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第8部 魔女の黒霧城 カストル・ノクティス ③
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「君といると、どんな絶望の中でも、希望に変わる気がする。」
そして私は、レオの上にまたがった。
月明かりがテントの布越しに差し込み、私たちを淡く照らす。
「今夜は……レオナルトを、私が抱くわ。」
彼の瞳が熱を帯びて見つめ返す。
「……望むところだ。君になら、すべてを委ねたい。」
彼の手が、私の腰に添えられた瞬間、私はそっと身を沈めた。
「ん……っ」
ひとつになる感覚。
それは、痛みよりも深い悦び。心の奥まで繋がるような――魂の交わりだった。
私は、彼の中で静かに動き始める。
「エミリア……君が、可愛すぎて……」
レオの吐息が甘く漏れる。
私の動きに合わせて、彼の手が腰を支え、導いてくれる。
「レオ……気持ちいい?」
私は、震える声で囁いた。
レオは息を呑み、目を細めた。
「ああ……君の中が、熱くて……柔らかくて……たまらない……」
私はその言葉に、胸が熱くなり、自然と動きが深くなる。
波のように押し寄せる快感が、私を呑み込んでいく。
「ん……レオ……好き……あなたが、好き……っ」
「俺も……愛してる。命をかけてでも、君を守る。」
ふたりの吐息が重なり、心がひとつになる。
この瞬間、聖女としての私ではなく、一人の女として――レオナルトの愛に包まれていた。
それは、明日を知らぬふたりの、愛の証。
この夜が、ふたりの力となり、絆となって、やがて魔女を討ち滅ぼす光になることを……私は信じていた。
木々は空を覆い隠し、昼なのにまるで黄昏のようだった。
重たい空気が肌にまとわりつく。
どこかで、草を踏む音がした気がした。
「……ここが、嘆きの森か。」
レオが呟いた。声が妙に遠く、響く。
「何も聞こえない……鳥の声も、風の音も。」
私は不安を打ち消すように、彼の背中にそっと手を置く。
「大丈夫。私は、ここにいる。」
レオは振り返り、微笑んだ。
歩みを進めるごとに、空気はさらに重くなる。
空間が歪んでいるかのように、木の間隔が広がったり狭まったりした。
「ヒヒ……ヒヒヒ……」
笑い声が聞こえた。子どもとも、女ともつかぬ声。
「聞こえたか……?」
「うん。でも……誰の声?」
「違う……俺には、声じゃないんだ。」
レオは眉をひそめ、こめかみに手を当てた。
「耳じゃない……脳に直接、響いてくる……名前を……呼ばれてる……俺の名を。」
「レオ、それは魔力の囁きよ。騙されないで。」
私は急いで彼の腕を握る。だが、レオの手は冷たく、指先が少し震えていた。
「エミリア……おかしいな。おまえの顔が……霞んで見える。」
「え?」
「まるで夢みたいに、遠い。」
私はぐっとレオの手を強く握りしめた。
「レオ、お願い。しっかりして。今、夢を見てるのはあなただけ。私はここにいる。」
すると、背後から騎士の声が響いた。
そして私は、レオの上にまたがった。
月明かりがテントの布越しに差し込み、私たちを淡く照らす。
「今夜は……レオナルトを、私が抱くわ。」
彼の瞳が熱を帯びて見つめ返す。
「……望むところだ。君になら、すべてを委ねたい。」
彼の手が、私の腰に添えられた瞬間、私はそっと身を沈めた。
「ん……っ」
ひとつになる感覚。
それは、痛みよりも深い悦び。心の奥まで繋がるような――魂の交わりだった。
私は、彼の中で静かに動き始める。
「エミリア……君が、可愛すぎて……」
レオの吐息が甘く漏れる。
私の動きに合わせて、彼の手が腰を支え、導いてくれる。
「レオ……気持ちいい?」
私は、震える声で囁いた。
レオは息を呑み、目を細めた。
「ああ……君の中が、熱くて……柔らかくて……たまらない……」
私はその言葉に、胸が熱くなり、自然と動きが深くなる。
波のように押し寄せる快感が、私を呑み込んでいく。
「ん……レオ……好き……あなたが、好き……っ」
「俺も……愛してる。命をかけてでも、君を守る。」
ふたりの吐息が重なり、心がひとつになる。
この瞬間、聖女としての私ではなく、一人の女として――レオナルトの愛に包まれていた。
それは、明日を知らぬふたりの、愛の証。
この夜が、ふたりの力となり、絆となって、やがて魔女を討ち滅ぼす光になることを……私は信じていた。
木々は空を覆い隠し、昼なのにまるで黄昏のようだった。
重たい空気が肌にまとわりつく。
どこかで、草を踏む音がした気がした。
「……ここが、嘆きの森か。」
レオが呟いた。声が妙に遠く、響く。
「何も聞こえない……鳥の声も、風の音も。」
私は不安を打ち消すように、彼の背中にそっと手を置く。
「大丈夫。私は、ここにいる。」
レオは振り返り、微笑んだ。
歩みを進めるごとに、空気はさらに重くなる。
空間が歪んでいるかのように、木の間隔が広がったり狭まったりした。
「ヒヒ……ヒヒヒ……」
笑い声が聞こえた。子どもとも、女ともつかぬ声。
「聞こえたか……?」
「うん。でも……誰の声?」
「違う……俺には、声じゃないんだ。」
レオは眉をひそめ、こめかみに手を当てた。
「耳じゃない……脳に直接、響いてくる……名前を……呼ばれてる……俺の名を。」
「レオ、それは魔力の囁きよ。騙されないで。」
私は急いで彼の腕を握る。だが、レオの手は冷たく、指先が少し震えていた。
「エミリア……おかしいな。おまえの顔が……霞んで見える。」
「え?」
「まるで夢みたいに、遠い。」
私はぐっとレオの手を強く握りしめた。
「レオ、お願い。しっかりして。今、夢を見てるのはあなただけ。私はここにいる。」
すると、背後から騎士の声が響いた。
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