Lv1の最強勇者

レル

文字の大きさ
上 下
78 / 85
第五章

【第74話】決意

しおりを挟む
    その後、姉達と合流した僕は酷く叱られながら街に帰った
門をくぐり大通りをギルドへと歩を進める
その間にすれ違う人達には姉達しか見えていない
そして僕を見つける人は僕を指差しヒソヒソと何かを喋っている



「換金をお願い出来るかしら?」

キャラ姉がギルドの受付に話しかける

「かしこまりました、拝見させていただきます」

「ほらアスト、とっとと出しなさいよ」

僕はストレージから今日狩った魔物を全て床に出す

それを一目見た受付さんは目を輝かせていた

「凄いですね!
他の冒険者の方では苦戦する魔物ばかり!
5人は我がギルドの誇りですよ!!」

5人
その言葉が今日はやけに胸に響く

「…ちょっとそれは聞き捨てならない
私達は6人だ、訂正してもらおうか」

ティア姉がいきなり剣を抜き突きつける

「し、失礼しました!!」

受付さんは青ざめながら頭を下げる
それを見てティア姉は剣を鞘へ戻した

「次もお前を馬鹿にする輩は私に言えばいい
私が話をつける」

そう言いティア姉は僕の肩に手を置いた
しかし、僕はその手を振り払った

「そうやって!また僕を庇う!
その人の言う通り僕に力なんてない、皆の後をついていくので精一杯なんだ!
笑われようが!陰口を叩かれようが!
それがみんなの期待に答えられない僕の正当な評価なんだよ!
それなのに…
みんなは僕を庇うから…
庇われるから僕は自分の無力さを感じるんだ!
本当は僕だって…
僕は…」 

そこまで言って僕はギルドを飛び出した
後ろから姉達が何か言っていたが聞こえない
気づくと今日来ていた「黒夢の森くろゆめのもり」にいた
僕は迷わず目の前の木に近づき3回ノックした

突風が吹き咄嗟に目を閉じる
次に目を開けた時、目の前には例のあの人がいた

「本当に1ヶ月で僕は強くなれるんだよね」

それを聞いたその人はまた笑ったように見えた

「勿論だ、君は大きな可能性を持っている
しかし、俺の試練についてこれるかな?」

僕は涙を拭き頷く

「いいね!そう来なくっちゃ
俺の名は【ヒヨ】
君の真価を引き出してあげよう!」

ヒヨはそう言って高らかに笑った
しおりを挟む

処理中です...