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第3章 大学生だと知った日、彼は手を離した
⑨
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「本当にそれでいいの?」
さくらが、真剣な顔で私を見つめた。
「その様子だと、本気じゃん。忘れられるわけないよ。」
私は俯きながら、箸をそっと置いた。
そう。
あの人のこと、本気で好きだった。
――いや、今でも好き。
あのとき、車の中で抱き寄せられた腕さえ、今も覚えてる。
優しくて、でもどこか突き放すような温度もあった。
「……何とか、ならないのかな。」
ぼんやりと呟いた言葉に、隣にいた誠一がポンと手を打った。
「でもさ、会社は知ってるんでしょ?」
「えっ?」
「ブログに副社長って書いてたんでしょ?じゃあその会社に行けばいいじゃん。」
「……え、待って。それってまさか――」
「会社の前で待ち伏せすれば?」
「ええっ、それ完全にストーカーじゃん!」
さくらが箸を落としそうになって引いた。
「いやいや、何も変なことしなきゃいいんだよ。偶然を装えばいいの。ちょっと近くに来たとか、面接とかさ。」
「面接はダメでしょ……」
私は呆れつつも、心のどこかで「それ、ありかも」と思ってしまっていた。
「でも……実際どうするの?玲央さんにバッタリ会って、何て言うつもり?」
さくらが静かに聞いてくる。
私は一瞬、考えた。
「――もう一度だけ、会いたかったって言う。」
「それだけ?」
私は小さく頷いた。
「それだけでいいの。あとは……玲央さんが、私に会いたいって思ってくれるかどうか。」
「……ひよりってさ、そういうとこ、意外とカッコいいよな。」
誠一が笑いながら言う。
私は苦笑して、飲みかけのジュースに目を落とした。
会えるかなんて分からない。
でも、このまま忘れるなんて、できそうにない。
その日の夜。
私はひとり、自室のベッドに腰を下ろしてスマホを開いた。
「玲央さん 会社」――検索バーにそう打ち込むと、すぐにいくつかの情報が出てきた。
「……あった。中央2丁目……」
地図アプリに表示された場所は、都心のど真ん中。
高層ビルが並ぶオフィス街。
そして、その中でもひときわ大きく、立派なビルの名前が、彼の会社だった。
“副社長”――
そうだよね、やっぱり簡単には会える人じゃない。
それでも、もう一度だけでもいい。
「会いたい」そう言いたかった。
そのとき、スマホが震えた。
表示された名前は――さくら。
『探せた?』
「うん。明日、行ってみようと思って。」
電話越しに、さくらはすぐに言った。
『私も付き合うよ。ひより一人じゃ危なっかしいし。』
私は、ふっと小さく笑った。
「ありがとう、さくら。助かる。」
『どうせならオシャレして行こうよ。偶然でも、可愛くしてる方がいいでしょ?』
「うん。じゃあ、明日は10時に駅で待ち合わせね。」
『オッケー。バッチリ準備していく!』
さくらが、真剣な顔で私を見つめた。
「その様子だと、本気じゃん。忘れられるわけないよ。」
私は俯きながら、箸をそっと置いた。
そう。
あの人のこと、本気で好きだった。
――いや、今でも好き。
あのとき、車の中で抱き寄せられた腕さえ、今も覚えてる。
優しくて、でもどこか突き放すような温度もあった。
「……何とか、ならないのかな。」
ぼんやりと呟いた言葉に、隣にいた誠一がポンと手を打った。
「でもさ、会社は知ってるんでしょ?」
「えっ?」
「ブログに副社長って書いてたんでしょ?じゃあその会社に行けばいいじゃん。」
「……え、待って。それってまさか――」
「会社の前で待ち伏せすれば?」
「ええっ、それ完全にストーカーじゃん!」
さくらが箸を落としそうになって引いた。
「いやいや、何も変なことしなきゃいいんだよ。偶然を装えばいいの。ちょっと近くに来たとか、面接とかさ。」
「面接はダメでしょ……」
私は呆れつつも、心のどこかで「それ、ありかも」と思ってしまっていた。
「でも……実際どうするの?玲央さんにバッタリ会って、何て言うつもり?」
さくらが静かに聞いてくる。
私は一瞬、考えた。
「――もう一度だけ、会いたかったって言う。」
「それだけ?」
私は小さく頷いた。
「それだけでいいの。あとは……玲央さんが、私に会いたいって思ってくれるかどうか。」
「……ひよりってさ、そういうとこ、意外とカッコいいよな。」
誠一が笑いながら言う。
私は苦笑して、飲みかけのジュースに目を落とした。
会えるかなんて分からない。
でも、このまま忘れるなんて、できそうにない。
その日の夜。
私はひとり、自室のベッドに腰を下ろしてスマホを開いた。
「玲央さん 会社」――検索バーにそう打ち込むと、すぐにいくつかの情報が出てきた。
「……あった。中央2丁目……」
地図アプリに表示された場所は、都心のど真ん中。
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そして、その中でもひときわ大きく、立派なビルの名前が、彼の会社だった。
“副社長”――
そうだよね、やっぱり簡単には会える人じゃない。
それでも、もう一度だけでもいい。
「会いたい」そう言いたかった。
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『探せた?』
「うん。明日、行ってみようと思って。」
電話越しに、さくらはすぐに言った。
『私も付き合うよ。ひより一人じゃ危なっかしいし。』
私は、ふっと小さく笑った。
「ありがとう、さくら。助かる。」
『どうせならオシャレして行こうよ。偶然でも、可愛くしてる方がいいでしょ?』
「うん。じゃあ、明日は10時に駅で待ち合わせね。」
『オッケー。バッチリ準備していく!』
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