15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第7章 不安の夜と、確かな腕の中で

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そして浴室から出ると、そのままベッドに横になった。

玲央さんが、私に腕枕をしてくれる。

「玲央さん、私。玲央さんの事、ちゃんと愛せてる?」

するとクスクスと、玲央さんが笑い出した。

「えっ?どうして笑うの?」

ちょっと拗ねると、玲央さんは髪を撫ででくれた。

「愛せてる。さっきのお風呂だって俺、愛されてるって思った。」

私は玲央さんを抱きしめた。

「本当?」

「男は、好きな女を抱くだけで、俺って愛されてるって思っちゃう動物なんだよ。」

なんだか私も、クスクス笑えた。

「やっと、笑った。」

私は玲央さんを見た。

「そうやって、俺の隣で笑っててほしい。これからもずっと。」

玲央さんも笑顔になってる。

「ひより。俺は、社会人としての君も、妻としての君も、母親になった君も、側で見たい。」

それはこれからの未来も、この人と歩んでいけるという、魔法の言葉だった。

朝の光が、カーテンの隙間からそっと差し込んでいた。

玲央さんが鏡の前でネクタイを締めながら、ぽつりと口にした。

「今度、旅行行こうか。」

私は思わず顔を上げ、ソファから振り返った。

「旅行?」

「うん。近場でいいからさ。温泉でも、海でも。ひよりが行きたいところでいいよ。」

玲央さんは、ネクタイを整える手を止めて、少し照れくさそうに笑った。

「仕事ばっかで、ひよりにちゃんと向き合ってる時間、少ないだろ?」

「そんなこと……ないよ。」

そう言いながら、心の奥がじんと熱くなるのを感じた。

私のこと、ちゃんと見てくれてる。ちゃんと、大切にしようとしてくれてる。

「どこがいいだろね。」

そう呟くと、玲央さんは私の方に向き直り、ポケットからスマホを取り出した。

「ひより、海好きだっけ?それとも山?……あ、でも俺、料理旅館とかも興味あるな」

私は思わずくすっと笑った。

「ねえ、それって……のんびりふたりきりで、ってこと?」

玲央さんは片眉をあげて、小さくうなずいた。

「うん。ふたりで、ちゃんと過ごす時間。欲しいだろ?」

私は静かに頷いた。

なんてことない朝なのに、言葉のひとつひとつが、心に温かく響いた。

玲央さんが玄関に向かって歩き出し、靴を履くと、ドアの前でふと振り返る。

「行ってきます。……旅行、絶対行こうな。」

「うん。楽しみにしてる。」

ドアが閉まったあとも、胸の奥がぽかぽかしていた。

玲央さんと、ふたりきりの時間。

それは、きっとただの旅行じゃなくて――もっと、大切な何かになりそうな気がした。

玲央さんに内緒で、お弁当を作った。

「でーきた。」

キッチンで一人、蓋を閉じた瞬間、胸の中にじんわりと嬉しさが広がる。

食べ終わったらそのまま捨てられるよう、可愛い柄のランチパックに詰めた。

卵焼きに、ほうれん草のお浸し、プチトマト。

そして、メインはふっくら焼いたハンバーグ。

「うん、これなら……玲央さん、絶対喜んでくれるはず。」

お弁当をバッグに入れ、私は電車を乗り継いで玲央さんのオフィスビルへ向かった。

午後の街はビジネスパーソンで溢れていて、私はその中に小さく紛れ込んだ気分だった。

高層ビルが並ぶ一角にある、そのビルの前で、私はスマホを取り出す。

──『今、ビルの外にいます。少しだけ会えますか?』

緊張しながら、送信ボタンを押す。

ふぅ、と深く息を吐いて空を見上げると、ビルのガラスに自分の小さな姿が映っていた。

こんなふうに、誰かのためにお弁当を作る日が来るなんて。

それだけで、胸が温かくなる。

スマホが震える。

《今、降りる。待ってて》

その短い返信が、何より嬉しかった。

数分後。

自動ドアが開いて、紺のスーツに身を包んだ玲央さんが、私を見つけて歩いてくる。

ネクタイの結び目、シャツの襟元、全部きちんとしていて、見惚れてしまう。
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