ULTIMATE〜season22(2103)INHERIT J.D.F

壱暉

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ULTIMATE〜INHERIT J.D.F

ULTIMATE〜INHERIT J.D.F第6話

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主要登場人物一覧
来宮遼介(26)…5代目主人公 幹部候補生教育大隊29期卒隊 西部教育隊教務部学生指導課配属
笹倉大志(26)…幹部候補生教育大隊29期卒隊 西部教育隊教務部学生指導課配属
片岡優真(26)…幹部候補生教育大隊29期卒隊 警衛庁公安科国家危機管理対策部隊配属
滝藤誠弥(55) …警衛隊初代幕僚総監
原快真(39)…西部教育隊教務部学生指導課長
盛坂辰馬(33) …西部教育隊教務部学生指導課副課長
…………………………………………………………………
「いじめか。」
原から報告を受け教育隊長の戸谷は深刻そうな顔を見せた。
「で、相手は?」
戸谷が聞いた。
「いえ、まだそこまでは判明していません」
「話さなかったのか?そいつは」
「えー。いじめられていることも隠してたぐらいなので、まーそう簡単には話さないでしょうね。」
原が言うと戸谷は軽く頷いた。
「とにかく、本部の監察科がこれからは調査に乗り出すらしい。」
「そうですか」
「なんかあるのか?」
「特には無いんですけど、あえて言うなら…いじめの調査は慎重に行う必要があるのでは無いかと思いまして。」
「ほぉー」
「いじめられた学生は我々学生指導課がしっかりと見守っていますが、やはり目の届かないところもあるので、いじめた学生達にこの事がバレるとやばいと思うんですよ。」
「君の言い分もよくわかる。だがな、監察科もこの事はしっかりと把握しておきたいらしくてな。去年の事件もあったし、西部教育隊は何かと目をつけられているんだ。まーそう悪く思わんでくれ」
原と戸谷が話している頃、
学生指導課室にとある男たちがやってきた。
「どちら様でしょうか?」
盛坂が聞くと1人の男が答えた。
「本部監察科の者だ。」
「監察の方が何か?」
「何だ。何も聞いていないのか。いじめの件でおたくの教育隊長直々に調査をして欲しいと依頼があった。うちの首席監察監察からも調査するよう言われてな、調査することになった」
「そ、そうでしたか。」
そう言うと盛坂は近くのソファーに監察科隊員らを誘導した。
「あ、お前」
そう言うと笹倉は1人の男を指さし声を上げた。
「お、お前ら教育隊に配属になったのか?」
指を刺された男は笹倉と来宮の顔を見るなり驚きの表情を見せた。
「なんだ、海藤知り合いか?」
「同期っす。幹部候補時代の」
「そうか。席外してもいいぞ。同期同士で軽く盛り上がってこいや」
「あ、わかりました」
そう言うと海藤は来宮達を連れて学生指導課室から出て行った。
「にしてもお前ら、教育隊に配属になってたんかよ。」
海藤が言った。
「お前こそ、監察科に配属になってたんかよ。出世街道まっしぐらじゃねーかよ。」
笹倉が言うと海藤は軽く笑みを見せた。
「だろ?このまま順調に行けば副主席になってそのまま50代で幕僚総監だな笑」
「それは夢物語すぎんだろ笑」
「はっははは。そうかもな笑笑」
来宮達が盛り上がってる中、学生ら数人が学生指導課室近くの男子トイレからこちら側を見ていた。
「やべーよ。本部の監察来てんじゃん。」
「俺らどうなんのかな。だから言ったじゃねーかよ。やめとけって。抜き打ちでの検閲が多い平日はボコるのやめろって。」
「落ち着け。何かあれば俺がやってやるからよ」
その日の夜から調査は始まった。
午後10時
消灯の放送がいつもだと鳴る時間。
聞こえてきたのは消灯では無かった。
「緊急非常招集。緊急非常招集。全学生は活動服着用後、直ちにグラウンドに整列すること。繰り返す…」
非常招集が鳴り響く中、学生らは活動服に着替え、活動帽を被るとそのままグラウンドに向かって走り出して行った。
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