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第1話 新しい家族、それは推しです。
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オレは石嶺ダイゴ、中2だ。ワケあって今は不登校真っ最中だがな。
オレの両親は2人とも元読者モデルで芸能活動をしていた。18の若さで結婚し、同じ年にオレが生まれた。だが親父は週刊誌に不倫、浮気現場をすっぱ抜かれるほどのどうしようもないプレイボーイ。それが原因でオレが小1の時に母ちゃんが出ていって、同時に親父は事務所もモデルを務めていた雑誌もクビになり、芸能界から姿を消した。以降は一般企業に勤め、男手一つでオレを育ててくれた。説明もなく夜の街に遊びに行って翌朝まで帰ってこないなんてこともあるけど、こんなダメ息子でも育ててくれるオヤジには感謝もしてるよ。
ダイゴ父「ダイゴ!いい加減今日こそ学校行けよ!」
「うっせ~な!結婚して高校中退したおやじにいわれたかね~よ!」
…これが我が家の日常だ。しつこいようだが親父には本当に感謝もしている。しつこいようだがな…
こんなオレにも心の支えとなるものがある。親父が部屋から去ったら推しとご対面だ。
「つぼみちゃ~ん!!お兄ちゃんがきましたよ~!」
オレの推し、超人気子役の「矢澤つぼみ」。5歳だ。CM契約社数20社以上、日本アカデミー賞最優秀子役賞受賞。ヌーチューブチャンネル登録者数も120万人越え。もちろんオレもそのひとり。今大注目の子役だ。
オレは雑誌の切り抜きやネットで拾った画像などの大量のつぼみちゃん写真や、コンビニでもらえるクリアファイルとかの多数のつぼみちゃんグッズに囲まれて毎日を過ごしている。もちろん親父にはヒミツだから普段は部屋のタンスの奥にしまっているがな…親父に現を抜かす日々も、つぼみちゃんがいるから乗り越えられるもんだ。だが1度でいいから本物のつぼみちゃんに会ってみたい。いっそ妹にでもなってほしい…
神様、夢でもいいからつぼみちゃんをオレの家族にしてくださいなんて何度願ったことか…
そういえばつぼみちゃんも母子家庭で育ってるんだよな。なんか俺と重なるとこがあるんだよ…
そんな変わり映えのない日々を過ごしていたある日…
ダイゴ父「ダイゴ、突然だが今日はお父さんから発表がありま~す!」
「なにが発表がありま~す!だよ…オレも中学生だぜ!?そんな子供だましじゃなくて普通に発表してくれよ…」
「うるさいな~不登校のくせに…実はお父さんはこの度再婚することになりました~!」
「な~んだそんなこと大げさに…さっ、再婚!?」
「わかりやすいベタなリアクションだな…そう、再婚することになったのです!よかっただろ~!お前母さんが出てってから毎日のように”母ちゃんは帰ってこないの?母ちゃんは帰ってこないの?”って泣きついてたもんな~」
「毎日じゃね~よ!最初の半年ぐらいだ!で、再婚相手とはどこで出会ったんだよ!?まさかちょくちょく話題に上がる通算百万近くつぎ込んだキャバ嬢のアケミちゃんじゃなかろうな!?」
「いや、夜の街で出会ったんじゃない。芸能活動時代からの知り合いからのパイプで出会ったシングルマザーさ!お前お兄ちゃんになるんだぞ~!しっかりやれよ~!」
「こ、子持ちかよ!」
「そう、幼稚園の子がいるんだ!2人は明日からこの家に来る予定だからあいさつしっかりな!それと妹はお前が必ず泣いて喜ぶ子だぞ~!」
「ホントに急だな!それになんだよ泣いて喜ぶって…(小声で)オレが会って泣いて喜ぶ子ってつぼみちゃんだけだっての!」
そして翌日。五月晴れな土曜の朝8時。朝早く鳴り響いた我が家のチャイムが遅めに起きようとしたオレの目を覚ます。こんな朝早くに来なくても…
「ダイゴ、新しい家族が来たぞ!」
「あ~い…せめてちゃんと着替えさせて…」
きちんと着替え、身だしなみを整えてオレは玄関に向かった。
「遅れてすみません。石嶺コテツの息子のダイゴです。」
コテツ「手のかかるダメ息子ですけどどうかよろしく…」
「余計なこというな!確かにダメ息子なのはオレがよくわかってるけど…」
「こんにちは。今日からあなたのお父さんと夫婦になります、矢澤ケイコです。これからは石嶺ケイコですね。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします!(つぼみちゃんと同じ矢澤だなんて…これも運命か?)…ところで、お子さんがいらっしゃるんですよね?お子さんは今どこに?見えないようですけど…」
「きっと新しい家族に顔合わせるのが恥ずかしくて壁のほうに隠れてるのね…ほらやっぱり!つぼみ!あいさつしなさい!」
「つぼみ!?まさか!?同姓同名の可能性もあるし…」
そしてつまみ出されて出てきたその子の正体は…
「あ、あの…今日からこの家で暮らすことになりました矢澤つぼみです。子役やってます。よろしくお願いします…」
「そ、そのまさかだった!」
これはとっても嬉しいことのはずだ。だがあまりにも急展開過ぎて僕はとても多くを語れる状況じゃなかった…神様、あなたに何度も願った結果、つぼみちゃんを家族にしてという願いが現実になってしまいました。ありがとうございます。ですが本当に推しが家族になった場合僕はどうすればよいのでしょうか?
オレの両親は2人とも元読者モデルで芸能活動をしていた。18の若さで結婚し、同じ年にオレが生まれた。だが親父は週刊誌に不倫、浮気現場をすっぱ抜かれるほどのどうしようもないプレイボーイ。それが原因でオレが小1の時に母ちゃんが出ていって、同時に親父は事務所もモデルを務めていた雑誌もクビになり、芸能界から姿を消した。以降は一般企業に勤め、男手一つでオレを育ててくれた。説明もなく夜の街に遊びに行って翌朝まで帰ってこないなんてこともあるけど、こんなダメ息子でも育ててくれるオヤジには感謝もしてるよ。
ダイゴ父「ダイゴ!いい加減今日こそ学校行けよ!」
「うっせ~な!結婚して高校中退したおやじにいわれたかね~よ!」
…これが我が家の日常だ。しつこいようだが親父には本当に感謝もしている。しつこいようだがな…
こんなオレにも心の支えとなるものがある。親父が部屋から去ったら推しとご対面だ。
「つぼみちゃ~ん!!お兄ちゃんがきましたよ~!」
オレの推し、超人気子役の「矢澤つぼみ」。5歳だ。CM契約社数20社以上、日本アカデミー賞最優秀子役賞受賞。ヌーチューブチャンネル登録者数も120万人越え。もちろんオレもそのひとり。今大注目の子役だ。
オレは雑誌の切り抜きやネットで拾った画像などの大量のつぼみちゃん写真や、コンビニでもらえるクリアファイルとかの多数のつぼみちゃんグッズに囲まれて毎日を過ごしている。もちろん親父にはヒミツだから普段は部屋のタンスの奥にしまっているがな…親父に現を抜かす日々も、つぼみちゃんがいるから乗り越えられるもんだ。だが1度でいいから本物のつぼみちゃんに会ってみたい。いっそ妹にでもなってほしい…
神様、夢でもいいからつぼみちゃんをオレの家族にしてくださいなんて何度願ったことか…
そういえばつぼみちゃんも母子家庭で育ってるんだよな。なんか俺と重なるとこがあるんだよ…
そんな変わり映えのない日々を過ごしていたある日…
ダイゴ父「ダイゴ、突然だが今日はお父さんから発表がありま~す!」
「なにが発表がありま~す!だよ…オレも中学生だぜ!?そんな子供だましじゃなくて普通に発表してくれよ…」
「うるさいな~不登校のくせに…実はお父さんはこの度再婚することになりました~!」
「な~んだそんなこと大げさに…さっ、再婚!?」
「わかりやすいベタなリアクションだな…そう、再婚することになったのです!よかっただろ~!お前母さんが出てってから毎日のように”母ちゃんは帰ってこないの?母ちゃんは帰ってこないの?”って泣きついてたもんな~」
「毎日じゃね~よ!最初の半年ぐらいだ!で、再婚相手とはどこで出会ったんだよ!?まさかちょくちょく話題に上がる通算百万近くつぎ込んだキャバ嬢のアケミちゃんじゃなかろうな!?」
「いや、夜の街で出会ったんじゃない。芸能活動時代からの知り合いからのパイプで出会ったシングルマザーさ!お前お兄ちゃんになるんだぞ~!しっかりやれよ~!」
「こ、子持ちかよ!」
「そう、幼稚園の子がいるんだ!2人は明日からこの家に来る予定だからあいさつしっかりな!それと妹はお前が必ず泣いて喜ぶ子だぞ~!」
「ホントに急だな!それになんだよ泣いて喜ぶって…(小声で)オレが会って泣いて喜ぶ子ってつぼみちゃんだけだっての!」
そして翌日。五月晴れな土曜の朝8時。朝早く鳴り響いた我が家のチャイムが遅めに起きようとしたオレの目を覚ます。こんな朝早くに来なくても…
「ダイゴ、新しい家族が来たぞ!」
「あ~い…せめてちゃんと着替えさせて…」
きちんと着替え、身だしなみを整えてオレは玄関に向かった。
「遅れてすみません。石嶺コテツの息子のダイゴです。」
コテツ「手のかかるダメ息子ですけどどうかよろしく…」
「余計なこというな!確かにダメ息子なのはオレがよくわかってるけど…」
「こんにちは。今日からあなたのお父さんと夫婦になります、矢澤ケイコです。これからは石嶺ケイコですね。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします!(つぼみちゃんと同じ矢澤だなんて…これも運命か?)…ところで、お子さんがいらっしゃるんですよね?お子さんは今どこに?見えないようですけど…」
「きっと新しい家族に顔合わせるのが恥ずかしくて壁のほうに隠れてるのね…ほらやっぱり!つぼみ!あいさつしなさい!」
「つぼみ!?まさか!?同姓同名の可能性もあるし…」
そしてつまみ出されて出てきたその子の正体は…
「あ、あの…今日からこの家で暮らすことになりました矢澤つぼみです。子役やってます。よろしくお願いします…」
「そ、そのまさかだった!」
これはとっても嬉しいことのはずだ。だがあまりにも急展開過ぎて僕はとても多くを語れる状況じゃなかった…神様、あなたに何度も願った結果、つぼみちゃんを家族にしてという願いが現実になってしまいました。ありがとうございます。ですが本当に推しが家族になった場合僕はどうすればよいのでしょうか?
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