コーヒーの香りが溶ける夜に 【R18】

日下奈緒

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結ばれる瞬間――

そこにあるのは、激情よりも、静かなやさしさだった。

丁寧に、深く、互いを確かめるように。

片桐さんの熱が、私の奥に、ゆっくりと沈んでいく。

「……んっ……」

わずかに眉を寄せて、唇を噛んだ。

身体がひらかれていく感覚に、ぞくりと背筋が震える。

彼の手が腰を支え、目を逸らさずに、私のすべてを受け止めようとする。

その視線が、なによりも安心をくれた。

「……痛くない?」

「ううん……来て……もっと……」

促すように脚を絡めると、彼は喉を鳴らし、奥までゆっくりと沈み込んだ。

深く触れられるたび、芯が溶けていくように感じる。

柔らかく、押し返すように蠢く肉の奥が、彼を受け入れて、締めつけていく。

「……すごい、濡れてる」

片桐さんが低く呟くと、私の頬が熱を持った。

彼はただ乱暴に貪ることはしなかった。


一度引き抜き、またゆっくりと挿し込む――そのたびに、繊細な部分をすくいあげるように揺らされる。

「っ……あっ……そこ……っ」

彼の動きが、深いところを確実に捉えるたび、私の声が上ずる。

手は彼の背に爪を立て、足先まで震えるほどの快感に身を委ねていく。

肌がこすれ合う音と、呼吸が重なる。

やがて片桐さんが速度をあげていくと、意識は白く染まり、視界が霞む。

言葉にならない声が、喉の奥から零れ続けた。

「……イきそう?」

「……うん……もう、だめ……っ」

彼に抱きしめられたまま、全身が痙攣するように波打つ。

心と身体が、同時にほどけていく瞬間だった。


「……おはようございます」

翌朝。照れたように彼が出したのは、いつものグァテマラだった。

湯気の向こうで、私は微笑んだ。

「今日のは……ちょっと、甘いですね」

彼もまた、静かに笑った。

「……あなたを想いながら淹れましたから。」

コーヒーの香りが溶ける朝。

そこに、ふたりだけの新しい一日が始まっていた。


ー End -
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