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きらびやかな宮殿
④
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私はゆっくりと、その場に座り込んだ。
ひどいよ。
私、こんなに辛い恋なんてした事ない。
「クレハ……」
ジュースを持って来てくれたジャラールさんは、ソファーに座らずに、私の横に腰を降ろした。
黙ってグラスに、ジュースを注いでくれる。
「ジャラールさん。」
「ん?」
「私、ジャラールさんの事が好き。」
「そうか。」
「でも、ネシャートさんを愛しているジャラールさんは嫌い。」
自然に涙が流れた。
これじゃあハーキムさんに、またジャラールさんを思って泣いているって、言われちゃう。
「そうか。俺がネシャートを愛している事を、クレハは知っているのか。」
はっきりと言葉に出されると、もっと切なくなる。
「だけどネシャートは、妹だ。それ以上は愛せない。それでもクレハの気持ちは、変わらぬか?」
ジャラールさんはずるい。
はっきり言ってくれれば、気持ちが楽になるのに。
俺はネシャートを一生愛し続けるけど、
側にいたいんだったら、勝手にいれば?
って。
そんな事思ったら、滅茶苦茶悲しくなってきた。
「ううっ……」
なんで人を好きになるって、こんなに辛いんだろう。
「うえっ……」
なんでジャラールさんを好きになっちゃったんだろう。
「う、うわああっ!」
なんで私、ここに来ちゃったんだろう………
ん?
何で?
なんでここに来た?
「あっ!」
「どうした?クレハ。」
「私、ジャラールさんに言わなきゃいけない事があるんだ!」
急に泣き止んだ私に、ジャラールさんはタジタジ。
「ジャラールさん!実は私、碧のオアシスの妖精に会ったんです!」
「妖精に?」
ジャラールさんが私の肩を掴む。
「私、言われたんです。この国はもうあの宝石がなくてもやっていけるって。」
「えっ……宝石がいらない?だがネシャートは、あの妖精の力で……」
「それも!妖精のせいじゃないって。もっとネシャートさんの近くに原因があるって!」
「ネシャートの……近くに?……」
ジャラールさんはフラッと立ち上がると、ソファーに勢いよく体を放り投げた。
「ネシャートの周りに原因があるなんて、信じられない。」
「ジャラールさん?」
「ネシャートの近くは、俺なんかよりも厳重に警備がはいっているはず。もちろん侍女達も両家の子女ばかりだ。未来の女王を脅かす存在等有り得るわけない。」
「えっ……」
するとジャラールさんは、私を鋭い目で見てきた。
怖い。
もしかしたら、私を疑っている?
「あ、あの……」
どうしよう。
もしかしたら、私、ここで捕まってしまう?
ジリジリと迫るジャラールさんの迫力に、背筋が凍る。
「クレハ……」
名前を呼ばれ、後ろへ後退りした。
「よく教えてくれた。感謝する。」
そこにはいつもと変わらない、ジャラールさんの笑顔があった。
「えっ?」
「正直、クレハから預かったペンダントをネシャートに渡しても、彼女の病はよくならなかったんだ。」
あのペンダントを渡した?
ネシャートさんに?
すると座っている床から、カシャンと言う音がした。
「これ……」
「あのペンダント……」
「キャアアッ!」
私は恐ろしくなって、そのペンダントを投げ飛ばした。
「クレハ?」
慌ててジャラールさんが、ペンダントを拾いに行く。
「どうしてそれが、ここにあるの!?」
「どういうことだ?」
ジャラールさんが、ペンダントを持って来る。
「だって私、この服に着替えた時に、そのペンダント入れてない‼」
怯える私を他所に、ジャラールさんはペンダントをじっと見つめる。
「そうか……クレハを新しい主人に迎えたのだな。」
そう言うと、ジャラールさんはペンダントを、私に差し出した。
「い、いらない。」
「いや。これはクレハが持つべきモノだ。」
でも私は、首を横に振る。
「クレハ。聞いてくれ。」
私はそれにも、首を横に振る。
「このペンダントは、持ち物と一心同体。持った覚えもないのに、勝手についてくるモノなのだ。」
「えっ?」
私はペンダントについている宝石を、そっと見つめる。
妖しく光る碧色。
何だか勝手についてくると言われても、納得するかもしれない。
「母達一族は、この宝石に守られていた。長は、代が代わるとこの宝石を取りに行き、認められ宝石が勝手についてくるようになって初めて"長"だと認められたのだ。」
「そんな!この石が?」
「逆に宝石に認められない"長"は、その椅子から引きずり降ろされた。」
人の一生も決めてしまう宝石が、今、目の前にあるなんて!!
「そうだとしたら、この宝石が認めたのはクレハ、君だ。俺ではない。もう一度言う。この宝石は、クレハが持つべきだ。」
「ジャラールさん。」
私はジャラールさんから、ペンダントを受け取った。
「私が持っていて、いいの?」
「ああ。だって、妖精はこの国に、宝石はいらないと言ったのだろう?」
私は顔を上げた。
そこには、吸い込まれそうな瞳をしたジャラールさんがいる。
「それにしても、俺が一族の長ではなくてよかった。」
「えっ?」
「宝石は俺ではなく、クレハに付いていくなら、とっくに一族の椅子を引きずり降ろされていた。」
「私に?」
「ああ。」
こんなに美少年の強い長がいるのに、異世界から来た訳の分からない女子高生に、玉座をおわれる。
そんな冗談にならない冗談に、私達は可笑しくなる。
「ハハハッ!可笑しい!」
「ハハハッ!」
目を細目ながら笑うジャラールさんは、やっぱり素敵な人だ。
「やっと泣き止んだな。」
ジャラールさんの温かい手が、私の頭を撫でてくれる。
「大声で泣き始めた時には、どうしようかと思った。」
そして、さっきまでのワンワン泣きじゃくっていた自分を思い出して、顔から火が出そうになるくらい恥ずかしくなる。
きっとジャラールさんの恋愛の相手は、私みたいに子供じゃなくて、素敵な大人だったんだなと思う。
そりゃあ、困るよね。
自分を好きになってくれなきゃいやだああって、目の前で泣かれたら。
「ごめんなさい。もう大丈夫です。」
とりあえず頭を下げる。
こんな子供のお守りみたいな事してくれたんだもん。
謝るのは当然だよね。
「いや。やっぱりクレハは、面白い女だよ。」
ジャラールさんのそんな優しさが、余計に私を恥ずかしくさせる。
「じゃあ、クレハが大丈夫になったところで、俺は行くか。」
そう言うと、ジャラールさんは突然立ち上がった。
「ジャラールさん?」
立ち上がった時には、精悍な顔つきをしていたジャラールさんは、私を見る時はにっこり笑顔。
「なあに、せっかくクレハがここまでしてくれて、俺に大事な事を伝えてくれたんだ。これを生かせなかったら、クレハに申し訳ない。」
するとジャラールさんは、足音も立てずに扉へ向かう。
「クレハ。俺は今からハーキムのところへ行って、今後の作戦を練る。」
「えっ?ハーキムさんのところへ?」
突然過ぎる発言。
「クレハは、隣にいる俺のベッドで寝ているといい。」
そして、扉の外へ行ってしまった。
「待って!」
慌ててジャラールさんの元へ駆け寄る。
「私も行く!」
「クレハも!?」
「わ、私を寝せないで!!」
思わず叫んだ言葉に、ジャラールさんは口を開けて、ぽかんとしている。
「えっ?」
私、なんか変な事言ったかな。
「クレハ……今、自分が何を言っているのか、分かるのか?」
あのジャラールさんが、扇情的な眼差しで、私の顔を覗く。
「寝せないでって……」
途中まで言って、ジャラールさんの唇が、だんだん近づいてくる。
「違う!私、寝ると現実の世界に戻ってしまうの!」
もう少しで唇が重なると言うところで、ジャラールさんは止まった。
「現実の世界に戻る?」
私はゴクンと息を飲むと、ジャラールさんにここに来た経緯を話した。
「……今回のジャラールさん達の旅の話、私の世界では一冊の本になっていたの。」
「本?」
「私の学校の図書室に置いてあった。ジャラールさん達の言葉で書かれていて、私は読めなかったけれど。」
ジャラールさんは、うまく状況が飲み込めず、ポカンとしている。
「私は、現実の世界で眠っている時に、こっちの世界へ。こっちで寝ている時には、現実の世界にいるの。」
「えっ?……」
そりゃあ、そんな事言われたって、すぐに信じられないよね。
ひどいよ。
私、こんなに辛い恋なんてした事ない。
「クレハ……」
ジュースを持って来てくれたジャラールさんは、ソファーに座らずに、私の横に腰を降ろした。
黙ってグラスに、ジュースを注いでくれる。
「ジャラールさん。」
「ん?」
「私、ジャラールさんの事が好き。」
「そうか。」
「でも、ネシャートさんを愛しているジャラールさんは嫌い。」
自然に涙が流れた。
これじゃあハーキムさんに、またジャラールさんを思って泣いているって、言われちゃう。
「そうか。俺がネシャートを愛している事を、クレハは知っているのか。」
はっきりと言葉に出されると、もっと切なくなる。
「だけどネシャートは、妹だ。それ以上は愛せない。それでもクレハの気持ちは、変わらぬか?」
ジャラールさんはずるい。
はっきり言ってくれれば、気持ちが楽になるのに。
俺はネシャートを一生愛し続けるけど、
側にいたいんだったら、勝手にいれば?
って。
そんな事思ったら、滅茶苦茶悲しくなってきた。
「ううっ……」
なんで人を好きになるって、こんなに辛いんだろう。
「うえっ……」
なんでジャラールさんを好きになっちゃったんだろう。
「う、うわああっ!」
なんで私、ここに来ちゃったんだろう………
ん?
何で?
なんでここに来た?
「あっ!」
「どうした?クレハ。」
「私、ジャラールさんに言わなきゃいけない事があるんだ!」
急に泣き止んだ私に、ジャラールさんはタジタジ。
「ジャラールさん!実は私、碧のオアシスの妖精に会ったんです!」
「妖精に?」
ジャラールさんが私の肩を掴む。
「私、言われたんです。この国はもうあの宝石がなくてもやっていけるって。」
「えっ……宝石がいらない?だがネシャートは、あの妖精の力で……」
「それも!妖精のせいじゃないって。もっとネシャートさんの近くに原因があるって!」
「ネシャートの……近くに?……」
ジャラールさんはフラッと立ち上がると、ソファーに勢いよく体を放り投げた。
「ネシャートの周りに原因があるなんて、信じられない。」
「ジャラールさん?」
「ネシャートの近くは、俺なんかよりも厳重に警備がはいっているはず。もちろん侍女達も両家の子女ばかりだ。未来の女王を脅かす存在等有り得るわけない。」
「えっ……」
するとジャラールさんは、私を鋭い目で見てきた。
怖い。
もしかしたら、私を疑っている?
「あ、あの……」
どうしよう。
もしかしたら、私、ここで捕まってしまう?
ジリジリと迫るジャラールさんの迫力に、背筋が凍る。
「クレハ……」
名前を呼ばれ、後ろへ後退りした。
「よく教えてくれた。感謝する。」
そこにはいつもと変わらない、ジャラールさんの笑顔があった。
「えっ?」
「正直、クレハから預かったペンダントをネシャートに渡しても、彼女の病はよくならなかったんだ。」
あのペンダントを渡した?
ネシャートさんに?
すると座っている床から、カシャンと言う音がした。
「これ……」
「あのペンダント……」
「キャアアッ!」
私は恐ろしくなって、そのペンダントを投げ飛ばした。
「クレハ?」
慌ててジャラールさんが、ペンダントを拾いに行く。
「どうしてそれが、ここにあるの!?」
「どういうことだ?」
ジャラールさんが、ペンダントを持って来る。
「だって私、この服に着替えた時に、そのペンダント入れてない‼」
怯える私を他所に、ジャラールさんはペンダントをじっと見つめる。
「そうか……クレハを新しい主人に迎えたのだな。」
そう言うと、ジャラールさんはペンダントを、私に差し出した。
「い、いらない。」
「いや。これはクレハが持つべきモノだ。」
でも私は、首を横に振る。
「クレハ。聞いてくれ。」
私はそれにも、首を横に振る。
「このペンダントは、持ち物と一心同体。持った覚えもないのに、勝手についてくるモノなのだ。」
「えっ?」
私はペンダントについている宝石を、そっと見つめる。
妖しく光る碧色。
何だか勝手についてくると言われても、納得するかもしれない。
「母達一族は、この宝石に守られていた。長は、代が代わるとこの宝石を取りに行き、認められ宝石が勝手についてくるようになって初めて"長"だと認められたのだ。」
「そんな!この石が?」
「逆に宝石に認められない"長"は、その椅子から引きずり降ろされた。」
人の一生も決めてしまう宝石が、今、目の前にあるなんて!!
「そうだとしたら、この宝石が認めたのはクレハ、君だ。俺ではない。もう一度言う。この宝石は、クレハが持つべきだ。」
「ジャラールさん。」
私はジャラールさんから、ペンダントを受け取った。
「私が持っていて、いいの?」
「ああ。だって、妖精はこの国に、宝石はいらないと言ったのだろう?」
私は顔を上げた。
そこには、吸い込まれそうな瞳をしたジャラールさんがいる。
「それにしても、俺が一族の長ではなくてよかった。」
「えっ?」
「宝石は俺ではなく、クレハに付いていくなら、とっくに一族の椅子を引きずり降ろされていた。」
「私に?」
「ああ。」
こんなに美少年の強い長がいるのに、異世界から来た訳の分からない女子高生に、玉座をおわれる。
そんな冗談にならない冗談に、私達は可笑しくなる。
「ハハハッ!可笑しい!」
「ハハハッ!」
目を細目ながら笑うジャラールさんは、やっぱり素敵な人だ。
「やっと泣き止んだな。」
ジャラールさんの温かい手が、私の頭を撫でてくれる。
「大声で泣き始めた時には、どうしようかと思った。」
そして、さっきまでのワンワン泣きじゃくっていた自分を思い出して、顔から火が出そうになるくらい恥ずかしくなる。
きっとジャラールさんの恋愛の相手は、私みたいに子供じゃなくて、素敵な大人だったんだなと思う。
そりゃあ、困るよね。
自分を好きになってくれなきゃいやだああって、目の前で泣かれたら。
「ごめんなさい。もう大丈夫です。」
とりあえず頭を下げる。
こんな子供のお守りみたいな事してくれたんだもん。
謝るのは当然だよね。
「いや。やっぱりクレハは、面白い女だよ。」
ジャラールさんのそんな優しさが、余計に私を恥ずかしくさせる。
「じゃあ、クレハが大丈夫になったところで、俺は行くか。」
そう言うと、ジャラールさんは突然立ち上がった。
「ジャラールさん?」
立ち上がった時には、精悍な顔つきをしていたジャラールさんは、私を見る時はにっこり笑顔。
「なあに、せっかくクレハがここまでしてくれて、俺に大事な事を伝えてくれたんだ。これを生かせなかったら、クレハに申し訳ない。」
するとジャラールさんは、足音も立てずに扉へ向かう。
「クレハ。俺は今からハーキムのところへ行って、今後の作戦を練る。」
「えっ?ハーキムさんのところへ?」
突然過ぎる発言。
「クレハは、隣にいる俺のベッドで寝ているといい。」
そして、扉の外へ行ってしまった。
「待って!」
慌ててジャラールさんの元へ駆け寄る。
「私も行く!」
「クレハも!?」
「わ、私を寝せないで!!」
思わず叫んだ言葉に、ジャラールさんは口を開けて、ぽかんとしている。
「えっ?」
私、なんか変な事言ったかな。
「クレハ……今、自分が何を言っているのか、分かるのか?」
あのジャラールさんが、扇情的な眼差しで、私の顔を覗く。
「寝せないでって……」
途中まで言って、ジャラールさんの唇が、だんだん近づいてくる。
「違う!私、寝ると現実の世界に戻ってしまうの!」
もう少しで唇が重なると言うところで、ジャラールさんは止まった。
「現実の世界に戻る?」
私はゴクンと息を飲むと、ジャラールさんにここに来た経緯を話した。
「……今回のジャラールさん達の旅の話、私の世界では一冊の本になっていたの。」
「本?」
「私の学校の図書室に置いてあった。ジャラールさん達の言葉で書かれていて、私は読めなかったけれど。」
ジャラールさんは、うまく状況が飲み込めず、ポカンとしている。
「私は、現実の世界で眠っている時に、こっちの世界へ。こっちで寝ている時には、現実の世界にいるの。」
「えっ?……」
そりゃあ、そんな事言われたって、すぐに信じられないよね。
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