日本政治を糾弾

愛国文恵

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「不適切」という免罪符――40兆円を動かす聖域

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「医療費の不適切請求の疑いが八千機関」。
なるほど、便利な言葉だ。不正とは書かない。不適切。
この一語で、故意も組織性も霧散する。マスコミですら及び腰。
だが、誰が見ても分かる話だ。それ、不正やろ。

「不適切」とは、本来、過失や事務ミスの領域を指す言葉のはずだ。
計算違い、記載漏れ、手続きの誤解――そういうものだ。
ところが現実はどうだ。
パターン化された過剰請求、帳尻合わせ、説明不能な数字。
それでも「不適切」。言葉が罪を洗う、見事な錬金術である。

この国で年間40兆円を動かす中枢はどこか。
厚労省、そして配下の全国の厚生局。
許認可、裁量、診療報酬の裁定権。
権力三点セットを抱えた聖域だ。
天下りは当然、業界団体とは長年の太いパイプ。
腐敗は「構造」、癒着は「文化」。
もはや個人の問題ではない。金環食のように光を遮る仕組みだ。

皮肉なことに、現場で汗をかくのは下っ端だけ。
上に行くほど、仕事は減り、悪知恵だけが増える。
「ここ、資金に困ってませんか?」
そんな顔で制度をいじる者がいても、誰も驚かないだろう。
診療報酬を握る部署が“甘い”などという評価で済むわけがない。
甘いのはチェック、辛いのは国民の負担だ。

消費税を上げる前に、やることがあるだろう。
この一省だけでも厳格に仕分けすれば、無駄金は山ほど出る。
それだけで相当分は賄えるはずだ。
だがやらない。なぜか。
自分たちの聖域にはメスを入れないからだ。

人の命を盾に取るやり口は卑劣だ。
「医療が回らなくなる」「現場が疲弊する」
その言葉で、検証も責任追及も止まる。
結果、国民は搾取され、だまされ、愚弄され続ける。
この点においての“功績”は確かに大きい。功労賞ものである。
――もちろん、皮肉だ。

もちろん、真面目にやっている人はいる。
だが、裁量と許認可を牛耳る組織に、
インチキ、でたらめ、いい加減がはびこらない例を、私は知らない。
これは個人の資質ではない。権力の性質だ。

吠えても世界は変わらない?
それでも吠える。犬だから。
吠えないより、まだマシだ。
合法という仮面を被った巨悪が、今日も粛々と精進している――
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