてたくさんのイケメンを侍らす。最高の癒しだった。
最近のラノベでは、悪役令嬢転生して「ざまあ」するのが流行りらしいが、そんな努力して自力で何とかするなんて、正直めんどくさい。それならばヒロイン転生して、よっぽど変な事しない方が良くない?
悪役令嬢も転生者ならば、推しが被らなければ協力すれば何とかなりそうじゃない?
そんな私の今世はというと、髪はピンク、胸元でふんわりとカールしていて、瞳は金色に輝やいている。大きな瞳は零れそうだ。肌は白く、まだ幼いため頬がふっくらしているが、このままいけばかなりの美少女だろう。
「絶対、乙女ゲームのヒロインだわ!」
と、私はすぐに気づいた。
こんな髪の色、普通ある? 乙女ゲーム以外にないわ! ピンク色の髪のヒロインは何パターンかあったはずよ!
どのパターンの乙女ゲームであっても良いように、しっかりと準備しておかなくっちゃと、私はウキウキしながら時が来るのを待っていた。
そもそも貴族ではなく庶民の家庭だった事が、不満であった。けれど、美少女なので近所の男の子やおじさん達に優しくして貰っていたので、生活は楽ではなかったが、私自身は楽させて貰っていた。あ~美少女、最高だわ。まあ~前世同様、同性の友達は出来なかったけれどそれはいいや。
学校に入る年齢になる頃には、絶対わかるはずだもの。あと少しの辛抱よ! と自分自身に言い聞かせて待っていた。
庶民の学ぶところは、学校というよりも教会で小学校レベル以下の勉強だ。前世の知識のある私には余裕だった。それよりも、教会にいる間は家の仕事を手伝わなくて良かったので嬉しかった。
前世からの知識の分、教会では暇をもて余していたので、この世界がどの乙女ゲームか考えていた。ヒロインに固定名がついていない事も多いので、マリアという私の名前は当てにならない。この名前ヒロインっぽくて好きだけどね。
流行りのものだと……実は男爵とか子爵家の血を引いていて、教会で見つかり貴族の学校に編入パターン……とかかな? そして、庶民出の気さくなヒロインは王子様を落とすのよね。ライバル対策もしないとね。もちろんラノベで学んだように、自作自演して無理やり断罪まではしないようにしなくちゃ。逆にヒロインがダメになるのはそんなパターンだもんね。あ~楽しみ!
とか、そんな傾向と対策を考えたり、妄想をして楽しんでいた。
そんな妄想ばかりして家の仕事も録にしない私に、家族は呆れている様子だった。そのうちに玉の輿にのる私に感謝する事になるのだから我慢して欲しいわ。
そんな中、とうとう何の乙女ゲームか判明した!
教会で神力・魔力判定があったのだ。
庶民から魔力を持つ者が出る事はほとんど無いけれど、神力持ちはたまに出る。
だから、貴族の子供も庶民の子供も10歳前後で判定を受けるのだ。高位貴族にもなると、魔力が多くて命の危険とかあるらしいから、もっと小さいうちに判定を受けるらしいけど、庶民はこの時期まで待つしかない。
貴族の血が入っているかも! と、ドキドキしていた私は魔力無し判定にはがっかりしたけれど、神力はずば抜けていた!
ヒロインな事は解っていたけれど、聖女候補となるために教会に引き取られる事になるのは嫌だった。教会はつまらない。慎ましやかな生活なんてしたくない。夢みた贅沢も許されないし、毎日教会への奉仕作業も嫌だし、修行も嫌だ。
でも、最終的なヒロインになるのだから、ここは嫌だとも言えない。我慢のしどころだった。
聖女候補かぁ……ピンク髪のヒロイン聖女候補!!
初期の乙女ゲーム過ぎてすぐに出て来なかった! 本当に初期だから、断罪もないし、ヌルゲーだ! 楽で良いかも。でも、聖女になって奉仕に人生を捧げるなんて嫌だ! ここはライバルに頑張って貰おう。確かライバルは貴族出身の真面目なイザベラってキャラだったはず。真面目なライバルを抜かないようにすれば余裕ね。
ええと……確か……
メインヒーローは、俺様カリスマ王太子のウィリアム様よね。金の髪に碧い瞳の完璧王子様で素敵なのよね。流石メインヒーローだけあってスチルも綺麗でたくさんあったのよね~声も低くてカッコいいし、良いけど……実際に私が王妃とかちょっと気が重いかな~。所詮、今も昔も庶民だもんね。
ちょっと、デートしてスチルみるくらいにしておこっと。
後は、その弟の第二王子はリオン様ね。神子の血を継ぐ黒髪で、碧い瞳。魔力・神力共に高くて超強いのよね。ツンデレでなかなか好きだったなぁ~ブラコンなのが気になるけど、お兄ちゃん褒めて、試験内容で頼ったりすればすぐに攻略出来るんだよね。
うん! カッコいいし、落としやすいし、第二王子だから王妃教育とかも緩いか無くていいかも!
第二王子狙いでいこうかな。デレたリオン様に甘やかして貰って~王族だし、贅沢させてくれるかも知れないわ!すぐに落ちるから好感度調整もしやすいだろうし。顔も一番タイプかも。でも、実際はブラコン具合にもよるかな~
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