27 / 32
黒幕の黒幕
⑤
しおりを挟む
「……いつまでここに?」
「分からん。なぜ連れて来られたのも分からないのに、いつまでいるかなんて、分かるわけないじゃろう。」
私はこの老夫婦が、憐れに思えた。
おばあさんなんて、ボーッとしながら前だけを見ている。
「食事はちゃんと出るんですか?」
その問いには、おじいさんが答えた。
「一日2食出る。年寄りには調度の量じゃよ。」
そう言うけれど、老夫婦は痩せ細っているように見えた。
おばあさん、可哀想に。
じーっと見つめていたら、おばあさんと目があった。
おばあさんの目の色が変わる。
スイッチが入ったように、急に動き始める。
「ラナー……」
「えっ?」
今、確かにラナーと言った?
「ラナー。よく来てくれたね。」
「ばあさん。」
見かねたおじいさんが、おばあさんを止める。
「じいさんもご覧なさいよ。私達の娘が来たよ。」
「ばあさん。この娘はラナーじゃない。」
間違いなくこの二人は、ラナーと言っている。
「あのっ!」
老夫婦に話しかけた時だ。
後ろが騒がしくなり、番人の姿が見えた。
「おじいさん。」
私はできるだけ鉄格子に近づく。
「私はラナーを知っています。」
「えっ?まさか……」
「ラナーの友人です。また来ます。」
私はそう言い残して、二人の元を離れた。
何かある。
ラナーにはネシャートさんの命を狙わなければならない理由がある。
それはあの老夫婦が、鍵を握っているのだと思う。
隠し階段を登りきって、廊下に出た。
気づけば、朝日が登っている。
ときわや光清は、どうしているんだろう。
そんな事を考えたら、急に眠けが襲いかかった。
「おい、クレハ!」
私を支えてくれる人がいた。
ボーッとして、顔がよく見えない。
「光清?」
あれ?
私、元の世界に戻った?
「誰がミツキヨだ?」
珍しい声がする。
よ~く顔を見ると、昨日の夜、見た顔。
「ハーキムさん!」
「なんだ?寝ぼけてたのか?」
意地悪を言うハーキムさんに、ある事を気づく。
「ハーキムさん。なんでここに?」
「今朝、地下牢を出られたんだよ。嫌な事を思い出させるな。」
少したじろぐ私に、ハーキムさんも少し不機嫌?
「そう言えばハーキムさん。」
「ん?」
私は、ハーキムさんを壁の隅に、呼び寄せた。
「夜に気になるモノを見たの。」
ハーキムさんは、ハッとすると私の肩をぐっと掴んだ。
「何を見た?」
「あの……」
私はゴクンと、息を飲んだ。
「地下牢で、ラナーのご両親らしき人を見たの。」
「ラナーの?」
ハーキムさんは、驚いてそれ以上、声が出ない。
「理由も聞かされず、連れて来られたんだって。食事は一日2食出るみたいだけど、老夫婦にはきついかも。」
「えっ?何だって?」
ハーキムさんが、耳に手を添えた。
「だからお年寄りには、きついかなって!」
熱弁の私に呆れたのか、ハーキムさんは私から離れた。
「クレハ。聞き違いじゃないか?」
「えっ‼」
あんなにラナーラナー言ってたのに?
「ラナーの両親はまだ、年寄りじゃない。そうだな。ザーヒルと同じくらいだ。」
「ウソっ!」
全く年代が違うじゃん!
「年寄りの言う事だ。本気にするな。」
「う、うん……」
なんだ。
あの老夫婦がラナーを救ってくれると思ったのに。
違う人達だったなんて。
「お~い!今から罪人判定がでるぞ‼」
そう言いながら、宮殿の中の護衛以外の人達が、どこかへ走っていく。
「何?何が始まるの?」
「罪人判定だ。牢屋に入っている人間が、罪人にあたるのか審議するのだ。」
「うわ~それって、罪人だってなったら、近いうちに殺されるんでしょう?」
言って鳥肌が立った。
そして、ハッとする。
「牢屋に入れられてる人?もしかしてラナー?」
ハーキムさんは冷静に頷く。
「ええ?それ私も行けるの?」
「ああ。罪人判定は大広間で行う。誰でも入れる。」
「じゃあ、ハーキムさんも一緒に行こう。」
私はハーキムさんの腕を掴んだ。
「先に行ってくれ。俺は寄る場所がある。」
「分かった。」
ハーキムさんの腕を離して、大広間に向かう人達の群れに混ざる。
ラナー。
待っててね。
これでお別れなんて、私、嫌だよ。
必死に走って、大広間に着いた。
「ごめんなさい。」
人を掻き分け、一番前に出た。
そこには既に、ラナーが膝まずきながら、座っていた。
大広間の一番高い場所には、王様がいた。
あれが、ジャラールさんとネシャートさんのお父さん。
まだ若い。
現役バリバリじゃん。
ジャラールさん、いくつの時の子供なんだろう。
そんな事を考えていると、王様の側に正装したネシャートさんを発見。
う、美しい!
この世の者とは思えないぐらい美しい!!
そしてネシャートさんの側には、またジャラールさんが。
これまた正装で立っている。
カッコいい!!!!
あまりにも王子様のイメージ通りで、クラクラする。
「おねえちゃん、大丈夫か?」
見かねて隣のおじさんが、私を背中から支えてくれた。
「ハハハ!すみません……」
おじさんに頭を下げて、あの二人をまた見る。
王子様と王女様。
そんな呼び名がしっくりくるほど、ジャラールさんもネシャートさんも、神々しい。
あんなに気安く話していたなんて、信じられない。
まるで別な世界の人みたい。
しばらくすると、役人らしき人がラナーに近づいた。
「ネシャート王女付の侍女、ラナーよ。そなたがネシャート王女の飲み物に、毒を入れた。間違いはないな。」
「はい。間違いはありません。」
ラナーはうろたえるでもなく、はっきりとした口調で答えた。
「ネシャート王女の命を狙ったのか?」
「……はい。そうです。」
ラナーの答えに、周りがざわつく。
「なんてこった。王女付の侍女が王女を殺そうとするなんて。世も末だな。」
おじさんが話しかけてきた。
「ラナーはそんな人じゃない。」
「なんだよ。おねえちゃん、あの子知ってるの?」
「うん。」
私は両手を合わせて握った。
「なぜ命を狙った。」
王様直々の質問だ。
「そなたは幼い頃よりこの宮殿で暮らしていた。王女に毒を盛っても、多少の毒では死なない事も、王女の命をを狙えば己の身がどのようになるかは、分かっていたはずだ。」
「はい。」
「分かっていて、なぜ毒を盛り命を狙った。」
「それは……」
私の手にも力が入る。
「それは……私がジャラール王子に、好意を寄せていたからです。」
そしてまた周りがざわつき始める。
「王女の近くで、いつもジャラール王子をお慕いしておりました。ですがジャラール王子は王女にお仕えする限り私には振り向いてくれません。ですから王女がいなければと考えました。」
「なるほど。」
ざわつく周りに比べて、王様もジャラールさんもネシャートさんも、全く動じる気配がない。
なぜ?
ラナーがジャラールさんを好きだなんて。
そんなのウソに決まってる!
「ジャラールはこの事を知っていたのか?」
王様に尋ねられても、ジャラールさんは、王様とラナーの顔を交互に見るばかり。
それもそのはず。
知っていた、知らなかった。
どちらの答えを出しても、ラナーは救えない。
「どうした?ジャラール。知っていてこの者の反逆を助長したのか?それとも知らずに、この者が勝手な思い込みで行ったのか?」
「それは……」
ジャラールさん、困っている。
もしジャラールさんが"知っていた"と言ったら、ラナーと一緒に処罰する気なの!?
もう!放っておけない!
「待って下さい!」
私はラナーの近くに走った。
「控えろ!王の前だぞ!」
あっと言う間に、護衛達に捕まる。
「待って下さい!ラナーがジャラール王子を好きだなんてウソです!ラナーは!婚約者のハーキムさんを好きなんです!」
すると、ジャラールさんが、助けに来てくれた。
「我が王よ。この者は私の側にいる者です。勝手に王の前に出てきた事、お許しください。」
「いいだろう。許そう。」
王様の一言で、護衛の人達は、私から離れていく。
「クレハ!」
「ジャラールさん!」
するとジャラールさんは、私の肩を急に掴んだ。
「クレハ。早くこの場を立ち去るんだ。」
「えっ?」
いつものジャラールさんと違う。
「ここは王の前だ。王族以外の者が、許しもなくここに来てはいけない。」
その冷徹な目に、体が震える。
私、そんなに大それた事をしてしまったの?
「ごめんなさい。どうしてもラナーを助けたくて。」
「分かっている。」
そう言って、ジャンルさんは私をきつく抱き締めてくれた。
体の震えが止まる。
この人に愛されない事は知っているのに、どうしてもジャラールさんが欲しくなる。
ネシャートさん、ごめんなさい。
私も実はジャラールさんが、好きなんです。
今だけ。
今だけ、ジャラールさんを抱き締める事を許して。
私はジャラールさんの背中に、両腕を回して目を閉じた。
「クレハ?」
私を抱き締めてくれているはずのジャラールさんが、驚いている。
「ジャラールさん。もうこんな事ないと思うから、今のうちに言っておくね。」
「何を言ってくれるんだ?俺の可愛いお姫様は。」
「ふふふ。」
お姫様って。
さすがジャラールさん。
女の子が喜ぶツボ、抑えている。
「私、ジャラールさんの事、好きだった。」
「クレハ……」
「こんな気持ちをくれて、有難う。」
「分からん。なぜ連れて来られたのも分からないのに、いつまでいるかなんて、分かるわけないじゃろう。」
私はこの老夫婦が、憐れに思えた。
おばあさんなんて、ボーッとしながら前だけを見ている。
「食事はちゃんと出るんですか?」
その問いには、おじいさんが答えた。
「一日2食出る。年寄りには調度の量じゃよ。」
そう言うけれど、老夫婦は痩せ細っているように見えた。
おばあさん、可哀想に。
じーっと見つめていたら、おばあさんと目があった。
おばあさんの目の色が変わる。
スイッチが入ったように、急に動き始める。
「ラナー……」
「えっ?」
今、確かにラナーと言った?
「ラナー。よく来てくれたね。」
「ばあさん。」
見かねたおじいさんが、おばあさんを止める。
「じいさんもご覧なさいよ。私達の娘が来たよ。」
「ばあさん。この娘はラナーじゃない。」
間違いなくこの二人は、ラナーと言っている。
「あのっ!」
老夫婦に話しかけた時だ。
後ろが騒がしくなり、番人の姿が見えた。
「おじいさん。」
私はできるだけ鉄格子に近づく。
「私はラナーを知っています。」
「えっ?まさか……」
「ラナーの友人です。また来ます。」
私はそう言い残して、二人の元を離れた。
何かある。
ラナーにはネシャートさんの命を狙わなければならない理由がある。
それはあの老夫婦が、鍵を握っているのだと思う。
隠し階段を登りきって、廊下に出た。
気づけば、朝日が登っている。
ときわや光清は、どうしているんだろう。
そんな事を考えたら、急に眠けが襲いかかった。
「おい、クレハ!」
私を支えてくれる人がいた。
ボーッとして、顔がよく見えない。
「光清?」
あれ?
私、元の世界に戻った?
「誰がミツキヨだ?」
珍しい声がする。
よ~く顔を見ると、昨日の夜、見た顔。
「ハーキムさん!」
「なんだ?寝ぼけてたのか?」
意地悪を言うハーキムさんに、ある事を気づく。
「ハーキムさん。なんでここに?」
「今朝、地下牢を出られたんだよ。嫌な事を思い出させるな。」
少したじろぐ私に、ハーキムさんも少し不機嫌?
「そう言えばハーキムさん。」
「ん?」
私は、ハーキムさんを壁の隅に、呼び寄せた。
「夜に気になるモノを見たの。」
ハーキムさんは、ハッとすると私の肩をぐっと掴んだ。
「何を見た?」
「あの……」
私はゴクンと、息を飲んだ。
「地下牢で、ラナーのご両親らしき人を見たの。」
「ラナーの?」
ハーキムさんは、驚いてそれ以上、声が出ない。
「理由も聞かされず、連れて来られたんだって。食事は一日2食出るみたいだけど、老夫婦にはきついかも。」
「えっ?何だって?」
ハーキムさんが、耳に手を添えた。
「だからお年寄りには、きついかなって!」
熱弁の私に呆れたのか、ハーキムさんは私から離れた。
「クレハ。聞き違いじゃないか?」
「えっ‼」
あんなにラナーラナー言ってたのに?
「ラナーの両親はまだ、年寄りじゃない。そうだな。ザーヒルと同じくらいだ。」
「ウソっ!」
全く年代が違うじゃん!
「年寄りの言う事だ。本気にするな。」
「う、うん……」
なんだ。
あの老夫婦がラナーを救ってくれると思ったのに。
違う人達だったなんて。
「お~い!今から罪人判定がでるぞ‼」
そう言いながら、宮殿の中の護衛以外の人達が、どこかへ走っていく。
「何?何が始まるの?」
「罪人判定だ。牢屋に入っている人間が、罪人にあたるのか審議するのだ。」
「うわ~それって、罪人だってなったら、近いうちに殺されるんでしょう?」
言って鳥肌が立った。
そして、ハッとする。
「牢屋に入れられてる人?もしかしてラナー?」
ハーキムさんは冷静に頷く。
「ええ?それ私も行けるの?」
「ああ。罪人判定は大広間で行う。誰でも入れる。」
「じゃあ、ハーキムさんも一緒に行こう。」
私はハーキムさんの腕を掴んだ。
「先に行ってくれ。俺は寄る場所がある。」
「分かった。」
ハーキムさんの腕を離して、大広間に向かう人達の群れに混ざる。
ラナー。
待っててね。
これでお別れなんて、私、嫌だよ。
必死に走って、大広間に着いた。
「ごめんなさい。」
人を掻き分け、一番前に出た。
そこには既に、ラナーが膝まずきながら、座っていた。
大広間の一番高い場所には、王様がいた。
あれが、ジャラールさんとネシャートさんのお父さん。
まだ若い。
現役バリバリじゃん。
ジャラールさん、いくつの時の子供なんだろう。
そんな事を考えていると、王様の側に正装したネシャートさんを発見。
う、美しい!
この世の者とは思えないぐらい美しい!!
そしてネシャートさんの側には、またジャラールさんが。
これまた正装で立っている。
カッコいい!!!!
あまりにも王子様のイメージ通りで、クラクラする。
「おねえちゃん、大丈夫か?」
見かねて隣のおじさんが、私を背中から支えてくれた。
「ハハハ!すみません……」
おじさんに頭を下げて、あの二人をまた見る。
王子様と王女様。
そんな呼び名がしっくりくるほど、ジャラールさんもネシャートさんも、神々しい。
あんなに気安く話していたなんて、信じられない。
まるで別な世界の人みたい。
しばらくすると、役人らしき人がラナーに近づいた。
「ネシャート王女付の侍女、ラナーよ。そなたがネシャート王女の飲み物に、毒を入れた。間違いはないな。」
「はい。間違いはありません。」
ラナーはうろたえるでもなく、はっきりとした口調で答えた。
「ネシャート王女の命を狙ったのか?」
「……はい。そうです。」
ラナーの答えに、周りがざわつく。
「なんてこった。王女付の侍女が王女を殺そうとするなんて。世も末だな。」
おじさんが話しかけてきた。
「ラナーはそんな人じゃない。」
「なんだよ。おねえちゃん、あの子知ってるの?」
「うん。」
私は両手を合わせて握った。
「なぜ命を狙った。」
王様直々の質問だ。
「そなたは幼い頃よりこの宮殿で暮らしていた。王女に毒を盛っても、多少の毒では死なない事も、王女の命をを狙えば己の身がどのようになるかは、分かっていたはずだ。」
「はい。」
「分かっていて、なぜ毒を盛り命を狙った。」
「それは……」
私の手にも力が入る。
「それは……私がジャラール王子に、好意を寄せていたからです。」
そしてまた周りがざわつき始める。
「王女の近くで、いつもジャラール王子をお慕いしておりました。ですがジャラール王子は王女にお仕えする限り私には振り向いてくれません。ですから王女がいなければと考えました。」
「なるほど。」
ざわつく周りに比べて、王様もジャラールさんもネシャートさんも、全く動じる気配がない。
なぜ?
ラナーがジャラールさんを好きだなんて。
そんなのウソに決まってる!
「ジャラールはこの事を知っていたのか?」
王様に尋ねられても、ジャラールさんは、王様とラナーの顔を交互に見るばかり。
それもそのはず。
知っていた、知らなかった。
どちらの答えを出しても、ラナーは救えない。
「どうした?ジャラール。知っていてこの者の反逆を助長したのか?それとも知らずに、この者が勝手な思い込みで行ったのか?」
「それは……」
ジャラールさん、困っている。
もしジャラールさんが"知っていた"と言ったら、ラナーと一緒に処罰する気なの!?
もう!放っておけない!
「待って下さい!」
私はラナーの近くに走った。
「控えろ!王の前だぞ!」
あっと言う間に、護衛達に捕まる。
「待って下さい!ラナーがジャラール王子を好きだなんてウソです!ラナーは!婚約者のハーキムさんを好きなんです!」
すると、ジャラールさんが、助けに来てくれた。
「我が王よ。この者は私の側にいる者です。勝手に王の前に出てきた事、お許しください。」
「いいだろう。許そう。」
王様の一言で、護衛の人達は、私から離れていく。
「クレハ!」
「ジャラールさん!」
するとジャラールさんは、私の肩を急に掴んだ。
「クレハ。早くこの場を立ち去るんだ。」
「えっ?」
いつものジャラールさんと違う。
「ここは王の前だ。王族以外の者が、許しもなくここに来てはいけない。」
その冷徹な目に、体が震える。
私、そんなに大それた事をしてしまったの?
「ごめんなさい。どうしてもラナーを助けたくて。」
「分かっている。」
そう言って、ジャンルさんは私をきつく抱き締めてくれた。
体の震えが止まる。
この人に愛されない事は知っているのに、どうしてもジャラールさんが欲しくなる。
ネシャートさん、ごめんなさい。
私も実はジャラールさんが、好きなんです。
今だけ。
今だけ、ジャラールさんを抱き締める事を許して。
私はジャラールさんの背中に、両腕を回して目を閉じた。
「クレハ?」
私を抱き締めてくれているはずのジャラールさんが、驚いている。
「ジャラールさん。もうこんな事ないと思うから、今のうちに言っておくね。」
「何を言ってくれるんだ?俺の可愛いお姫様は。」
「ふふふ。」
お姫様って。
さすがジャラールさん。
女の子が喜ぶツボ、抑えている。
「私、ジャラールさんの事、好きだった。」
「クレハ……」
「こんな気持ちをくれて、有難う。」
1
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】悪役令嬢は婚約破棄されたら自由になりました
きゅちゃん
ファンタジー
王子に婚約破棄されたセラフィーナは、前世の記憶を取り戻し、自分がゲーム世界の悪役令嬢になっていると気づく。破滅を避けるため辺境領地へ帰還すると、そこで待ち受けるのは財政難と魔物の脅威...。高純度の魔石を発見したセラフィーナは、商売で領地を立て直し始める。しかし王都から冤罪で訴えられる危機に陥るが...悪役令嬢が自由を手に入れ、新しい人生を切り開く物語。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!
音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ
生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界
ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生
一緒に死んだマヤは王女アイルに転生
「また一緒だねミキちゃん♡」
ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差
アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる