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叶わない想い
②
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隣で寝ていたジャラールさんの姿がなくなり、代わりにハーキムさんが倒れるように、横になる。
悪いけど、ハーキムさんの寝顔見ても、嬉しくもないじゃない。
私は寝返りを打った。
「クレハは、もう目が覚めたのか?」
ジャラールさんの優しい声。
たまりかねて、ゆっくりと起き上がる。
「何だか眠れなくて。」
「私もだ。」
ジャラールさんと目が合って、お互いに笑い合った。
「怖くなかったか?ハーキムから短剣を渡されて。」
「えっ……」
何で知ってるんだろう。
寝ていたはずなのに。
「悪い。私も眠れずに、ハーキムとの話を聞いてしまった。」
「ああ……」
こんなにも近くで、寝ている。
その上、いつ襲われても分からない状況なんだから、他の人の話も、耳に入ってくるよね。
「正直、怖いです。そんなモノ持った事もないし。」
「そうか……」
「でも、二人の足手まといには、なりたくないんです。」
「クレハ……」
そうよ。
私のせいで、二人が命を落としたり、大事な宝石が奪われたりしたら嫌。
その為には、私も強くならなきゃ。
「クレハ。何かあったら、私とハーキムを頼れ。」
「でも……!」
「いいんだ。クレハは、私達が必ず守る。」
胸がきゅうっとなる。
「ジャラールさんは……」
「ん?」
「どうして、私に優しくしてくれるんですか?」
辺りがシーンとなる。
「どうしてかな。なぜか、クレハを放っておけないんだ。」
くぅ~~
普通だったら、この後二人は付き合うようになるような台詞だよ。
「でも、ジャラールさんには、ネシャートさんがいるでしょ?」
一瞬、ジャラールさんの表情が歪んだ。
「……知っていたのか。」
「ジャラールさんを見ていれば、分かります。」
ジャラールさんは、私を見ながら、無理に微笑んでいた。
「まるで私を好いてくれているような、言い回しだ。」
「えっ……」
「すまない。私の勘違いだ。日本に住んでいたクレハが、私を愛してくれるなど有るわけないのにな。」
ひゃああああ!
むちゃくちゃ好きだよ~~!
もうダメ。
言わずにはいられない。
「ジャラールさん!私……!」
ふと見ると、ハーキムさんが寝たふりをしながら、私を睨んでいる。
怖っ!!
寝るか睨むか、どっちかにして‼
「ああ~~。そう言えば、ネシャートさんって、どんな人ですか?」
「ネシャート?」
「ほら、私会った事もないし。どんな人なのかな~と。」
誤魔化す私。
本当はこんな事知りたくもないのに。
「そうだな。ネシャートは、見てて飽きない。」
はっ?
「美しくて聡明で、花のように香しく、陽射しのように暖かい。なのに時々子供のように好奇心旺盛になって、目が離せない。」
私は、頭を鈍器で殴られたような気がした。
非の打ちようがないじゃん。
「だが、ネシャートと私は、永遠に結ばれる事はない。」
「ジャラールさん?」
「ネシャートは、同じ父を持つ妹だ。将来、同盟を組んでいる別な国から結婚相手を招き入れ、この国の王となる身だ。」
口元は笑っているのに、瞳は寂しそう。
「……ネシャートさんの病気が治らないと、ジャラールさん達の国は滅びてしまうんですね。」
「そうだ。我が母が生まれ育った国も、攻め滅ぼされた。母達一族の為にも、この国を滅ぼしてはいけない。」
ジャラールさんは、右手をぎゅっと握った。
「クレハ。もう少しで碧のオワシスに着く。やっと折り返しだ。」
「はい。がんばります。」
正直、碧のオワシスも知らないし。
宝石を貰える事もないし。
ジャラールさんは、ネシャートさんの事しか考えてないし。
私の得なんて、何一つないけど。
でもジャラールさんには、目的を果たして欲しい。
心からそう思った。
そして、睡眠を取ったハーキムさんが起きて、私達は遂に目的の場所へと向かった。
駱駝を走らせる間、何度も立ち止まって、辺りを見回した二人。
「来てるな。」
「来てますね。」
聞かなくても分かる。
たぶん、宝石を狙っている人達だ。
「ハーキム。」
ジャラールさんが駱駝を、ハーキムさんの駱駝に寄せる。
口をパクパクしている二人。
そして、顔を見合わせて頷いた。
ジャラールさんが離れると、ハーキムさんは突然、私を後ろから抱き寄せた。
「えっ?何?」
「静かにしろ。ジャラール様の言葉だ。」
私は、ハーキムさんを見た。
「前を向け。俺が話している事を悟られるな。」
近くに敵がいる。
震えながら、前を向いた。
「『宝石を手に入れたら、来た道とは別なルートを辿る。時間もかかり、危険も伴うが付いてきて欲しい。』」
私は大きく頷いた。
すると心なしか、私を抱き締めるハーキムさんの腕が強くなった気がした。
「大丈夫だ。俺もいる。」
ドクンっと、心臓が鳴った。
この暖かい感じ。
光清と似ている。
嘘だ。
そんなはずはない。
私はハーキムさんを、そっと見つめた。
ハーキムさんの瞳に、私が映る。
もう少しでキスできそうな距離だ。
「ハーキムさん。」
「クレハ……」
有るわけがない。
私は、再び前を向いた。
「出発だ、ハーキム。」
「はい。」
ジャラールさんのかけ声で、碧のオワシスに近づいていく私達。
でも着いた途端、襲われる?
それても、宝石を取ってから?
着いたからと言って、油断はできない。
ジャラールさんとハーキムさんは、敵を確認しながら、前へ進む。
そして、はるか遠くに突然木々が見えた頃。
ジャラールさんとハーキムさんは、立ち止まった。
「見えた。あれが"碧のオワシス"だ。」
「あれが?」
ベージュ色の砂の世界に、ぽっかり浮かぶ緑の木々と、青い湖。
いつかハーキムさんが言ってた。
周りのオワシスが消えても、ここだけは消えないって。
「行こう。もうすぐだ。」
ジャラールさんが、先陣を切る。
ハーキムさんも、それに続く。
そして、碧のオワシスが手に届くところまで、来た時だ。
私の目の前に、大きな網が広がった。
「ハーキム!クレハ!」
気づいたら、駱駝から落ちていた。
「痛い~!」
お尻を擦りながら、顔を上げるとそこには、黒づくめの男達が。
「クレハ!」
一緒に網に捕まったハーキムさんは、さすが自分で脱出。
「クレハ!今、助ける!」
ジャラールさんも、駱駝を降りた時だ。
私は黒づくめの男達に、捕まった。
「大人しくしろ!ジャラール王子。」
「その言い方は、我が国の者か!」
「いかにも。」
そして私の首に、短剣を当てる。
もしかして私、このまま殺される!?
助けて‼
ジャラールさん!ハーキムさん!
「クレハを離せ!」
後ろからハーキムさんが、短剣で攻撃。
お陰で私の首からは、短剣が離れた。
そして一人、頭から黒いマントが外れた。
「お前は‼」
ハーキムさんが、相手の顔をマジマジと見た。
「ジャラール様。この者は、ザーヒルの手下です。」
「ザーヒル!?」
ジャラールさんも、驚いていた。
ザーヒルって、誰よ。
「現王の忠信、ザーヒルの手下とは。ザーヒルはこの事を、知っているのか?」
「黙れ!!」
捕まった途端、その黒づくめの男は、豹変した。
「代々この国は、男性の王で守られてきた。ネシャートのような女に、この国を任せられるものか!」
すると、他の黒づくめの男達も、短剣を手にする。
「ジャラール様。どうやら、ザーヒルとは関係なく女王が生まれる事への反逆者達のようです。」
「女王への……反逆者?……」
ジャラールさんは、刀へ手をかけたまま、止まってしまった。
「ネシャート王女の王位継承を、誰しもが望んでいると思っていたか。」
黒づくめの男達は、薄気味悪い笑いを浮かべていた。
「幸いネシャート王女は、病に臥せっている。ジャラール王子達が、宝石を持ち帰らなければ、王女は王位を継ぐどころか、病死だ。そうすれば正当な王位継承が行われる。」
「正当な王位継承?」
ハーキムさんが、一歩前に出る。
「男子による王位継承だ。」
「男子?王族の中で王位を継ぐ男子は、いないはずだ。」
ジャラールさんの言葉に、また黒づくめの男達が笑う。
「まあいい。後でその真意が分かるだろう。今はその命、我らが頂く!」
すると、刀を抜いた黒づくめの男達が、一斉にジャラールさんとハーキムさんに襲いかかる。
だけどそこは、やはり王子と側近と言うか。
二人だけで、敵をみるみるうちに倒していく。
「クソッ!」
そう呟いた黒づくめの男の一人が、私を網の中から連れ出した。
「どこに連れて行くのよ‼」
叫んだ時には、私の首には再び短剣が。
「ジャラール王子!これを見ろ!」
敵の一人を倒したジャラールさんが、振り向く。
「クレハ……」
「刀を下ろせ!」
黒づくめの男が怒鳴る。
「ジャラール様!」
戦っているハーキムさんも、この状況を把握したらしい。
「どうした!この女が死んでもいいのか!」
私の背中に嫌な汗が出る。
私を掴む腕の力が強くなる。
「ジャラールさん……」
助けてと言えない。
まだジャラールさんの近くには、何人か黒づくめの男達がいる。
刀を離した途端、その男達にやられてしまうかもしれない。
その時、ハーキムさんから貰った短剣がある事を、思い出した。
苦しい中、腰の辺りを探す。
あった!
私は思いっきり短剣を振り上げ、そのまま黒づくめの男の腹に振り下ろした。
悪いけど、ハーキムさんの寝顔見ても、嬉しくもないじゃない。
私は寝返りを打った。
「クレハは、もう目が覚めたのか?」
ジャラールさんの優しい声。
たまりかねて、ゆっくりと起き上がる。
「何だか眠れなくて。」
「私もだ。」
ジャラールさんと目が合って、お互いに笑い合った。
「怖くなかったか?ハーキムから短剣を渡されて。」
「えっ……」
何で知ってるんだろう。
寝ていたはずなのに。
「悪い。私も眠れずに、ハーキムとの話を聞いてしまった。」
「ああ……」
こんなにも近くで、寝ている。
その上、いつ襲われても分からない状況なんだから、他の人の話も、耳に入ってくるよね。
「正直、怖いです。そんなモノ持った事もないし。」
「そうか……」
「でも、二人の足手まといには、なりたくないんです。」
「クレハ……」
そうよ。
私のせいで、二人が命を落としたり、大事な宝石が奪われたりしたら嫌。
その為には、私も強くならなきゃ。
「クレハ。何かあったら、私とハーキムを頼れ。」
「でも……!」
「いいんだ。クレハは、私達が必ず守る。」
胸がきゅうっとなる。
「ジャラールさんは……」
「ん?」
「どうして、私に優しくしてくれるんですか?」
辺りがシーンとなる。
「どうしてかな。なぜか、クレハを放っておけないんだ。」
くぅ~~
普通だったら、この後二人は付き合うようになるような台詞だよ。
「でも、ジャラールさんには、ネシャートさんがいるでしょ?」
一瞬、ジャラールさんの表情が歪んだ。
「……知っていたのか。」
「ジャラールさんを見ていれば、分かります。」
ジャラールさんは、私を見ながら、無理に微笑んでいた。
「まるで私を好いてくれているような、言い回しだ。」
「えっ……」
「すまない。私の勘違いだ。日本に住んでいたクレハが、私を愛してくれるなど有るわけないのにな。」
ひゃああああ!
むちゃくちゃ好きだよ~~!
もうダメ。
言わずにはいられない。
「ジャラールさん!私……!」
ふと見ると、ハーキムさんが寝たふりをしながら、私を睨んでいる。
怖っ!!
寝るか睨むか、どっちかにして‼
「ああ~~。そう言えば、ネシャートさんって、どんな人ですか?」
「ネシャート?」
「ほら、私会った事もないし。どんな人なのかな~と。」
誤魔化す私。
本当はこんな事知りたくもないのに。
「そうだな。ネシャートは、見てて飽きない。」
はっ?
「美しくて聡明で、花のように香しく、陽射しのように暖かい。なのに時々子供のように好奇心旺盛になって、目が離せない。」
私は、頭を鈍器で殴られたような気がした。
非の打ちようがないじゃん。
「だが、ネシャートと私は、永遠に結ばれる事はない。」
「ジャラールさん?」
「ネシャートは、同じ父を持つ妹だ。将来、同盟を組んでいる別な国から結婚相手を招き入れ、この国の王となる身だ。」
口元は笑っているのに、瞳は寂しそう。
「……ネシャートさんの病気が治らないと、ジャラールさん達の国は滅びてしまうんですね。」
「そうだ。我が母が生まれ育った国も、攻め滅ぼされた。母達一族の為にも、この国を滅ぼしてはいけない。」
ジャラールさんは、右手をぎゅっと握った。
「クレハ。もう少しで碧のオワシスに着く。やっと折り返しだ。」
「はい。がんばります。」
正直、碧のオワシスも知らないし。
宝石を貰える事もないし。
ジャラールさんは、ネシャートさんの事しか考えてないし。
私の得なんて、何一つないけど。
でもジャラールさんには、目的を果たして欲しい。
心からそう思った。
そして、睡眠を取ったハーキムさんが起きて、私達は遂に目的の場所へと向かった。
駱駝を走らせる間、何度も立ち止まって、辺りを見回した二人。
「来てるな。」
「来てますね。」
聞かなくても分かる。
たぶん、宝石を狙っている人達だ。
「ハーキム。」
ジャラールさんが駱駝を、ハーキムさんの駱駝に寄せる。
口をパクパクしている二人。
そして、顔を見合わせて頷いた。
ジャラールさんが離れると、ハーキムさんは突然、私を後ろから抱き寄せた。
「えっ?何?」
「静かにしろ。ジャラール様の言葉だ。」
私は、ハーキムさんを見た。
「前を向け。俺が話している事を悟られるな。」
近くに敵がいる。
震えながら、前を向いた。
「『宝石を手に入れたら、来た道とは別なルートを辿る。時間もかかり、危険も伴うが付いてきて欲しい。』」
私は大きく頷いた。
すると心なしか、私を抱き締めるハーキムさんの腕が強くなった気がした。
「大丈夫だ。俺もいる。」
ドクンっと、心臓が鳴った。
この暖かい感じ。
光清と似ている。
嘘だ。
そんなはずはない。
私はハーキムさんを、そっと見つめた。
ハーキムさんの瞳に、私が映る。
もう少しでキスできそうな距離だ。
「ハーキムさん。」
「クレハ……」
有るわけがない。
私は、再び前を向いた。
「出発だ、ハーキム。」
「はい。」
ジャラールさんのかけ声で、碧のオワシスに近づいていく私達。
でも着いた途端、襲われる?
それても、宝石を取ってから?
着いたからと言って、油断はできない。
ジャラールさんとハーキムさんは、敵を確認しながら、前へ進む。
そして、はるか遠くに突然木々が見えた頃。
ジャラールさんとハーキムさんは、立ち止まった。
「見えた。あれが"碧のオワシス"だ。」
「あれが?」
ベージュ色の砂の世界に、ぽっかり浮かぶ緑の木々と、青い湖。
いつかハーキムさんが言ってた。
周りのオワシスが消えても、ここだけは消えないって。
「行こう。もうすぐだ。」
ジャラールさんが、先陣を切る。
ハーキムさんも、それに続く。
そして、碧のオワシスが手に届くところまで、来た時だ。
私の目の前に、大きな網が広がった。
「ハーキム!クレハ!」
気づいたら、駱駝から落ちていた。
「痛い~!」
お尻を擦りながら、顔を上げるとそこには、黒づくめの男達が。
「クレハ!」
一緒に網に捕まったハーキムさんは、さすが自分で脱出。
「クレハ!今、助ける!」
ジャラールさんも、駱駝を降りた時だ。
私は黒づくめの男達に、捕まった。
「大人しくしろ!ジャラール王子。」
「その言い方は、我が国の者か!」
「いかにも。」
そして私の首に、短剣を当てる。
もしかして私、このまま殺される!?
助けて‼
ジャラールさん!ハーキムさん!
「クレハを離せ!」
後ろからハーキムさんが、短剣で攻撃。
お陰で私の首からは、短剣が離れた。
そして一人、頭から黒いマントが外れた。
「お前は‼」
ハーキムさんが、相手の顔をマジマジと見た。
「ジャラール様。この者は、ザーヒルの手下です。」
「ザーヒル!?」
ジャラールさんも、驚いていた。
ザーヒルって、誰よ。
「現王の忠信、ザーヒルの手下とは。ザーヒルはこの事を、知っているのか?」
「黙れ!!」
捕まった途端、その黒づくめの男は、豹変した。
「代々この国は、男性の王で守られてきた。ネシャートのような女に、この国を任せられるものか!」
すると、他の黒づくめの男達も、短剣を手にする。
「ジャラール様。どうやら、ザーヒルとは関係なく女王が生まれる事への反逆者達のようです。」
「女王への……反逆者?……」
ジャラールさんは、刀へ手をかけたまま、止まってしまった。
「ネシャート王女の王位継承を、誰しもが望んでいると思っていたか。」
黒づくめの男達は、薄気味悪い笑いを浮かべていた。
「幸いネシャート王女は、病に臥せっている。ジャラール王子達が、宝石を持ち帰らなければ、王女は王位を継ぐどころか、病死だ。そうすれば正当な王位継承が行われる。」
「正当な王位継承?」
ハーキムさんが、一歩前に出る。
「男子による王位継承だ。」
「男子?王族の中で王位を継ぐ男子は、いないはずだ。」
ジャラールさんの言葉に、また黒づくめの男達が笑う。
「まあいい。後でその真意が分かるだろう。今はその命、我らが頂く!」
すると、刀を抜いた黒づくめの男達が、一斉にジャラールさんとハーキムさんに襲いかかる。
だけどそこは、やはり王子と側近と言うか。
二人だけで、敵をみるみるうちに倒していく。
「クソッ!」
そう呟いた黒づくめの男の一人が、私を網の中から連れ出した。
「どこに連れて行くのよ‼」
叫んだ時には、私の首には再び短剣が。
「ジャラール王子!これを見ろ!」
敵の一人を倒したジャラールさんが、振り向く。
「クレハ……」
「刀を下ろせ!」
黒づくめの男が怒鳴る。
「ジャラール様!」
戦っているハーキムさんも、この状況を把握したらしい。
「どうした!この女が死んでもいいのか!」
私の背中に嫌な汗が出る。
私を掴む腕の力が強くなる。
「ジャラールさん……」
助けてと言えない。
まだジャラールさんの近くには、何人か黒づくめの男達がいる。
刀を離した途端、その男達にやられてしまうかもしれない。
その時、ハーキムさんから貰った短剣がある事を、思い出した。
苦しい中、腰の辺りを探す。
あった!
私は思いっきり短剣を振り上げ、そのまま黒づくめの男の腹に振り下ろした。
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