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ああ、まただ……
生理が終わると、身体が疼く。
男の人に抱かれて、愛されてみたい。
と言っても、もう私は四十路。
恋人もいないし、そんな相手もいない。
そして、エレベーターが来て、扉が開く。
その瞬間、はっとなった。
エレベーターに乗っていたのは、営業部のエース。
遠藤隼人さんだったからだ。
近く、課長に昇進するという噂がある。
まだ30くらいだと言うのに、出世が早い。
しかも、王子様みたいな、美しい顔をしているから、見ているだけでドキドキする。
「お疲れ様です。」
ありきたりな挨拶をしたけれど、遠藤さんは頭を下げるだけ。
そうだよね。
私は総務部で、営業部とは接点がない。
その上、地味な私では、男性が興味も持たないだろう。
ああ、空しい。
その時、手が緩んだのか、持っていた書類を一枚落としてしまった。
「はっ……」
吐息交じりに、書類がひらひらと舞うのを見る。
手を伸ばすと、書類は遠藤さんの前に落ちた。
「すみません……」
遠藤さんの前にかがんで、書類を拾った。
もし、キレイで若い女子なら、書類を拾ってくれるのは、男性だろう。
そういう場面を、いくつも見て来た。
拾った書類を、腕の中に積んである書類の上に置いた。
「へえ。会議室の空き状況?」
耳元で遠藤さんの声がした。
急に後ろを見ると、遠藤さんが私の後ろに立っている。
男性が後ろに立たれると、女は怖いものだ。
咄嗟に一歩前に進もうとすると、遠藤さんに抱き寄せられた。
「怖い?」
また耳元で囁かれた。
「あの……」
「僕に興味がありそうに、見えたけど違う?」
私はハッとした。
ヤバい。
いつそんな事、思ったの?
「名前は?」
「茂木加奈子です。」
「加奈子さん、今から最上階に行くよ。」
すると遠藤さんは、エレベーターにある最上階のボタンを押した。
私、最上階に連れて行かれて、何されるの?
そしてエレベーターの扉が開き、男性が立っていた。
助かった!
私はその人に、手を伸ばした。
その瞬間、その人は微笑んで、エレベーターに乗った。
「遠藤、また女捕まえたのか?」
生理が終わると、身体が疼く。
男の人に抱かれて、愛されてみたい。
と言っても、もう私は四十路。
恋人もいないし、そんな相手もいない。
そして、エレベーターが来て、扉が開く。
その瞬間、はっとなった。
エレベーターに乗っていたのは、営業部のエース。
遠藤隼人さんだったからだ。
近く、課長に昇進するという噂がある。
まだ30くらいだと言うのに、出世が早い。
しかも、王子様みたいな、美しい顔をしているから、見ているだけでドキドキする。
「お疲れ様です。」
ありきたりな挨拶をしたけれど、遠藤さんは頭を下げるだけ。
そうだよね。
私は総務部で、営業部とは接点がない。
その上、地味な私では、男性が興味も持たないだろう。
ああ、空しい。
その時、手が緩んだのか、持っていた書類を一枚落としてしまった。
「はっ……」
吐息交じりに、書類がひらひらと舞うのを見る。
手を伸ばすと、書類は遠藤さんの前に落ちた。
「すみません……」
遠藤さんの前にかがんで、書類を拾った。
もし、キレイで若い女子なら、書類を拾ってくれるのは、男性だろう。
そういう場面を、いくつも見て来た。
拾った書類を、腕の中に積んである書類の上に置いた。
「へえ。会議室の空き状況?」
耳元で遠藤さんの声がした。
急に後ろを見ると、遠藤さんが私の後ろに立っている。
男性が後ろに立たれると、女は怖いものだ。
咄嗟に一歩前に進もうとすると、遠藤さんに抱き寄せられた。
「怖い?」
また耳元で囁かれた。
「あの……」
「僕に興味がありそうに、見えたけど違う?」
私はハッとした。
ヤバい。
いつそんな事、思ったの?
「名前は?」
「茂木加奈子です。」
「加奈子さん、今から最上階に行くよ。」
すると遠藤さんは、エレベーターにある最上階のボタンを押した。
私、最上階に連れて行かれて、何されるの?
そしてエレベーターの扉が開き、男性が立っていた。
助かった!
私はその人に、手を伸ばした。
その瞬間、その人は微笑んで、エレベーターに乗った。
「遠藤、また女捕まえたのか?」
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