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Ⅱ
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そしていつしか二人で泣き疲れると、廊下の隅に、並んで座った。
そこは、父上から『お前を産んだ、母の部屋だ。』と、教えられた場所だった。
本当は、部屋の中に入りたかったが、夜中だった為、入れなかったんだ。
「なあ、ハーキム。」
「はい、ジャラール様。」
「母上は、今の俺を見て、どう思うかな……」
ハーキムは、鼻を一度、すすった。
「……ご立派に、お育ちになったと……嬉しく思っているはずです。」
ありきたりな答えなのに、それが嬉しかった。
「なあ、ハーキム。」
「はい、ジャラール様。」
「俺は……どうして、この世に生まれたのだろう。」
しばらく経っても、ハーキムからの返事はない。
「なぜ……母上は私の命を助けてほしいと、父上に乞うたのだろう。」
「それは!」
ハーキムは、私の手を取ると、その上に自分の手を置いた。
「人の親であれば、我が子の命を助けたいと思うのは、当たり前の事です。」
「俺の人生が、こんなにも苦しくなると、分かっていたとしてもか?」
ハーキムは、俺をじっと見つめて、何を思ったのか、俺を自分の胸に抱き寄せた。
「えっ!?ハーキム!?」
突然の事に、どうすればよいか、戸惑った。
よりによって、男に抱き締められるなんて!
「このまま、聞いて下さい。ジャラール様。」
「わ、分かった。」
言う事を聞かないと、何をされるか分からないと思った俺は、とりあえずハーキムの言葉に、従って大人しく話を聞く事にした。
「私があなた様に、お仕えすると決まった時。『この方は、次期国王の側近になられる方。』と、教えられと言うのは、お話致しましたね。」
「ああ……」
「私も、なぜ第1王子が側近になり、王女が国王になるのか。尋ねてみたのです。」
「えっ?ハーキムが?」
あんなに周りの言う事に、“はい”か“いいえ”しか、言わないと思っていたハーキムが。
「答えは、こうでした。」
ー では王女が、国王を継がずに、第1王子が王位を継げば、どのようになるでしょう。
国が乱れ、王の血筋はそこで、絶えてしまいます。
大丈夫です。
第1王子であるジャラール様は、ご自分に与えられた運命を、力強く乗り越えて行ける方です。
だからこそ現国王も、側近にと望んでいるのです。 ー
「俺は、運命を乗り越えて行けると?」
「はい。皆、あなた様ならと、期待をされているのです。女中とて、言っておられたではありませんか!あなた様は、お母上であるマリエフ前妃様の生きた証だと!辛くても、ジャラール様なら、大丈夫です。この私が証明致します!」
耳元でそんな事を言われると、いた事もない男兄弟と言うモノを、考えてしまう。
「……有り難う、ハーキム。」
すっかり安心した俺は、そのままハーキムの胸の中で、眠ってしまった。
次の日。
風邪をひいてしまった俺のせいで、ハーキムはこっぴどく、叱られたと言っていた。
そこは、父上から『お前を産んだ、母の部屋だ。』と、教えられた場所だった。
本当は、部屋の中に入りたかったが、夜中だった為、入れなかったんだ。
「なあ、ハーキム。」
「はい、ジャラール様。」
「母上は、今の俺を見て、どう思うかな……」
ハーキムは、鼻を一度、すすった。
「……ご立派に、お育ちになったと……嬉しく思っているはずです。」
ありきたりな答えなのに、それが嬉しかった。
「なあ、ハーキム。」
「はい、ジャラール様。」
「俺は……どうして、この世に生まれたのだろう。」
しばらく経っても、ハーキムからの返事はない。
「なぜ……母上は私の命を助けてほしいと、父上に乞うたのだろう。」
「それは!」
ハーキムは、私の手を取ると、その上に自分の手を置いた。
「人の親であれば、我が子の命を助けたいと思うのは、当たり前の事です。」
「俺の人生が、こんなにも苦しくなると、分かっていたとしてもか?」
ハーキムは、俺をじっと見つめて、何を思ったのか、俺を自分の胸に抱き寄せた。
「えっ!?ハーキム!?」
突然の事に、どうすればよいか、戸惑った。
よりによって、男に抱き締められるなんて!
「このまま、聞いて下さい。ジャラール様。」
「わ、分かった。」
言う事を聞かないと、何をされるか分からないと思った俺は、とりあえずハーキムの言葉に、従って大人しく話を聞く事にした。
「私があなた様に、お仕えすると決まった時。『この方は、次期国王の側近になられる方。』と、教えられと言うのは、お話致しましたね。」
「ああ……」
「私も、なぜ第1王子が側近になり、王女が国王になるのか。尋ねてみたのです。」
「えっ?ハーキムが?」
あんなに周りの言う事に、“はい”か“いいえ”しか、言わないと思っていたハーキムが。
「答えは、こうでした。」
ー では王女が、国王を継がずに、第1王子が王位を継げば、どのようになるでしょう。
国が乱れ、王の血筋はそこで、絶えてしまいます。
大丈夫です。
第1王子であるジャラール様は、ご自分に与えられた運命を、力強く乗り越えて行ける方です。
だからこそ現国王も、側近にと望んでいるのです。 ー
「俺は、運命を乗り越えて行けると?」
「はい。皆、あなた様ならと、期待をされているのです。女中とて、言っておられたではありませんか!あなた様は、お母上であるマリエフ前妃様の生きた証だと!辛くても、ジャラール様なら、大丈夫です。この私が証明致します!」
耳元でそんな事を言われると、いた事もない男兄弟と言うモノを、考えてしまう。
「……有り難う、ハーキム。」
すっかり安心した俺は、そのままハーキムの胸の中で、眠ってしまった。
次の日。
風邪をひいてしまった俺のせいで、ハーキムはこっぴどく、叱られたと言っていた。
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