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第10章 プロポーズ
②
あれから3日間経った頃だった。
店長さんが、デザインの仕事で、本社にやってきた。
「いやぁ、お話を貰った時は、すごく嬉しかったよ。俺でももう一度デザインの仕事ができるのかってね。」
店長さんは、とてもいい顔をしていた。
「張り切って作って来たよ。ほら、」
目の前に広げれられたデザイン画。
どれも、この地域のOLさんが、好きそうなものだ。
「すごいですね。どれも、ぴったりなデザインだ。」
「当たり前よ。これでも毎日、街中のOLを見回しているんだからね。」
店長さんは、胸をドンっと叩いた。
「そうだ。これを見てくれよ。これが一番おすすめするデザインなんだ。」
テーブルに広げた何枚かのデザイン画から、店長さんは1枚の紙をピックアップした。
それは、シンプルなデザインの中に、少しだけ流行りの絞りが入れられていた。
「どうだ?女性は、こういうのが、好きだろう?」
いかにも女性の好きな物は、知っていますって言う顔の店長に、私はクスッと笑った。
「熱いですね。」
「そうよ。仕事は情熱を持ってやらないと、成功しないからな。なあ、門馬さん。」
店長は、雪人の背中を叩いた。
「そうですね。」
当たり障りのない返事。
クールな雪人には、ついていけないテンションだったかな。
「恋愛だって、そうでしょ。」
急に恋の話を始めた店長さん。
ちょっと大人の人が、珍しい。
「ここぞと言う時に、冷めた目で『去る者、追わず。』って顔をしている奴は、結局誰も捕まえられないのさ。」
そのセリフに、側にいた清水係長が、クスクス笑う。
「本当に、熱いわね。」
「だから、仕事も恋愛も、熱くなきゃダメって事。」
「その勢いで、今の奥さんも結婚に、持ち込んだんだもんね。」
清水係長は、店長の肩を突っついた。
「そのお陰で、今もラブラブ。いいぜ?好きな女と、毎日一緒にいられるのは。」
「あら、ご馳走様。」
「清水も早く、男探せよ。」
私と門馬は、仲のいい清水係長と店長の会話を、終始聞いていた。
「仲、いいね。あの二人。」
「ああ、そうだな。」
数日振りの、落ち着いた会話。
これも後どのくらいで、ビジネスライクに戻るんだろう。
そんな事を考えたら、途端に寂しくなった。
その時、秋香が私のスマートフォンを持って、ミーティング室にやってきた。
「打ち合わせ中にごめんなさい。」
秋香は、私に向かって来ると、スマートフォンを差し出した。
「ミーティング終わるまで待ってようと思ったんだけど、お母さんから何度も連絡が……」
「ええ?」
お母さんから何度も連絡なんて、家で何かあったのかな。
「ちょっと失礼します。」
私は秋香からスマートフォンを受け取って、お母さんに電話をした。
『もしもし?』
「ああ、お母さん?何?仕事中に。」
『ごめんなさいね、お父さんが何度も電話しろって、うるさいから。』
「お父さんが?」
私は立ち上がって、部屋の隅に行った。
「お父さんが、何だって?」
『離婚よ。離婚の事で、家に戻ってくるなって、怒ってるのよ。』
「何よ、その事で?」
私は、はぁーっとため息をついた。
「お父さんには、また私から話すから。」
『あのね、お母さんも反対よ?もう一度雪人君と、よく話し合って……』
私はチラッと、雪人を見た。
そのせいで、勘のいい雪人は、私達の事だと気づいたみたい。
「それは、家に帰ってから、話すから。今、ここで話す事じゃあ、ないでしょう?」
『だけどね、夏海……』
その時だった。
私のスマートフォンは、誰かの手に吸い取られていった。
「お母さん、安心してください。僕が何とかしますから。」
私は飛び上がるくらいに、その場でびっくりした。
店長さんが、デザインの仕事で、本社にやってきた。
「いやぁ、お話を貰った時は、すごく嬉しかったよ。俺でももう一度デザインの仕事ができるのかってね。」
店長さんは、とてもいい顔をしていた。
「張り切って作って来たよ。ほら、」
目の前に広げれられたデザイン画。
どれも、この地域のOLさんが、好きそうなものだ。
「すごいですね。どれも、ぴったりなデザインだ。」
「当たり前よ。これでも毎日、街中のOLを見回しているんだからね。」
店長さんは、胸をドンっと叩いた。
「そうだ。これを見てくれよ。これが一番おすすめするデザインなんだ。」
テーブルに広げた何枚かのデザイン画から、店長さんは1枚の紙をピックアップした。
それは、シンプルなデザインの中に、少しだけ流行りの絞りが入れられていた。
「どうだ?女性は、こういうのが、好きだろう?」
いかにも女性の好きな物は、知っていますって言う顔の店長に、私はクスッと笑った。
「熱いですね。」
「そうよ。仕事は情熱を持ってやらないと、成功しないからな。なあ、門馬さん。」
店長は、雪人の背中を叩いた。
「そうですね。」
当たり障りのない返事。
クールな雪人には、ついていけないテンションだったかな。
「恋愛だって、そうでしょ。」
急に恋の話を始めた店長さん。
ちょっと大人の人が、珍しい。
「ここぞと言う時に、冷めた目で『去る者、追わず。』って顔をしている奴は、結局誰も捕まえられないのさ。」
そのセリフに、側にいた清水係長が、クスクス笑う。
「本当に、熱いわね。」
「だから、仕事も恋愛も、熱くなきゃダメって事。」
「その勢いで、今の奥さんも結婚に、持ち込んだんだもんね。」
清水係長は、店長の肩を突っついた。
「そのお陰で、今もラブラブ。いいぜ?好きな女と、毎日一緒にいられるのは。」
「あら、ご馳走様。」
「清水も早く、男探せよ。」
私と門馬は、仲のいい清水係長と店長の会話を、終始聞いていた。
「仲、いいね。あの二人。」
「ああ、そうだな。」
数日振りの、落ち着いた会話。
これも後どのくらいで、ビジネスライクに戻るんだろう。
そんな事を考えたら、途端に寂しくなった。
その時、秋香が私のスマートフォンを持って、ミーティング室にやってきた。
「打ち合わせ中にごめんなさい。」
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「ミーティング終わるまで待ってようと思ったんだけど、お母さんから何度も連絡が……」
「ええ?」
お母さんから何度も連絡なんて、家で何かあったのかな。
「ちょっと失礼します。」
私は秋香からスマートフォンを受け取って、お母さんに電話をした。
『もしもし?』
「ああ、お母さん?何?仕事中に。」
『ごめんなさいね、お父さんが何度も電話しろって、うるさいから。』
「お父さんが?」
私は立ち上がって、部屋の隅に行った。
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『離婚よ。離婚の事で、家に戻ってくるなって、怒ってるのよ。』
「何よ、その事で?」
私は、はぁーっとため息をついた。
「お父さんには、また私から話すから。」
『あのね、お母さんも反対よ?もう一度雪人君と、よく話し合って……』
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「それは、家に帰ってから、話すから。今、ここで話す事じゃあ、ないでしょう?」
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