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頭だけ壊された雪だるまの謎
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僕の小学校には色々な怪談がある。「夜に音楽室からピアノの演奏が聞こえる」だったり、「火の玉を見た」とか。
でも、僕の興味をそそることはない。怪談の正体は科学で説明がついたり、何かの見間違いだったりする。だから、今日もつまらない一日になるはずだった。奇妙な事件の話を聞くまでは。
「ねえ、真くん。雪だるまの事件、知ってる?」
声の主はクラスメイトの海野さんだった。いきなりだったので、話がよく分からない。
「ちゃんと聞いてた?」
「ごめん、読者に夢中になってた!」
海野さんはぷくーとほっぺたを膨らませると「しょうがないなー」と前置きして話しだした。
「最近ね、うちの周辺で雪だるまが壊される事件が起きてるの」
「なんだ、それならタチの悪いイタズラじゃん」
「もう、真くん、最後まで聞いて。その雪だるまはね、必ず頭だけが壊されてるの」
僕は頭の中で想像してみる。なるほど、雪だるま全部を壊すのなら簡単だけど、頭だけとなると手間がかかる気がする。ただのイタズラなら、全部を壊した方が楽だと思う。
「真くんはこういう話好きかなー、って思って。じゃあね」
どうやら、海野さんはこの話をするためだけに僕のところにやって来たらしい。すでに女子たちの輪に戻っている。
雪だるまの頭だけが壊されるのなら、実際に雪だるまを作ってみればいい。今日はそこそこ雪が降っている。帰ったら雪だるまを作って張り込みをしよう。犯人は僕が捕まえてみせる。
翌朝、僕は大きなあくびをしながら授業を受けていた。結局、雪だるま事件の犯人は現れずじまい。「もう夜中の9時よ! 風邪を引くから家に入りなさい」というお母さんの叱りもあって、最後まで張り込みができなかった。
朝になっても雪だるまの頭は壊されてなかった。代わりに隣の家の藤岡さんの雪だるまは頭が壊されていた。僕のは壊されず、藤岡さんの家のは壊された。謎が深まるばかりだ。
こんな時は東雲さんに相談しよう。物知りだし、ちょっとした謎に興味を持つタイプだ。僕みたいに。僕のクラスのシャーロック・ホームズみたいな存在だ。
「ねえ、雪だるまの頭だけ壊されている事件は知っている?」
僕は東雲さんにストレートに聞く。
「うん、知ってる。だって、最近の面白いことはそれくらいでしょう?」
東雲さんは長い黒髪を耳にかきあげる。雪の精霊のように肌が白いから、黒い髪との対比が目立つ。
「じゃあさ、一緒に事件の謎を解こうよ!」
「それも悪くないかもね。暇つぶしにはなるかもしれないから」
でも、僕の興味をそそることはない。怪談の正体は科学で説明がついたり、何かの見間違いだったりする。だから、今日もつまらない一日になるはずだった。奇妙な事件の話を聞くまでは。
「ねえ、真くん。雪だるまの事件、知ってる?」
声の主はクラスメイトの海野さんだった。いきなりだったので、話がよく分からない。
「ちゃんと聞いてた?」
「ごめん、読者に夢中になってた!」
海野さんはぷくーとほっぺたを膨らませると「しょうがないなー」と前置きして話しだした。
「最近ね、うちの周辺で雪だるまが壊される事件が起きてるの」
「なんだ、それならタチの悪いイタズラじゃん」
「もう、真くん、最後まで聞いて。その雪だるまはね、必ず頭だけが壊されてるの」
僕は頭の中で想像してみる。なるほど、雪だるま全部を壊すのなら簡単だけど、頭だけとなると手間がかかる気がする。ただのイタズラなら、全部を壊した方が楽だと思う。
「真くんはこういう話好きかなー、って思って。じゃあね」
どうやら、海野さんはこの話をするためだけに僕のところにやって来たらしい。すでに女子たちの輪に戻っている。
雪だるまの頭だけが壊されるのなら、実際に雪だるまを作ってみればいい。今日はそこそこ雪が降っている。帰ったら雪だるまを作って張り込みをしよう。犯人は僕が捕まえてみせる。
翌朝、僕は大きなあくびをしながら授業を受けていた。結局、雪だるま事件の犯人は現れずじまい。「もう夜中の9時よ! 風邪を引くから家に入りなさい」というお母さんの叱りもあって、最後まで張り込みができなかった。
朝になっても雪だるまの頭は壊されてなかった。代わりに隣の家の藤岡さんの雪だるまは頭が壊されていた。僕のは壊されず、藤岡さんの家のは壊された。謎が深まるばかりだ。
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