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5章 開拓編

104話 ダンジョン村

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「まあ、魔導ラインはおいおい拡大して行けばいいんじゃない? この前みたいなのが来られる方がよっぽどダンジョンにとっては厄介だと思うし」

≪うぅ、確かに。……わかった、暫くは魔導ラインの拡大はしないことにするよ≫

「その方が妥当よね」

 タマちゃんとの会話をしつつも、右手は管理画面を操作してダンジョンの内装を弄っていく。
 低品質アイテムは魔物に装備させたり宝箱に入れたりして、ちょっとだけレアな物は階層ごとのレア種を討伐することでドロップするように設定する。
 その他に今のところ変更したところはなく、今は下層の内装を調整中だ。

「このくらいでいいかなぁ。あんまり凝り過ぎるとすぐDPなくなっちゃうしなぁ~ああぁ、もどかしい。早く億万長者になりたい!」

 つい本音が出てしまったが、正直ちまちま小物を置くのは飽き始めてきた。
 何か大きなことをしたいと思っているが、その度にDPに苛まれる。

「あぁー何か急に暇になってきた。よし景気づけに10連ガチャ回そう」

 唐突だがガチャタブに切り替え早々十連のボタンを押す。
 一万DP分が引かれ、ガチャの演出が始まりお馴染みのカードが十枚現れた。
 次々裏返され、特にこれと言った目ぼしい物は当たらなかった。

「かぁー相変わらずガチャは渋いなぁ~。一気にテンション下がって来たよ」

 十連の結果にガクリと肩を落とし、暇つぶしにアイテム欄からVRキューブを取り出す。
 表面の溝に淡い光の線が走っているVRキューブを起動して視線を切り替えた。
 切り替わった先はダンジョンの入り口だと思われる薄暗い階段の前で、気晴らしにダンジョンの外を見に行こうと思い階段を上っていく。
 暫く上った先には明るい光が差す森林地帯だと思っていたのだが、目の前にはあくせく働く人が大勢確認できた。

「えっ! もう街づくり始めてるの!? 早くない?」

 そこにあったはずの森林は伐採され平地になり、角材に加工されたりそのまま積み重なって置かれたりしている。
 平地になっていることにも驚きなのだが、もう一つ目を引くものがあった。
 巨大な亀のような魔物が一匹中央でのっしのっしと地面を均しており、大きさにして大体五mくらいだろうか……巨大な魔物がおり、その脇では人がせっせと働いている。
 視界に入る場所はほぼほぼ伐採され地ならしを終え、半数の人が紐を引っ張り距離を測ったり、木材で小屋を建てていた。

「はぁぁーもう小屋なんか経ってるし、本格的に街ができるのかぁ~でもこの規模だと街というより村の方がしっくりくるよ。まあ徐々に大きくはなるとは思うけど、そうかぁーもう街づくりを始めてるのか……ヤバい、何だかワクワクしてきた! あっそうだ! 街づくりには必要不可欠な鉄とか鉱物系をダンジョンで供給して上げれば早く街ができるかも? うっあたし天才かも……こうしちゃいらんない、早々ゴーレムを生成しなくては!」

 街をつくる話が思った以上に早く、目の前には既に建物が出来始めている為、今後必要になって来るであろう鉱物関係の供給を行うべくVRを解除した。
 本体に戻って来るなり、画面を弄り魔物関連の場所を見ていく。
 魔物タブの中には確かに鉱物系の魔物が沢山いるのだが、やはり街全体に供給しようと思ったら相当な数の魔物が必要になって来る。
 魔物が増えるという事は必然的に必要なDPも増えるわけで……。

「ここに来てまたDPかぁ~くぅー。そうだイベント! ここはご都合主義に期待……とはいかないよね流石に」

 DPを増やす為にイベントが開催していないか確認するが、開催しているイベントがないのかグレーになっており切り替わることはなかった。
 そのような短絡的な行動に出てしまうほど、このダンジョンの経営事情は悪いという事だろう。

 はてさてどうしたものかと考えているが特にこれと言った良い案は思いつかない。
 今回の目的はあくまで今後必要になって来るであろう、鉄を始めとした鉱物類の供給なので、赤字を出してまですることが果たして必要かと問われれば疑問に思うところだろう。
 出来ることならば自然に供給できることが望ましい。
 かと言って半永久的に生み出す魔法陣の設置も確かに安定して供給できるかもしれないが、ダンジョン内に沢山出現させるわけにもいかず効率的とはいかないだろう。
 それにアイアンゴーレムを倒すことができる冒険者が果たして何人いるかどうか……居たとしてもそういう上級の冒険者は稼ぎになる依頼を受けるだろうし。

「取り敢えず、アイアンゴーレムを何匹か設置しておいて、いい感じに狩られるようだったら魔法陣も検討という事で。はぁ~何か効率よく鉱物を供給する手段はないものか」

 その後もひたすら考えに考え抜いてダメだと諦めかけた時、ふと思ったことを実行することにした。
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