僕たちの冬の謎解き大作戦

雨宮 徹

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双子の謎と終幕

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 翌朝、僕たちは近くの公園で待ち合わせをすると、双子の家を目指した。もちろん、お見舞いの品を買って。


「真くん、一つお願いごとがあるの」東雲さんは真剣な表情で僕を見つめる。


「お願い? 僕に出来ることなら」


「お見舞いに行ったらね、たぶん二人のお母さんが出てくると思うの。話が少し複雑になりそうだから、見守ってて欲しいの」


 僕は頷くと「もちろん」と返事をした。




 ピンポーン。東雲さんがインターホンを押すと、予想通り、双子のお母さんがやって来た。


「あの、最近妹の絵理さんが学校に来てないからお見舞いに来たんですけど……」


 双子のお母さんは驚きのあまり、動きが止まった。


「ちょっと、あなたたち、何を言ってるの? 確かにうちの子供達は双子だから見分けがつかないかもしれないけれど、最近休んでるのは姉の美咲よ」


「やっぱり、そうでしたか」と東雲さん。


「えっと、何がどうなってるの?」


「つまり、こういうこと。雪だるま事件の証言をしたのは姉の美咲さん。そして、二回目に聞きに行った時は妹の絵理さんだったの。だから知らないの一点張りだったのよ。そして、ここ最近休んでいたのは姉の美咲さんだったの。代わりに妹の絵理さんが美咲さんのとして出席していたのよ。そうでしょう? 美咲さん」


 家の窓からは美咲さんがこちらを見つめていた。そして、「バレちゃったか」というと姿を消した。しばらくして、美咲さんは玄関から顔を出した。


「東雲さんにはお見通しだったか。でも、これは分からないんじゃない? どうして妹の絵理に代わりに出席を頼んでいたか」


「そうね……多分だけど、じゃないかしら」


「皆勤賞のため!? どういうこと?」


「美咲さんは文武両道で成績優秀。なんでも一番じゃなきゃすまない性格でしょう? だから、皆勤賞が欲しかったんじゃないかなって」


「ああ、そこまで分かっちゃうなんて、さすがとしか言いようがないわね」と美咲さん。


「ちょっと、美咲どういうことかしら」と双子のお母さん。


「美咲さん、完璧な人なんてどこにもいないの。どこかに欠点があるからこそ親しみがわくと思うんだ。では、ここで失礼します」




「まさか、二人が入れ替わっていたなんて、気づかなかったよ。それに理由も当たるなんて」


「理由は勘だったの。でも、もうすぐ一年が終わるし、皆勤賞かなって」


「やっぱり東雲さんはすごいよ! 僕のクラスのシャーロック・ホームズだよ」僕は最上級の言葉で褒めちぎる。


「そうかなぁ。私でも解けないことはあると思うな」


 僕は二人で帰りながら思った。東雲さんでも解けない謎はあると思う。例えば、僕が東雲さんを好きだという秘密とか。
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