上 下
365 / 456

おこぼれ話227 すぐさま”お”を消すリョーマさん

しおりを挟む
小3~小4にかけて、僕には他人から見れば謎のクセと言えるようなクセがついていた。
それはプリントなどにかかれている「お金」や「お家」などの”お”の字を塗りつぶして消すという癖である。

小学校中学年に入ったあたりから僕は「お金」や「お家」のように名前の前に”お”をつけて呼ぶことを幼稚だと突然感じ始めてしまったのだ。精神の成長が理由か、単に理由もなく「幼稚」「ダサイ」と感じてしまうようになってしまったのか。今となっては自分にもよくわからない。ただ”お”を付けることにダサイと感じ取っていたこと、「お金」とか「お家」とかって言うより「金」や「家」と言ったほうが圧倒的にカッコイイと感じ取っていたのは紛れもない事実だ。

なんらかのプリントが配られればすぐさま自分はプリント内に「お家」だの「お金」だのといった頭に”お”がつく単語がないか血まなこになって探し始めた。そしてそれらの単語を見つけたならばすぐさま鉛筆を手に取り、”お”の部分を黒く塗りつぶし、「金」や「家」と読めるように変えていた。これがプリントが配られたときの自分のルーティンであった。

当然このクセは母親からもいろいろと指摘されたわけなのだが、僕はこれには「ダサいから」と返していた。
前述の通りなにを理由にダサいと思うようになったかは今となっては自分でもわからない。ただ「言葉の前に”お”を付けるのはダサい」それを信条に僕は”お”の字を塗りつぶしていたのは確かだ。
しおりを挟む

処理中です...