リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ

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第5部 ゲーム総合史

ゲームボーイアドバンスとその時代

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任天堂はガキ向け…なんてコアなゲーマーから揶揄されることは2010年代までよくみられた光景だがゲームボーイアドバンスとゲームキューブの時代…この時代が最もそう言われた時代であろう。
初代PSから引き続きサードパーティーの大作ソフトがPS2に流れていく中で、任天堂ハードは低年齢層やライトユーザー、ファミリー向けのソフトを中心に展開していた。ヘビーユーザー向けが全くなかったわけではないが。もちろんこれには大作ソフトが技術力や普及力で勝るPS2に流れた理由も大きいが、逆にこれが任天堂の強みであるファミリー向け路線の確立につながったと言える。今回はアドバンスを分析していこう。

任天堂の21世紀初のゲーム機として2001年3月に産声をあげた「ゲームボーイアドバンス」。
据置き機が既に3Dに移行している中で、このハードはドットにこだわった。
スペックとしてはスーパーファミコンよりも高めの32ビット。初代ゲームボーイから12年の時を経て大きく躍進した。
実はゲームボーイカラーの開発の段階で本来はゲームボーイカラーをすっ飛ばしていきなりアドバンスを作る計画だったという。そんなこともあってゲームボーイカラーからアドバンスまでは2年5カ月とブランクは短い。ゲームボーイカラー発売の翌年にはすでにアドバンスの存在が公に公開された。発表当初は2000年8月の発売予定だったのが延期され、実際に発売されたのはその7か月後の2001年3月。

ロンチタイトルは任天堂からは「スーパーマリオアドバンス」「F-ZERO GBA」など、サードパーティーからは後にアニメ化もされ長期シリーズとなるカプコンの「ロックマンエグゼ」ドリキャスの製造終了からソフトメーカーに転向したばかりのセガより「チューチューロケット!」などそのタイトル数は歴代の任天堂ハードの中でも最多に数えられる30タイトル(一部メディアによっては6作同時発売となった「EZ-TALK 初級編」をまとめてひとつのタイトルとしてカウントし全25タイトルとしている場合もあるが、本小説では6作をそれぞれ別カウントとする)に上るといういきなりのお祭りモードでの門出となった。

GBAのカードリッジには特殊なセンサーが導入され、新たな遊びを提供するものもあった。
例えば傾き・回転センサー。既にゲームボーイでも「コロコロカービィ」で導入されていたが、アドバンスでは「ヨッシーの万有引力」「コロコロパズル ハッピイパネッチュ!」「まわるメイドインワリオ」など傾きセンサーを利用した多数のソフトが登場した。特にまわるメイドインワリオは文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を受賞するなど高く評価された。
他には太陽センサーを導入したソフトもあった。メタルギアの生みの親・小島秀夫氏による「ボクらの太陽」だ。
カードリッジに搭載された太陽センサーが太陽の光を検知し、それによってゲーム内に様々な影響を与えるという全く新しいアクションRPG。逆を言えば太陽の光を使用するので日中にゲームができない人にとってはキツイゲームではあるのだが、外でプレイされることも想定した携帯機だからこそ実現できたソフトといえる。
この作品はシリーズ化され、アドバンスで3本、DSで1本。計4作品が登場。ちなみにDS版のカードリッジは太陽センサーを搭載していないが(そのため、当時のCMでも夜でも遊べるとアピールしていた)、GBA版とのダブルスロットで太陽センサーを用いたプレイを行うことが可能。
さらにコロコロコミックでコミカライズ「太陽少年ジャンゴ」も4年弱にわたって連載された。

ここからはアドバンスで産声をあげたタイトルをいくつか紹介していこう。
まずはメイドインワリオ。アドバンス本体の発売からちょうど2年後の2003年3月21日。次から次へと現れる5秒ほどの「プチゲーム」を次々とクリアしていく「瞬間アクション」。ワリオの個性とマッチしたゲーム内の独特なおバカで爆発的な世界観も相まって人気作に。今なお続くワリオの代名詞となった。アドバンスでは初代と前述のまわるの2作が発売。
続いて「逆転裁判」。裁判という異色のテーマを扱った作品ながら、その重くなりがちな題材をうまくデフォルメし、「笑いあり涙ありの法廷推理アドベンチャー」へと昇華させゲーム界に新風を巻き起こした。これまた今なお続く長期シリーズとなっている。
最後に紹介するのは「リズム天国」。それまでのリズムゲームとは違い、画面上のマークに会わせてボタンを押すのではなく、音楽のリズムに会わせてタイミングよくボタンを押していくという新たな形のリズムゲームとして登場。
つんくプロデュースとしても知られる本作だが、メイドインワリオのプロデューサーでもある坂本賀勇氏も共同プロデューサーとして名を連ねる。
そんなこともあって各ゲームの題材も、時に空手家がパンチで物をふっ飛ばしたり、時に毛を抜いたりとメイドインワリオに負けず劣らずのシュールさや意外な目の付け所が光っており、他のリズムゲームとは一線を画す。メイドインワリオのノウハウが生きているといえる。
発売は2006年8月とすでに市場の中心はDSへと移っていた時期(任天堂による最後のアドバンスソフトでもある)。だが本作はそんな中でも32万本という後継機が登場した後のハード末期のソフトとしては異例の売り上げを記録し、後に様々なハードでシリーズ化していった。

任天堂の歴史の中でも特に低年齢ユーザーが多いと言われていたアドバンスの時代。だが意外にもアドバンスでも逆転裁判のように高年齢層向けのタイトルが少なからず登場していた。ファイアーエムブレムが初めて携帯機で登場したのもアドバンスである。
初代アドバンスの売り上げは 国内955万台、全世界累計3500万台。SPやミクロといったアドバンスシリーズ全体では国内1696万台、全世界累計では実に8151万台。1億台を超えた初代ゲームボーイシリーズにはかなわなかったものの(そもそも初代ゲームボーイはカラー以前にもポケットやライトなどの派生機が多数登場していたこと、初代ゲームボーイの現役期間の長さなどがあるから単純比較もできないが)、携帯機で任天堂の右に出るものなしを証明した(そもそもアドバンス発売の2年後にはワンダースワンの製造が終了し、それからはDSの登場と同時期にPSPが登場するまで携帯機市場は実質他にライバルのいない任天堂の独壇場だったわけだが。)
次回は同時期の据置きハード、ゲームキューブを分析しよう。
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