神託で選ばれたのは聖女の私!? 皇太子の溺愛が止まらない【完結】

日下奈緒

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第10部 結婚式 ③

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レオナルトの声は、低く、熱を帯びていた。

私は頷くだけで精一杯だった。

その言葉だけで、心の奥に火が灯る。

「……んっ、やさしくして……」

囁いたつもりだったのに、声は震えてしまった。

レオは、そっと私の髪にキスを落とす。

「エミリア……」

彼の声は、涙を含んだように震えていた。

愛おしさと、欲望と、どうしようもない執着が滲む声。

「君が……俺を受け入れてくれるのが、たまらなく嬉しい……」

唇が頬に、首筋に、鎖骨に――落ちてゆく。

一つひとつ、確かめるように。

「もっと、感じて……エミリア……俺の中だけで、感じてくれ……」

指先が私を撫で、確かめるように触れて、そこから伝わる熱が私の奥を溶かしていく。

「やっ……ああ……レオ……!」

「君のすべてを俺にくれ。全部、俺だけのものにしたい……!」

ぎゅっと手を握られ、奥深くに達した時、私はもう、言葉にならない感情でいっぱいだった。

「あなた……あなたしかいらないの……!」

彼の瞳が潤む。

「エミリア……愛してる。命よりも。」

その言葉と共に、レオナルトは私を抱きしめたまま、何度も、何度も、名前を呼びながら、私の中に愛を注ぎ続けた。

ただ一人の妻に、すべてを捧げるように。


朝の光が、レースのカーテンを透かして差し込む。

静かに目を開けると、温かな重みが胸元にあった。

「レオ……」

小さく呼ぶと、私の腕を抱いていた彼が目を開け、ゆっくりと顔を寄せた。

「……おはよう、エミリア。」

低く、優しい声。私だけを包む朝の魔法。

「おはよう、レオナルト。」

そう言うと、彼は私の額にキスを落とし、まるで名残惜しそうにベッドを出た。

少しして、侍女のアニーがやってきた。

カップに紅茶を注ぎながら、嬉しそうに言う。

「これからは皇太子妃としての生活が始まるんですね。」

「そうね。」

頷いた私に、アニーはふふふと楽しげに笑った。

「聖女が王妃になるお話なんて……昔からの伝説だと思ってました。」

私は微笑んだ。

「伝説じゃないわ。」

手をそっと、お腹の上に重ねる。

「これから始まる、私たちの愛の物語よ。」

その瞬間、扉が開いた。

金色の髪を揺らし、白い正装に身を包んだレオナルトが微笑んで立っていた。



ー End -
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