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おこぼれ話293 ラーメンとつけ麺と僕は…

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小4のある日の給食時間、シュウジくんが突然僕にギャグ対決を挑んできた。
その対決の内容はご存じ狩野英孝のギャグの要領で「ラーメンつけ麺僕○○メン」!という具合に○○の部分に好きな単語(といっても麺類限定だが)を入れてオリジナルの(テンプレートが用意されてる時点でオリジナルとは言えないのかもしれないが)ギャグを作って対決するというもの審査員は他の班員たちだ。具体的に何点とかはつけず、皆が笑ったか否かや笑いの大きさで勝敗を判定する。

先攻はシュウジくんで最初のギャグは「ラーメンつけ麺僕チャーシュー麺!」で一同大爆笑。
後攻の僕の最初のギャグは「ラーメンつけ麺僕カップ麺!」であったがこれは一同総しらけ…最初の対決はシュウジくんに軍配が上がった。どうせギャグセンスないですよーだ。

その後も対決は続き、「チキンラーメン」に「ざるラーメン」…思いつく限りの「麺」を繰り出していったが勝利の女神は僕に微笑んでくれない…先攻のシュウジくんで笑い、後攻の僕の番になればさっきまでの爆笑してたのがウソのように皆死んだ魚の目になって蝋人形のように固まる…その状況が一種のテンプレートと化していた。どうせギャグセンスないですよーだ。

そんな中でシュウジくんが禁断の秘儀を使ってくる。
「ラーメンつけ麺僕カップ麺!そりゃやっぱりいいんだよ!」
…カップ麺…それオレのパクリやないかい…そんでもってみんなはパクリだと指摘するどころか大爆笑。
これには当然僕は大激怒。
「それオレのパクリじゃないか!そんでもってみんなもパクリを指摘するどころか大爆笑じゃないか!卑怯だぞ!!」
それに対するシュウジくんのアンサーは…
「オレは何も丸パクリしたわけじゃないぞ。”そりゃやっぱりいいんだよ”って最後につけたじゃないか!オレのオリジナルだ!」
…人が先に使った単語を使おうが、最後に別な単語をつければオリジナルのギャグに変貌する…この戦いに卑怯という言葉はない。ただワードチョイスでどれだけ笑いをとれるかだ。だったらやってやろうじゃないか。こっちだってお前のギャグを…

「ラーメンつけ麺僕チャーシュー麺!アハハハハハwwwww…そんじゃトイレへ…」
シュウジくんが最初に爆笑をかっさらったギャグを使った後に自分で自ら笑い、他のみんなの笑いを誘う作戦だ。
自分が笑えばみんなもつられて笑うだろうという”洗脳”作戦だ。
しかしこれもみんなは一切笑わず、僕が突然笑い始めたときも他のみんなは「えっ…自分で笑ってんの…」とヤバい人を見るような目で見ているだけであった。その後給食中なのに突然トイレに行ったのはこの状況を見なかったことにして自分の中では受けたことにしようとしたかったからである。目を背けたからって現実は変わらないのに。
1分ぐらいたってトイレから戻ってきた後、班員のトモくんから「さっきのお前のギャグつまんなかったらしいよ。」と一言。僕が目を背けようとするためにトイレに行ったことはお見通しだったようだ。

そこからは○○麺のあとに他の単語をくっつけるという「単語戦国時代」が到来したがこちらは結局一度も笑いをとれずに終了。どうせギャグセンスないですよーだ。
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