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記録ノ88 二転三転大合奏~運命の本番編~

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さて、発表の構成だがオープニング・寸劇1→水戸黄門演奏→寸劇2→ルパン演奏→寸劇3→ルージュの伝言演奏→フレンドシップ合唱という流れであった。
そして寸劇は「演奏が苦手で学芸会の練習をサボった生徒数人組が、ある生徒の家に集まってゲームをすることに。
しかしTVのリモコンを押した瞬間、TVに吸い込まれ水戸黄門やルパンの世界にワープしてしまう」というものだ。
演奏が苦手な生徒…まるで自分を見ているかのようだった。僕はサボらなかったけどね。

まずは水戸黄門パート。寸劇の流れは助さん角さんと悪代官の手下の殺陣の後、お約束の印籠のシーンが再現された後、演奏に移るという形式だ。
この殺陣のシーンはとにかくノリノリで演じていた。ヒーローごっこに明け暮れていた幼稚園時代を思い出して楽しかった。悪役だけどね。自分も水戸黄門の時代にタイムスリップした気分で刀を振っていた。ちなみに手に持った刀は学芸会でよくある手作りでなく、100均で売られていたプラスチック製のおもちゃだ。
演奏のほうは…何とかできた。何とかね。

その後、寸劇パートは何とか現実世界に戻ってこれた生徒たちが先ほどとは別のリモコンを発見し、こっちこそ本物のTVリモコンか…?とボタンを押すと今度はルパンの世界に吸い込まれてしまう。
そしてルパンパート。カリオストロのあの名シーン(=奴はとんでもないものを…のくだり)が再現された後はもちろん演奏だ。
さあ、ここが僕の見せ所。僕の指がうなってる。ビブラスラップを鳴らしたいとうなってる。
失敗は許されない。演奏に深みを持たせるために。
そして演奏が始まった。まずはイントロの部分で計3回ほど鳴らす。タイミングはすべてばっちりだ。
その後もしっかりとタイミングを間違えずに鳴らすことができ、僕は見事に役目を果たした。演奏のいいアクセントになる。僕の目標は無事達成できた。しかしあと2曲残っている。

ルパンの演奏後は寸劇パート。先ほどの奴はとんでもないものを…に感動した生徒たちが学芸会の練習頑張ろうと言ったところで寸劇は終了。打ち切り的だがこれ以上寸劇は挿入されない。
そして3曲目のルージュの伝言。児童公開日の数日前に先生から「イントロの演奏中は左右にステップ踏みながらお願いします。」「最後はリコーダーを天高く掲げて決めポーズ」という無茶ぶり(?)が出されたがみんな呑み込みが早かった。もちろん僕も対応できていた。肝心の演奏を除いてはね。
演奏のほうは音を出さず指の動きでごまかしていた。何度やってもうまく演奏できなかった僕は失敗して迷惑をかけたくなかった。奇跡的に誰にも指摘されることはなかった。先生は見て見ぬふりをしていた可能性もあるし、観客も「あれ?」って思った人がいた可能性もあるが。

そして大トリのフレンドシップ。児童公開日では無事歌えたが、保護者公開日では…歌詞を間違えてしまった。隣の人に思いっきりにらまれた。

失敗はあったが何とか乗り切った学芸会。練習からの地獄の2か月間、つらいながらもよく乗り切ったと思う。
個人的には寸劇パートが尻切れトンボ的に終わっていることが子供心にいただけなかった。
発表開始前の演目紹介のあらすじでは「(劇中の生徒たちの行動を踏まえて)学芸会はうまくいくのか!?」といってたのだから最後にナレーションだけで簡潔でいいから「彼らは真面目に取り組み学芸会は成功に終わった」とか入れてしっかり完結すべきだったと思う
「生徒が後半の演奏を成し遂げたことによって成功とする。」という意図があったのかもしれないが。


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