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おこぼれ話35 犯人捜し~人はグラサンによらずの巻~

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2年生の3月、異学年交流会において6年生卒業企画として6年生の考案したゲームを行うという企画を異学年交流のクラスごとに体育館で昼休みに行われた。
日程は異学年交流のクラスごとに異なり、1回の開催につき複数クラス合同で行われる。自分のクラスの開催日には参加のため掃除が免除される。
どんなゲームを行うかはクラスごとに異なり、僕のクラスで行われたのは「犯人捜し」である。
これは司会者役の6年生のの証言を聞いて、3人のうちだれが犯人かを当てるというその名の通りのクイズだ。犯人役も6年生が務める。

犯人捜しのストーリーは「ケーキを盗み食いした犯人を3人の容疑者の中からあてる」というもので、司会者の証言は「犯人は白い服を着ていた」というもの。(ほかにも証言があった記憶があるが忘れてしまった)
容疑者3人の特徴はそれぞれ以下の通りだ。
容疑者A 白い服を着ている
容疑者B 黒い服を着ていてサングラスをかけている
容疑者C 黒い服を着ているがBと違い裸眼
…もちろん、証言と照らし合わせればわかる通り犯人はAだ。
しかし僕にはどうもBに目が行ってしまう。「グラサンかけたやつは大抵悪いヤツ」子供心に焼き付いていたステレオタイプだ。
証言をよく聞けばAだってわかってはいたが、自分にとってはどうしてもグラサンかけたBが悪そうに見える。
「Aと見せかけて実はBが真の犯人だったというどんでん返しもあり得るんじゃないか?素直に悪そうなヤツに投票したヤツ正解!ってオチかもしれないしな!」自分はBが犯人と予想することにした。

そして判定の時間。犯人ごとに分けられたレーンのうち、犯人だと思う法のレーンに並ぶという方法で回答が募集される。
きちんと証言を聞いてAに並ぶ子もたくさんいたが、案の定、Bのレーンに並んでいる子も低学年を中心に結構いた。僕の友達のリュウくんもそのひとり。彼がBを予想した理由はもちろん「どう見たって悪そうだから」。
僕も同乗して「やっぱアイツ(B)が悪そうだよな!?」ってコメント。Bに並んでいた他の子たちも皆口々に「Bが悪そう」と話していた。やはり幼心にグラサンは悪いヤツとの印象は強いのだろう。
全員並び終わったところで答え合わせ。もちろん正解は…

「犯人は…Aでした~!」
その瞬間、僕たちBに並んでた子たちは「え~っ!?」と納得のいかない様子であった。
その直後、Aを予想してキッチリ正解したセイちゃんは「だって犯人は白い服を着てたって言ってたじゃん!」とまんまとグラサンにつられた僕たちを一括。
答え合わせの後、進行役の先生は「サングラスをかけているからって悪い人とは限らないんですね~」と締めていた。「人を見かけで判断してはいけない」そう言ったメッセージがこのゲームに込められていたのだろうか。

そんなこんなで集会は数分ぐらいであっさり終了。正直この犯人捜しは大して面白いとは思わなかった。もう少し複雑にしてほしいとも思った(難しすぎたら低学年や推理苦手人間置いてけぼりでそれはそれで問題だろうが)。
何はともあれ、今回はあの時の自分への喝で締めさせていただこう。
「おい!小2のオレ!グラサンかけてるやつは悪そうって…タモさんにあやまれ!」
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