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Ⅳ
⑯
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断ったはずなのに、サラサさんは、俺に水を持って来てくれた。
「ご無理なさらずに。ここで悪酔いすれば、今後酒を飲む度に、今日の事を思い出してしまいますよ?」
テラーテさんは、俺の持つ杯を、水の入ったコップに代えてくれた。
「申し訳ない。」
「いえ。」
テラーテさんは、微笑みながら、俺の持っていた杯を、近くに置く。
「この舞踏団は、私の祖父の代から、始まりました。最初は孤児ばかりで、ならず者と蔑まれたりも、したそうです。」
「へえ……」
「ですが、舞踏団の中で夫婦ができ、子ができ、一族同士ができ、私の代では皆、家族みたいな物になりました。」
俺はアリアの躍りを見て、楽しんでいると言うよりも、舞踏団の光を見ているような、そんな皆の目に圧倒された。
「アリアは、舞踏団を作った者の孫。皆、尊敬し可愛がってくれます。だからこそ、あなた様にも厳しい事を言うかもしれません。ですが、それはアリアを愛しているからこそなのです。どうか、お許し下さい。」
テラーテさんは、俺に深々と頭を下げた。
「それ、アリアと僕の事を、暗に許してくれると言う事ですか?」
「えっ?」
テラーテさんが、顔を上げて、しかめ面をする。
自分でも全く、調子に乗っていると思う。
たぶん、お酒が入っているから、なのかな。
「お気づきかもしれませんが、僕はアリアに惚れています。」
「はあ……」
「将来、アリアを妻に迎えたいと、思っています。」
「妻に!?」
あまりにも大きなテラーテさんの声に、近くにいる人々が、こちらを向く。
「テラーテさん、声が大きい!」
「すみません。」
そして俺の方から、テラーテさんに近づく。
「ただ、テラーテさんも知っている通り、僕には正妃を決める権利がありません。」
これには、テラーテさんも、返事をしてくれなかった。
「それでも僕は、アリアと正式に夫婦になりたい。第2の妃でも許してくれると言うなら……その……」
ここまで勢いよく話したと言うのに、途端に言葉が出てこない。
「その……」
“結婚させて下さい”って、どうして言えないんだ?
「あの……」
焦れば焦る程、言葉が詰まる。
その時テラーテさんが、俺の肩に手を、そっと置いた。
「まだ、慌てなくてもいいのですよ。」
「テラーテさん……」
「あなたは、まだ若い。この先気持ちが変わるかもしれない。」
「そんな事!……」
俺はテラーテさんの方を向き、首を勢い良く、横に振った。
「いいんです。ゆっくり、考えましょう。私も、今日あなたとこうしてお話するのは、初めてなんです。今、妹の事を言われても、直ぐに“はい”とは、申し上げられない。」
「えっ……」
もしかして、俺達の事、反対している?
するとテラーテさんは、静かに微笑んだ。
「たった一人の肉親と言うのは、皆、そう言うものですよ。」
そして彼は、又、静かに笑った。
「ご無理なさらずに。ここで悪酔いすれば、今後酒を飲む度に、今日の事を思い出してしまいますよ?」
テラーテさんは、俺の持つ杯を、水の入ったコップに代えてくれた。
「申し訳ない。」
「いえ。」
テラーテさんは、微笑みながら、俺の持っていた杯を、近くに置く。
「この舞踏団は、私の祖父の代から、始まりました。最初は孤児ばかりで、ならず者と蔑まれたりも、したそうです。」
「へえ……」
「ですが、舞踏団の中で夫婦ができ、子ができ、一族同士ができ、私の代では皆、家族みたいな物になりました。」
俺はアリアの躍りを見て、楽しんでいると言うよりも、舞踏団の光を見ているような、そんな皆の目に圧倒された。
「アリアは、舞踏団を作った者の孫。皆、尊敬し可愛がってくれます。だからこそ、あなた様にも厳しい事を言うかもしれません。ですが、それはアリアを愛しているからこそなのです。どうか、お許し下さい。」
テラーテさんは、俺に深々と頭を下げた。
「それ、アリアと僕の事を、暗に許してくれると言う事ですか?」
「えっ?」
テラーテさんが、顔を上げて、しかめ面をする。
自分でも全く、調子に乗っていると思う。
たぶん、お酒が入っているから、なのかな。
「お気づきかもしれませんが、僕はアリアに惚れています。」
「はあ……」
「将来、アリアを妻に迎えたいと、思っています。」
「妻に!?」
あまりにも大きなテラーテさんの声に、近くにいる人々が、こちらを向く。
「テラーテさん、声が大きい!」
「すみません。」
そして俺の方から、テラーテさんに近づく。
「ただ、テラーテさんも知っている通り、僕には正妃を決める権利がありません。」
これには、テラーテさんも、返事をしてくれなかった。
「それでも僕は、アリアと正式に夫婦になりたい。第2の妃でも許してくれると言うなら……その……」
ここまで勢いよく話したと言うのに、途端に言葉が出てこない。
「その……」
“結婚させて下さい”って、どうして言えないんだ?
「あの……」
焦れば焦る程、言葉が詰まる。
その時テラーテさんが、俺の肩に手を、そっと置いた。
「まだ、慌てなくてもいいのですよ。」
「テラーテさん……」
「あなたは、まだ若い。この先気持ちが変わるかもしれない。」
「そんな事!……」
俺はテラーテさんの方を向き、首を勢い良く、横に振った。
「いいんです。ゆっくり、考えましょう。私も、今日あなたとこうしてお話するのは、初めてなんです。今、妹の事を言われても、直ぐに“はい”とは、申し上げられない。」
「えっ……」
もしかして、俺達の事、反対している?
するとテラーテさんは、静かに微笑んだ。
「たった一人の肉親と言うのは、皆、そう言うものですよ。」
そして彼は、又、静かに笑った。
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