上 下
195 / 456

おこぼれ話57 星をみられぬ人、でも最後にみちゃった人

しおりを挟む
プラネタリウム見学から数日後、学校で任意参加の「星をみる会」が行われることとなった。
親と一緒に夜に校庭に集まり、学校に札幌の科学館の学芸員の人たちをまねき、その人たちのガイドのもと夏の星座を観察するというものだ。
僕は本来このような企画はわざわざ学校行かないタイミングで学校まで足を運ぶのがめんどいので参加しないのが常だったが、今回はその場のノリで参加を決意。母も今までの僕の行動から考えて「え~っ!?」という感じだった。
だがそんな母も今回の会に同行してくれた。感謝。

そして当日、その日は金曜の夜でドラえもんとクレヨンしんちゃんをきちんと録画してからさあ、星空を眺めに学校へ…と、いきたいところだったがこの日はあいにくの雨で星空観察は中止に。
だが悪天候用のプログラムもきちんと用意されている。体育館に集まって学芸員の人たちが星座や宇宙に関する話をしてくれるのだ。

明かりがついてるとはいえ少しか不気味な夜の体育館でさあ特別授業開始。
その前に星座早見盤の販売が体育館にて行われた。
これまたその場のノリでほしいと母にせがんだが、あいにくこの時母は財布を持ってきてなかった。販売については予告されてなかったから仕方ない。
だがユウマくんのお母さんがお金を貸してくれ、僕も星座早見盤を手にすることができた。感謝。
体育館で最初に行われたのはスクリーンを使った星座の解説。夏の大三角などの授業で習った星々や名前を知ってるおなじみの星座のほか、マニアックな星座についても説明された。
コンパス座やじょうぎ座、といった意外なモチーフの星座もここで知った。星座は奥が深い。もともと宇宙や天体はそれなりに好きであったがますます星空に興味をそそられる。
その後は星空や宇宙に関するクイズ。ここでも興味深い星座知識が。
日本語でひらがな一文字の星座が3つもあるということだ。ほ座、ろ座、そしてや座。この時は3つの星座の図もなく、ひらがなの表記だけではこれらのモチーフがわからなかったが、後にそれぞれ船の帆、化学者が使う炉、弓矢の矢がモチーフであることを知った。

そしてこのクイズの中で体育館中に失笑が走った瞬間があった。
それは「金星には金星人がすんでいる。〇か×か」という問題だ。当然答えは×。
近くに座ってたセイタくんも笑いながら「住んでるわけねーだろ!」とツッコんでた。
金星人は当然いないが僕は異星人の存在は信じている。最近は生命の住む可能性のある星も発見されてるが、もしかしたら今頃その星の住人達も我々の住む地球を発見してるかもしれないとふと考えることがある。

そんなこんなで特別授業終了。
すっかり雨も上がったその帰り道、空を見上げるとそこには青い目玉のサソリが浮かんでいた。
「あれきっとさそり座だ!!」僕は心の中で叫んだ。星座を見つけられたことは人生で初めてだった。
3日後の月曜日、会に参加したあるクラスメイトも「さそり座をみかけた」と話していた。
グラウンドで星空を見上げることはできなかったが、あの日見上げたさそり座は僕の瞼に今でも焼き付いている。
しおりを挟む

処理中です...