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御曹司と言う立場
⑤
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はあ?という表情をする柊真。
「でも私が、きっとお互いの会社の懸け橋になってくれますよと、申し上げたんです。」
「ちょっと、親父。」
私は柊真を止めた。
「子供の幸せな結婚を願わない親はいませんよ。お父さんだって、きっと利夏さんは幸せになると思って、この結婚に乗ってくれたんだと思いますよ。」
利夏さんは、渡されたハンカチで涙を拭いていた。
「さあ、見送りしましょう。」
社長は利夏さんを連れて、応接室を出た。
「僕も……」
そう言った柊真の目の前で、応接室のドアは閉められた。
残されたのは、私達二人。
ほんと、気まずい。
「柊真、あの……」
「なんだよ、あの態度。」
しかも柊真、完全に怒ってるし。
「どうぞ、結婚してお金貰って下さいって何だよ。」
「ごめん。あれは、その……」
「ほんと、全く分かってないよ。俺がどんなに恭香を好きなのか。」
「ごめなさいっ!」
謝った瞬間、柊真は私の顔を掴んで、キスをした。
「んんっ……」
息ができない、激しいキス。
「柊真……」
たまりかねて、柊真の名前を呼ぶと、思いっきりソファーに押し倒された。
「やだ、ここでするの?」
「誰も来ないよ。俺たちだけの部屋だって。」
「社長が来るわよ!」
「親父だって気を利かせて、戻って来ないよ。」
柊真の吐息が、私の首にかかる。
「思い出したよ。おまえに恋した瞬間。」
「えっ……」
「あの時も、俺を庇ってくれた。」
― 結城君は、そんな人じゃありません!きっと取引先を思ってしたことです! -
「俺の初めての失敗、皆は御曹司なのに派手な失敗したって、嘲笑ってた。でも恭香だけは、俺を信じてくれていた。」
「あの時?」
一緒に頑張っていた時。誰よりも早く認めてもらおうとして、焦って失敗したのを分かってた。
でもそれを、御曹司だからって失敗しちゃいけないって、笑ってるのもどうかと思った。
何よりも、人の何倍も努力してるのを、私は知っていた。
「それで思ったんだ。もし、恭香が同じ立場になっても、俺だけは恭香の味方になるって。こいつの事、絶対守ってみせるって。」
私は、柊真の赤く腫れた頬に触れた。
「柊真は、ちゃんと守ってくれたよ。」
「あのくらい、どうってことないよ。」
「でも、痛かったでしょ。」
「恭香を傷つけられる方が、何倍も痛いよ。」
そして私達は、社長には申し訳ないけれど、応接室で一時の情事を味わった。
「でも私が、きっとお互いの会社の懸け橋になってくれますよと、申し上げたんです。」
「ちょっと、親父。」
私は柊真を止めた。
「子供の幸せな結婚を願わない親はいませんよ。お父さんだって、きっと利夏さんは幸せになると思って、この結婚に乗ってくれたんだと思いますよ。」
利夏さんは、渡されたハンカチで涙を拭いていた。
「さあ、見送りしましょう。」
社長は利夏さんを連れて、応接室を出た。
「僕も……」
そう言った柊真の目の前で、応接室のドアは閉められた。
残されたのは、私達二人。
ほんと、気まずい。
「柊真、あの……」
「なんだよ、あの態度。」
しかも柊真、完全に怒ってるし。
「どうぞ、結婚してお金貰って下さいって何だよ。」
「ごめん。あれは、その……」
「ほんと、全く分かってないよ。俺がどんなに恭香を好きなのか。」
「ごめなさいっ!」
謝った瞬間、柊真は私の顔を掴んで、キスをした。
「んんっ……」
息ができない、激しいキス。
「柊真……」
たまりかねて、柊真の名前を呼ぶと、思いっきりソファーに押し倒された。
「やだ、ここでするの?」
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「社長が来るわよ!」
「親父だって気を利かせて、戻って来ないよ。」
柊真の吐息が、私の首にかかる。
「思い出したよ。おまえに恋した瞬間。」
「えっ……」
「あの時も、俺を庇ってくれた。」
― 結城君は、そんな人じゃありません!きっと取引先を思ってしたことです! -
「俺の初めての失敗、皆は御曹司なのに派手な失敗したって、嘲笑ってた。でも恭香だけは、俺を信じてくれていた。」
「あの時?」
一緒に頑張っていた時。誰よりも早く認めてもらおうとして、焦って失敗したのを分かってた。
でもそれを、御曹司だからって失敗しちゃいけないって、笑ってるのもどうかと思った。
何よりも、人の何倍も努力してるのを、私は知っていた。
「それで思ったんだ。もし、恭香が同じ立場になっても、俺だけは恭香の味方になるって。こいつの事、絶対守ってみせるって。」
私は、柊真の赤く腫れた頬に触れた。
「柊真は、ちゃんと守ってくれたよ。」
「あのくらい、どうってことないよ。」
「でも、痛かったでしょ。」
「恭香を傷つけられる方が、何倍も痛いよ。」
そして私達は、社長には申し訳ないけれど、応接室で一時の情事を味わった。
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